ウサギのペレットの選び方とお薦め商品

目次 [非表示]

ラビットフード

ペレットとは沢山の材料を細かく粉砕し、ウサギが食べやすい数cmの塊状に固めた餌です。ウサギ用ペレットは、一般的にラビットフードと称して販売されています。近年はウサギの飼育頭数の増大とともにペレットの種類も増え、どれを選んだらよいか迷ってしまいませんか?

ペレット

ウサギを長生きさせる4つの方法はコチラ!

ウサギ用ペレットの多くは粉砕した牧草(牧草ミール)を主原料として、小麦粉などをつなぎとしたものです。その他にビタミン・ミネラルなどを添加した完全栄養食です。ペレットは成分的にどんなによい製品であっても、ウサギが気に入らなかったら食べてくれません。製品によっては嗜好性をよくするために、甘味料などの材料を添加している商品もあります。ペレットはカロリーが牧草や野菜よりも高いので、与える量を守ってください。

ウサギのダイエットの解説はコチラ!

選び方

主原料

主原料にはアルファルファとチモシーの牧草の粉が使われ、それぞれの成分に特徴があります。アルファルファはタンパク質とカルシウムが多く、幼体や繁殖中の母ウサギ、病弱のウサギなどに適しています。チモシーは繊維質が豊富で、カロリーもアルファルファと比べて低く、普段与える成体のウサギに適しています。タンパク質とカルシウムも低いために、幼体には向きません。なお、アルファルファの方がチモシーよりも嗜好性が高く、よく食べてくれます。

繊維質とグルテンフリー

繊維質は選ぶのに重要なポイントです。ペレットの袋の保証成分に表示されている粗繊維の値に注目して下さい。この数値がペレットの繊維質の割合を示しています。

ペレット 成分

ペレットの繊維質は胃腸の働きをよくし、胃の中のエサが停滞する胃のうっ滞、毛づくろいによって起こる胃の毛球症腸炎などを予防します。成体のウサギのペレットには粗繊維が20%は必要です。幼体のペレットは成体のものより、粗繊維が少し低くなっています。ペレットのつなぎは一般的に小麦粉を使用しています。小麦粉は有害なものではないのですが、肥満になりやすく、そして小麦に含まれているグルテンというタンパク質(ねっとりとした成分)は、胃のうっ滞・毛球症下痢が起きやすくなります。

小麦粉の代わりにつなぎとして使用されているのがタピオカなどのでんぷんを使い、グルテンを少なくしたグルテンフリーペレットです。

カルシウム

カルシウムは成長期である幼体や繁殖中のウサギには必要なものですが、成体のウサギに多く与えると尿結石になりやすくなります。しかし、カルシウムが少なすぎても骨が弱くなります。ペレットには最低でも0.22%のカルシウムが必要とされ〔Chapin et al.1967〕、骨の石灰化を促すには0.44%〔Buss et al.1984〕が必要とも言われています。現在の多くのペレットは0.9~1.6%であるものが多く、ペット用ウサギには0.6~1.0%のカルシウムが含まれたペレットが推奨されています〔Lowe 1988〕。尿結石を予防したい場合は、カルシウムの最低値が0.22~0.44%でも問題ないのかもしれません。しかし、これらのデータが古いので、断言できないのが現実です。

甘味料

糖蜜、パイナップル、リンゴなどの甘い成分は、ウサギでは避けたい材料ですが、こられの成分が入っていることで、嗜好性が高くなります。糖類を多く与えると、肥満や消化不良になります。ウサギは、あえていえばブドウ糖や乳糖よりも、果糖の方が消化できます。体に負担をかけない人工甘味料であれば問題ありませんが、甘いペレットに馴れてしまい、偏食の原因になりますので、注意して下さい。

サプリメント配合

最近のペレットには様々なサプリメントが配合されています。飼い主の動物に対する健康志向が高まってきているのでしょう。軟便・下痢対策で、ペレットに乳酸菌などのプロバイオテックス、乳酸菌を増やす成分であるプレバイオテックスなどが配合されている商品が多いです。しかし、ウサギの胃酸は強いので、乳酸菌が死滅する可能性が高く、ただ乳酸菌を与えればよいというわけではありません。それらをきちんと配慮したペレットを選ばないと無駄になります。胃のうっ滞・毛球症腫瘍、皮膚や被毛、関節炎尿結石などに配慮したサプリメントが配合されているペレットも増えてきました。サプリメントを毎日与えるよりも、ペレットに含まれているほうが、与える必要がないので楽です。

ウサギのサプリメントの選び方とお薦め商品はコチラ!

ウサギの乳酸菌の解説とお薦め商品はコチラ!

