ブンチョウの雌雄鑑別と繁殖

雌雄鑑別

ブンチョウはオスとメスがほぼ同じ色をしています。嘴とアイリング(Eye ring)などの体の特徴、性格、行動や鳴き声で鑑別しますが、ややあいまいです。雌雄の違いは、生後半年位で明確になっていきますので、幼鳥の時の判断は不確実です。最終的には遺伝子(PCR)検査で雌雄を鑑別するのが最も確実です。

  • アイリング
  • 性格
  • 行動(求愛ダンス)
  • 鳴き声(ぐぜりと求愛ソング)

嘴とアイリング

オス

オスは嘴が濃い赤色をしており、上嘴の背側の部分が盛り上がっています。アイリングの赤色もメスと比べて濃いです。

メス

メスの嘴は上嘴の背中の部分がなだらかです。オスの嘴と比べて細長く、色も淡赤色をしています。アイリングの赤色はオスと比べて薄く、途中で途切れていることもあります。

性格

オス

オスは感情表現が豊かで、活発で気が荒いです。攻撃的な態度を取ることがあります。

ブンチョウ

メス

メスはオスと比べて比較的おっとりして、穏やかな性格をしています。

行動と鳴き声

発情すると雄雌ともに発情行動が見られます。

オス

オスは幼鳥からぐぜりと言う小さな鳴き声でグジュグジュとさえずりの練習をします。次第に「キュルキュル」や「グチュグチュ」といった感じになり、そのうち求愛の時の鳴き声(求愛ソング)を出せるようになります。発情のピークを迎えたオスは止まり木の上で体を膨らませて、ピョンピョン飛び跳ねる行動を繰り返し(求愛ダンス)、「ピチューイ」「ピーヨピーヨ」(求愛ソング)を歌います。

メス

メスは尾羽を左右に振りながら「チュンチュン」「キャンキャン」と鳴きます(ディスプレイ)。

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遺伝子(PCR)検査

ブンチョウの性別は、獣医さんでも間違えることがあります。遺伝子検査は、採血をして血液を調べてもらう方法です。専門の検査機関に依頼するので、結果がわかるまでに1〜2週間ほどかかります。遺伝子検査こだと、ほぼ確実に性別が分かります。

繁殖(巣引き)

鳥を繁殖させることは巣引きと呼ばれています。相性がよく、年齢が近い雌雄の番を同居させて、巣を用意しましょう。ブンチョウの繁殖は容易ではありませんが、卵塞などの繁殖疾患、卵巣・卵管疾患も見られるため、計画的な繁殖以外は無駄な発情をさせないで下さい。ブンチョウは日本では9~6月が繁殖期ですので、この期間であればいつでも繁殖が可能です。

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性成熟

性成熟は6~7ヵ月齢です。オスは性的な成熟を迎えると精子が作れるようになります。メスは卵が産めるようになります。

ブンチョウ

発情

上述したようなオスとメスで発情兆候が見られます。発情させるために、栄養価の高い繁殖期用のペレットやシードに切り替えて下さい。産卵に備えてビタミンやカルシウムなども十分に補給しましょう。

交配

交配はまずはお見合いからです。基本的にオスとメス1頭ずつ同じケージに入れますが、相性が悪ければすぐに喧嘩が始まります。メスとオスのケージを隣同士に置いて、相性を確認してから一緒にするとよいでしょう。発情したオスはメスに対して盛んに求愛行動を示し、交尾をせまります。メスはオスを気に入ると、尾を上げて交尾を許容します。交尾はオスがメスの背中の上に乗って、お尻をこすり合わせて精子を注入します。相性が悪い場合はペアの組み合わせに変えて下さい。

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産卵

交尾後にメスのケージに巣箱を用意をしますので、巣材にするために、ワラ、牧草、シュロ、紙などを与えて下さい。自ら営巣を始めます。ブンチョウには巣箱あるいは壺巣を用意するとよいでしょう。

ブンチョウ

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巣の中に入っている時間が長くなると、それは産卵の兆候の始まりです。産卵は毎日1個ずつ産み始め、産卵数は5~6個です。3~4個産んだ頃から抱卵を始めます。

抱卵は16~18日位で、メスは1日中巣にこもりっきりになります(巣ごもり)。出てくるのは糞とエサを食べる時ぐらいなので、1日数回ぐらいしか出てきません。オスは基本的に巣箱の中にこもらず、本来のオスの仕事はエサを抱卵中のメスに届けたり、巣箱の前で見張りをします。母鳥は神経質になっています。巣箱の中を覗いたり、ケージを移動させるのは最低限にして下さい。刺激すると抱卵をやめてしまいます。なお、産卵した卵を人工孵化で孵卵させる方法もあります。

人工孵化の詳細な解説はコチラ!

雛・子育て

孵化が始まると、雛の鳴き声が聞こえるようになります。雛は未熟な状態の赤子で、目も耳も開いておらず、体温調節もできません。母鳥が上手に雛に餌を与えます。雛は孵化後に数日で開眼し、羽も生えてきます。

全身の羽が生えそろったら、雛でなく幼鳥と呼ばれます。巣から雛が出てくるようになり、この状態を巣立ちといいます。

ブンチョウ

自ら餌を食べるようになることを一人餌(ひとりえ)といいます。一人餌になったら、別のケージに移してあげましょう。

ブンチョウ

幼鳥は3~5ヵ月後に親の羽に変わります。手乗りに育てる場合には、生後18~20日齢で巣から雛を取り出し、親の変わりにさし餌を与えます。

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性成熟6-7ヵ月齢
発情季節繁殖(9-6月)
繁殖回数1回/年
産卵数5-6個(連日に産卵)
抱卵16-18日
巣立ち25-30日齢
表:繁殖知識

これがポイント!

・オスはアイリングもクチバシも真っ赤で目立つ
・オスは気が荒く、メスに対して求愛ダンスと歌う
・ブンチョウの繁殖期は9~6月

この記事を書いた人

霍野 晋吉

霍野 晋吉

犬猫以外のペットドクター

1968年 茨城県生まれ、東京都在住、ふたご座、B型

犬猫以外のペットであるウサギやカメなどの専門獣医師。開業獣医師以外にも、獣医大学や動物看護士専門学校での非常勤講師、セミナーや講演、企業顧問、雑誌や書籍での執筆なども行っている。エキゾチックアニマルと呼ばれるペットの医学情報を発信し、これらの動物の福祉向上を願っている。

「ペットは犬や猫だけでなく、全ての動物がきちんとした診察を受けられるために、獣医学教育と動物病院の体制作りが必要である。人と動物が共生ができる幸せな社会を作りたい・・・」との信念で、日々奔走中。