【解剖】トカゲの頭頂眼(第三の目)

三つ目が通る

一部のトカゲ(イグアナ、フトアゴヒゲトカゲ、ハリトカゲ、オオトカゲ)やムカシトカゲでは頭頂部正中に小型の透明な嚢状構造の円形組織が存在すします。これは頭頂眼(顱頂眼)(Pariental eye)と呼ばれ、頭頂眼を収容している孔を頭頂孔と呼びます。絶滅した多くの両生類や爬虫類に頭頂眼が発達した種類が多いと言われています。

グリーンイグアナの頭頂眼は発達していますが、フトアゴヒゲトカゲでは未発達あるいは目視できない個体もいます。

解剖と機能

解剖学的には水晶体、硝子体、網膜ならびに視細胞、視神経から構成され、「第三の眼」とも呼ばれる光の感受器で、物を見ることはできませんが、色や明るさだけであれば目としての機能があります〔Nishimura 2020〕。明暗などによる位置や方向感覚にも役立っています〔Ellis-Quinn et al.1991〕。頭頂眼と視床上部は神経でつながり、光刺激がメラトニンを分泌して性ホルモン産生を行います。太陽光の熱量を測って体温を一定に保つ(体温調整)、特に昼行性種類によく発達しているのでビタミンD産生などにも関与しているとも言われています〔疋田 2002 〕。

参考文献

  • Ellis-Quinn BA,Simony CA.Lizard homing behavior:the role of the parietal eye during displacement and radio-tracking, and time-compensated celestial orientation in the lizard Sceloporus jarrovi.Behavioral Ecology and Sociobiology28.397‐407.1991
  • Nishimura T.The Parietal Eye of Lizards(Pogona vitticeps) Needs Light at a Wavelength Lower than 580nm to Activate Light-Dependent Magnetoreception.Animals(Basel)15.10(3).489.2020
  • 疋田努.爬虫類の生理.爬虫類の進化.東京大学出版会.東京.pp34-36.2002

この記事を書いた人

霍野 晋吉

霍野 晋吉

犬猫以外のペットドクター

1968年 茨城県生まれ、東京都在住、ふたご座、B型

犬猫以外のペットであるウサギやカメなどの専門獣医師。開業獣医師以外にも、獣医大学や動物看護士専門学校での非常勤講師、セミナーや講演、企業顧問、雑誌や書籍での執筆なども行っている。エキゾチックアニマルと呼ばれるペットの医学情報を発信し、これらの動物の福祉向上を願っている。

「ペットは犬や猫だけでなく、全ての動物がきちんとした診察を受けられるために、獣医学教育と動物病院の体制作りが必要である。人と動物が共生ができる幸せな社会を作りたい・・・」との信念で、日々奔走中。