肩さ

ペレットの粒の硬さによりハードタイプとソフトタイプの2つに分けられます。それぞれが製造方法が異なります。近年は、ハードタイプとソフトタイプの中間に位置するブルームタイプというのもあります。ハードタイプとソフトタイプのどちらがよいのかは、ウサギの嗜好性と歯の状態で異なりますので、どちらがよいかは優越が決められません。ハードタイプは粉末の原料を圧縮して固めたもので、かじるウサギにとっては歯の伸びすぎを防ぎます。実験動物用ペレットはハードタイプがほとんどです。しかし、高齢のウサギへハードタイプのペレットを与えることは、歯へ負担がかかり、また歯にトラブル(不正咬合)を抱えていると、すり潰すことができません。歯の状態は、前歯と奥歯も含めて、動物病院で健診を受けてから判断して下さい。ハードタイプはソフトタイプよりも熱をかけ過ぎずに加工しているるため、含まれているビタミンの変性が少ないことも特徴です。一方、ソフトタイプは原料に熱をかけて発泡させたものです。原料に熱をかけることでビタミンが変性します。もちろん、ソフトタイプはハードタイプよりも柔らかいですが、ペレットを歯で砕いて繊維質がボロボロと崩れ、それらを臼歯でよく擦りあわせて食べるような感じが理想です。つまり、柔らかくても配合されている繊維質が多いことが理想になります。

ウサギの年齢

ウサギの年齢別のペレットが販売されています。幼体、成体、老体向けになっていますので、それぞれの年齢に達したら、ペレットを切り替えて下さい。

幼体

幼体用あるいはグロースと呼ばれるペレットの多くは、アルファルファミールを主原料にしているため、カロリーも高く、繊維質はやや低めになっています。

成体

成体用あるいはメンテナンスと呼ばれるペレットはチモシーを主原料としているため、カロリーも低く、繊維質は多く含まれています。

高齢

老体のウサギには、高齢用あるいはシニアと呼ばれるペレットには、病気を予防するためにサプリメントが配合されているものが多いです。

保管

ペレットの長期保存は腐敗したり、酸化する恐れがあります。日光・紫外線・赤外線・高温、そして空気中の酸素と反応して劣化し、成分が変化して、ビタミン・ミネラル不足になります。もちろん、嗜好性も低下し、食べなくなる可能性がもあります。チャック付き、光を通さないアルミ袋、または脱酸素剤を入れたり、あるいは小袋にしたり、様々な工夫がされています。ペレットの成分だけでなく、保存を考えているかも、チェックしてみて下さい。

ペレット開封

理想のペレットはこんな感じ!

・粗繊維質20%以上あるいはグルテンフリー
・大人になれば成分のカルシウム値は0.8%以下?
・甘い成分は不要
・ハードとソフトは好みで選ぶ
・年齢を考えて選ぶ
・アルミ袋・脱酸素剤は当然

お薦め商品

第11位 Burgess バージェス エクセル ジュニア&ドワーフウサギ ペレット 1.5kg

小粒タイプ/4ヵ月齢迄の成長期/授乳期の栄養特化!イギリスで多くの受賞を受けた老舗ブランドのペレットです。やや高タンパク質に設定されたもので、限られたウサギに与えます。入手が難しい分、とても好評なんです!

第10位 ジェックス 彩食健美 7種ブレンド 900g

漢方ペレット?自然素材が好きな方にはコレ!自然派の飼い主さん向けのペレットで、和漢植物配合で体を健康にします。クコの実、ハコベ、タンポポの根などの7種類の植物が配合されたソフトタイプです。アルファルファとチモシーがブレンドされて幼体~成体のウサギにまで与えることができます。

第9位 ハイペット うさぎの極み  850g

牧草ペレットとは?細長いロングタイプの珍しいペレットです。長い牧草を上手く加工しているので、牧草を食べるのと同じ仕草でペレットを食べるように考えられました。デンプン&グルテンフリーの画期的なWフリーです。しかし、ポキポキと折れやすく、袋の中で粉が多く出て無駄になるのが涙です・・・。

第8位 ハイペット 恵シニア 830g

低カルシウムペレット!第10位と同じ細長いロングタイプのペレットで、低カルシウムペレットです(0.3~0.5%)。チモシー以外にもアルファルファも使用しているのに繊維質も高く、カルシウムを低くすている技術がすごいです。お腹に優しい乳酸菌とオリゴ糖も配されています。

第7位 日本配合 コンフュデンス プレミア 2.5kg

歯への負担を軽減するペレット!獣医師と共同開発された動物病院専用のペレットです。ペレットのサイズがやや小粒で、歯への負担が軽減されるようにできています。お腹の調子を整える難消化性繊維が増加されています。チャック袋で脱酸素剤も入っています。

第6位 オックスボウ ガーデンセレクト アダルトラビットフード  1.8kg

業界初!オーガニックペレット!知ってました?オーガニックって日本では定義が無いんですが、アメリカではちゃんとした定義があります。アメリカのオーガニック認証ウサギ用のハードタイプペレットです。農薬や化学肥料を使用していない原材料から作られた、安心を第一優先に考えられた商品で、小麦粉フリー、天然の抗酸化物質である、ドライローズマリーと乾燥トマト果肉が配合されており、フードの新鮮さを保ちます。

