ヘビには紫外線ライトは不要?

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紫外線ライトと赤外線ライト

昼行性の爬虫類では体温を確保するための赤外線ライト(バスキングライト)とカルシウム代謝に必要な紫外線ライトを必要とします。しかし、ヘビの飼育では紫外線ライトは一部の種類を除いて不要です。国産のヘビであるシマヘビやアオダイショウは昼行性ですが、ニホンマムシは夜行性の傾向が強いです。完全な夜行性の種類の方が少ないとも言われています。昼行性のヘビにおいても、強い光は苦手で、飼育下でも積極的な太陽光による日光浴は不要とされています。ヘビ亜目は、進化の過程で一度網膜が退化し〔Jokl 1923,Walls 1940〕、その為に夜は特に視力は強くありません。一方、夜行性のヘビではピット器官を有しているものもおり(ボア科ボア亜科,ニシキヘビ科,クサリヘビ科マムシ亜科)、温度による可視化を行ないながら、夜間見通しが悪い中での獲物である小型恒温動物の存在を察知することに役立てています。

まずは光についてコレを読んでみて!

繁殖や発色目的

繁殖目的で弱い紫外線を照射して季節差を感じさせることはありますが、普通に飼育することに関しては不要です。ただし、紫外線を当てると発色が良くなるとも言われていますが、真偽は不明です。

ビタミンDは餌から

カルシウム代謝に必要なビタミンD3は紫外線を浴びることで体内で合成しますが、ほとんどのヘビは自分の体内で餌からビタミンD3を合成できます。また、ヘビではアルビノ系が多く、明るい光や紫外線を極端に嫌うので注意してください。したがって、室内での飼育では赤外線ライト(バスキングライト)のみを使います。

参考文献

  • Jokl A.Über den Verschluß der fötalen Augenbecherspalte,die Entwicklung der Schnerveninsertion und die Bildung ektodermaler und mesodermaler Zapfen im embryonalen Reptilienauge.Zeitschrift für Anatomie und Entwicklugsgeschichte.1923
  • Walls GL.Ophthalmological implications for the early history of the snakes.Copeia:1-8.1940

この記事を書いた人

霍野 晋吉

霍野 晋吉

犬猫以外のペットドクター

1968年 茨城県生まれ、東京都在住、ふたご座、B型

犬猫以外のペットであるウサギやカメなどの専門獣医師。開業獣医師以外にも、獣医大学や動物看護士専門学校での非常勤講師、セミナーや講演、企業顧問、雑誌や書籍での執筆なども行っている。エキゾチックアニマルと呼ばれるペットの医学情報を発信し、これらの動物の福祉向上を願っている。

「ペットは犬や猫だけでなく、全ての動物がきちんとした診察を受けられるために、獣医学教育と動物病院の体制作りが必要である。人と動物が共生ができる幸せな社会を作りたい・・・」との信念で、日々奔走中。