可愛い奴
両生類は多くの種類がペットとして飼育されていますが、特にカエルは一般にも親しまれ、古くから童話や民話に登場しています。
かわづ
日本でも古来からカエルは親しみが持たれており、平安時代の鳥獣戯画にも、サルやウサギとともに、人間に擬せられたカエルの姿が描かれています。中世での和歌に出てくる「かはづ(かわづ)」は、主に鳴き声が美しいことで知られるカジカガエルのことを指します。カエルは、古来より日本の>俳諧で使われており、松尾芭蕉の「古池や蛙(かわず)飛び込む水の音」、小林一茶の「やせ蛙 (かへる) まけるな一茶これにあり」等の句は特に有名です。万葉集などの正式な歌語では「かはづ (かわず)」、日本書紀などでの俗語として「かへる」が使われていました。「かえる」の方言はたくさんあり、「がま」 「ひき」 「きゃわず」などが有名で、他にも、「カエロ」 「ゲエロ」 「ゲーロ」 「カイル」 「ギャール」 「ケエルメ」とも変化しています。このうち「ヒキ」は主に西日本で使用され、大きく変化して「ビキ」 「ビッキ」 「ビキタ」は九州から東北地方まで広く分布し、「ドンビッキ」(長野)、「ゲロビッキ」(宮城)、「ビッキョ」(九州)、「ビッキャ」(奄美大島)、能登地方では「ギャット」(能登)、「ギャワズ」(加賀)、「ゴト」(和歌山)、「モッケ」(青森・秋田)、「アンゴ」(房総)、「ワクド」(福岡・大分)、「ドンク」(長崎)、「ドンコ」(鹿児島)などもあります。
食用
大型のウシガエルは食用蛙に供され、肉味は鶏肉のささみに似ており、淡白で美味です。日本においてカエルを食用とする文化は一般的にはありませんでしたが、1918年にアメリカから食用として輸入され、その後も各地で養殖されるようになりましたが、日本ではウシガエルが食用としては日本の食文化に定着しませんでした。古来から沖縄県では、ナミエガエルが食用として食べられる習慣がありましたが、現在は天然記念物に指定されているので、現在は食用として食べられていません。欧米における食用ガエルは、ヨーロッパトノサマガエルで、特にフランス料理の食材に使われ (食用ガエルをGrenouille (グルヌイユ) と呼ばれる)、このカエルはヨーロッパコガタガエル とワライガエルの種間雑種です。なお、現在のフランスでは、ヨーロッパトノサマガエルの減少に伴い、その代用としてウシガエル、トラフガエル、インドクサクイガエルなどを輸入しています。東南アジアの国々では、食用として小型のヌマガエル、カニクイガエルなどが食用として食べられています。中国の南部や台湾では、トラフガエルなどの小型のカエルを炒め、スープなどにして食べられることが多いです (現在はワシントン条約附属書II掲載種)。南アメリカではナンベイウシガエルが食用とされています。しかし、生食や野生の捕獲して食することは、人へも寄生する広東住血線虫などが寄生している場合もあるので注意する。
実験
両生類は生物・医学の実験に欠かせないモデル動物となっており、特にアフリカツメガエルはモデル生物として利用され、発生生物学や生理学の部門での利用が有名です。髄と脊髄の間を切断した脊髄反射を評価する、脊髄ガエルという名がつけられ、 解剖の実習では蛙が定番となっています。
薬
ヒキガエルの耳腺の分泌液はガマの油や蟾酥(せんそ)として民間薬や生薬として使用され、強心・降圧・局所麻痺・抗炎症作用等が期待されています〔原ほか1986〕。
キャラクター
馴染み深い動物であるカエルは昔からキャラクターのモチーフとしても愛され、これまでにはたくさんのキャラクターが誕生しました。カエルが持つ特徴といえば、大きい目玉に水かきのついた手足、鮮やかな模様など、とても特徴的です。
ど根性ガエルぴょん吉
週刊漫画に1970年から連載、その後1972年と1981年にテレビアニメにもなった「ど根性ガエル」の主人公がぴょん吉です。中学生のひろしのTシャツに張り付いた平面ガエルという、突拍子もない設定ですが、とても有名なキャラクターになり、CMやパチスロにも出演し、2015年には、実写テレビドラマ化され放送されました。カエルのピョン吉が公園(東京都練馬区の石神井公園がモデル)にほど近い原っぱにいたところに、中学生のひろしが石につまずいて転倒した際に潰されて、ひろしのTシャツに張り付いて、人の言葉までしゃべれるようになり、生きていくことになりました。
ケロヨン
着ぐるみのキャラクターである「ケロヨン」が人気を博し、ンとは、1964年に登場した着ぐるみ人形劇、あるいはそれをテレビ化したカエルの着ぐるみのキャラクターです。放送開始当時は「ケロちゃん」という名前でした。カエル屋敷に住むヒキガエルの息子だが、なぜか体は緑色。赤紫・黒・白(近年は紫・紺・白)のボーターラインのTシャツを着用し、ブーツとスカーフは赤で、誕生当時のトレンドを反映させています。性格も明朗快活だが個性的で少々うぬぼれています。
薬の興和のコロちゃんとケロちゃん
薬品のコーワ社のキャラクターのコロちゃんとケロちゃんです。1949年に病気をコロッとケロリと直してみようという音に合わせて、名付けられたキャラクターが、コロちゃん、ケロちゃんの始まりです。当時は手書きのイラストでしたが、薬局店頭に登場したのは1963年で、翌1964年にテレビCMにて一躍有名になりました。店頭に立っているカエルの全長は110 cmです。
サミストリートのキャラクターのカーミット
カーミット(Kermit)はセサミストリートなどに登場するカエルのキャラクターです。アメリカの要な操り人形師であるジム・ヘンソンにより制作されました。誕生日は定まっておらず、2月29日説と5月9日説と5月29日説があります。セサミストリート以外にも、ほかのメディアで見かけます。ディズニーのキャラクターとしても活躍しています。
サンリオのけろけろけろっぴ
日本のサンリオによるキャラクターで、第1号グッズの販売は1988年6月です。本名は「はすの上 けろっぴ」でドーナツ池の「けろけろハウス」に住んでおり、三つ子の長男で、姉のぴっき、弟のころっぴです。誕生日は7月10日になります。性格は元気でおっちょこちょいですが、歌と冒険が大好きです。カエルなのに泳ぎはカエル泳ぎは苦手で、クロールは得意です。
日本では、「福がカエル」 「お金がカエル」 「無事にカエル」などと語呂合わせからも幸運のシンボルとされています。
参考文献
- 下川耿史.環境史年表 明治・大正編 (1868-1926).河出書房新社:p351.2003