第5位 オックスボウ エッセンシャル アダルトラビットフード 2.25kg

ペレット繊維質最高値達成!29%! 繊維質史上最高値29%のハードタイプのペレットです。他では真似できません。チモシーを主原料とし、防腐剤や着色料、香料は使用せず、ナチュラルな素材だけで作られています。

第4位 イースター ベッツセレクション ウサギ用エイジングケア 900g

5歳以上のウサギが病気にならないために作られたペレット!動物病院専用のソフトタイプのペレットです。5歳以上の高齢ウサギの体調維持のために与えてください。病気を予防するためにアガリクスとコエンザイムQ10、皮膚と毛の健康のためにコラーゲン、胃腸を強くするためにオオバコ・タンポポ、血中の脂肪を下げるために桑の葉、軟便・下痢を予防するために腸まで届くEC-12株乳酸菌を配合、さらにグルテンフリーのスーパーペレットです。ベッツセレクションシリーズは全てアルミ袋で、中は4つの小袋に分包されています。

第3位 イースター ベッツセレクション ウサギ用体力ケア 1kg

病弱なウサギにエナジーチャージ!動物病院専用の病中・病後の体力回復期のペレットです。ソフトタイプなので、7ヵ月までの仔ウサギ、または妊娠・授乳期の母ウサギにも使えます。高タンパク高カロリーのマメ科のアルファルファが主原料で、ビール酵母とオリゴ糖を配合して体力をサポートし、初乳成分であるヌクレオチドを配合して免疫力もあがります。もちろん腸まで届くEC-12株乳酸菌を配合した、グルテンフリーの商品です。

第2位 ウーリー ブルームラボアダルト 800g

サプリメント!材料!形状!全てに配慮したペレット! アダルト(2~5歳)向けの小麦粉不使ペレットです。免疫力をサポートするために、ウサギ由来の乳酸菌を配合、歯ですり潰すことを促進した形状を考慮しました。しかし、これだけではありません。モリンガとスピルリナのサプリメント、ランスロットと言うのハーブで体力向上させ、 美味しさと鮮度が評判のワシントンの指定農家さんが栽培した材料を使用しています。これらの効果は今後反応を見るということですが、順位が上がる可能性がある商品です!

第1位 イースター ベッツセレクション ウサギ用健康ケア 1kg

王道のペレット!まずはこのペレットから始めてください!一番人気で最も信頼がおけるイースター社のブランドトップ商品が第1位に輝きました。動物病院専用ソフトタイプのペレットで、繊維質を高く設定されて低カロリー、カルシウムもおさえています。オオバコ・タンポポ、桑の葉も配合し、もちろんEC-12株乳酸菌も入っており、グルテンフリーです。健康ケアを通常与えて、体力がなくなったら第2位の健康ケアーを混ぜ、5歳を超えたらエイジングケアに切り替えましょう!

ウサギの餌入れの選び方とお薦め商品はコチラ!

JCRA(ジャクラ)って?何なの?

ウサギを幸せに長生きさせたい方は、一般社団法人 日本コンパニオンラビット協会(JCRA:ジャクラ)へ入会しましょう!

入会はコチラ!

まとめ

ウサギにも食の好みがあります。ここで書かれていることが絶対とはいえまえん。動物の年齢、不正咬合や尿結石などの持病も考えて、それぞれの動物に適したペレットを選んであげましょう。ウサギにも選ぶ権利と食を楽しみ権利がありますので、よく相談して選んであげて下さいね!

参考文献

  • Buss SL,Bourdeau JE.Calcium balanace in laboratory rabbits.Miner Electrolyte Metab10(2):p127-132.1984
  • Chapin RE.Smith SE.The calcium requirement of growing rabbits.Journal of Animal Science26:67-71.1967
  • Lowe JA.Pet rabbit feeding and nutrition.In The Nutrition of the Rabbit.de Blas C,Wiseman J eds.CABI Publishing.1988

この記事を書いた人

霍野 晋吉

霍野 晋吉

犬猫以外のペットドクター

1968年 茨城県生まれ、東京都在住、ふたご座、B型

犬猫以外のペットであるウサギやカメなどの専門獣医師。開業獣医師以外にも、獣医大学や動物看護士専門学校での非常勤講師、セミナーや講演、企業顧問、雑誌や書籍での執筆なども行っている。エキゾチックアニマルと呼ばれるペットの医学情報を発信し、これらの動物の福祉向上を願っている。

「ペットは犬や猫だけでなく、全ての動物がきちんとした診察を受けられるために、獣医学教育と動物病院の体制作りが必要である。人と動物が共生ができる幸せな社会を作りたい・・・」との信念で、日々奔走中。