ハムスターを2年以上長生きせさるコツ

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2年いや3年目

ハムスターの寿命は2~3年ですが、実際は2年以内で死んでしまうことが多いです。その理由はなぜでしょうか?ハムスターは実験動物として、実験動物用ケージと実験動物飼料という質素なスタイルで飼育されてきました。その延長で、ペットでも同じような環境が薦められてきました。しかし、1990年代のアニメの影響で、まるで玩具のような扱いを受けて、本来の生物学的な特徴を考慮した飼育環境の情報が消えてしまいました。少しでも長生きさせる方法とは?・・・ポイントはり以下の3大習性を満たことと、適切な餌を与えることです。

  • 潜る(潜る小屋・トンネルを与える)
  • かじる(ケージの金網をかじらせないでかじり木を与える)
  • 蓄える(小屋に餌を蓄えさせる)

潜る小屋・トンネルを与える

ハムスターは寸胴な体で、尾も短く、地中生活の代表であるモグラのような体型をしています。地下に深い巣を掘って、巣穴の中で生活をしていますので、極端なことをいえば、それと同じ環境を作ってあげればよいのです。2階建てのようなケージは理想的ではありません。ハムスターは登ることが不得意で、特に金網ケージだと、四肢を引っかけて骨折する恐れがあります。

ハムスターにとって理想のケージは、壁に登れないものがよいです。極端な高さのあるケージでなく、いわゆる平屋のケージが理想です。

ハムスターケージ

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野生と同じように地下巣を掘ってもらうために、床敷を厚く敷くか、あるいは小屋を用意してあげましょう。隠れる場所を用意することでハムスターは安心します。トンネルに潜ることは、ハムスターのストレスを減らす効果もあるていう報告があります〔Kevin et al.1998〕。

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ケージの金網をからせない

ハムスターはげっ歯目に分類され、上顎と下顎の切歯は発達して大きく、常生歯といって生涯にわたってが伸び続けます。常生歯は物をかじることで歯が削れて、長さを調節します。げっ歯目の学名Rodentiaはラテン語の齧るという意味のrodereからきています。ペットのハムスターにも、前歯を使ってかじる物を与えなければいけません。かじる物として、かじり木としての、かまぼこの板や小枝が薦められていますが、硬いトウモロコシや松ぼっくり(商品として販売されています)などを好む場合もあります。性格にあったものを選んであげて下さい。最も注意したいのは金網ケージをかじることです。金網をかじる癖がつくと、切歯が折れるような事故や不正咬合が起こります。かじることは習性なのでやめさせることはできませんので、代用でかじり木を与えます。

ハムスターケージ噛み

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巣に餌を貯えさせる

口腔内に左右に頬袋を持っています。餌を見つけると頬袋に貯め込んでおく習性があり、それを巣穴に蓄えることを貯蔵行動と言います。貯蔵行動はハムスターの習性なために、巣穴に運んで貯めていますが、全ての餌を食べるわけではありません。時々蓄えた餌を確認して、腐っているようであれば取り除いてあげる必要があります。ハムスターは、巣穴に餌を蓄えることで安心します。蓄えた餌の量が多ければ多いほど安心し、少なければ、貯蔵行動に励みます。餌を蓄えないと、不安になりますが、すべてのハムスターがそうなるわけではありません。

ハムスター頬袋

適切な餌を与える

ハムスターは餌が健康に大きく影響する動物です。基本的にハムスター用ペレットを中心に、種子野菜などを与えます。ペレットのみの給餌でも栄養学的には問題はありませが、ハムスターに食べる喜びを与えるために、他の食材もバランスよく組み合わせて与えて下さい。ペレットは粗タンパク質が16%以上で、糖質が配合されていないものを選びましょう。

ハムスターエサ

ハムスター用ペレットを中心に食べさせることが難しいです。ずはりペレットを食べない時の対策は、ペレットのメーカーを変える、あるいは種子や野菜を食べてペレットを残した時は、半日くらいは食べるまで観察してください(長期の絶食は辞めてください)。多くは幼体の時からペレット多く与え、果物などの甘いものや脂肪の多いヒマワリの種子のおいしい味を覚えさえないようにすることです。

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ヒマワリの種子は脂肪が多いので嗜好性が高いです。しかし、たくさん与えると肥満だけでなく、高脂血症動脈硬化が起こる可能性がわかっており〔Hayes et al.1993〕、短命になります。あえて与えなくてもよいです。ゴールデンハムスターは高齢になると心不全が多くみられます。肥満のハムスターは心不全の症状が重篤になりやすいです。

ハムスターは偏食による病気が多いです。好物しか食べないような時にはサプリメントを水に入れて与えてみましょう。


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これがポイント!

・潜るのが好き、潜ると安心するので床敷を厚く敷くか小屋を置く
・かじるのも好き、でもケージの金網をかじらせると切歯が折れるので注意
・餌をため込む習性を満足させる
・栄養のバランスを考えて太らせないことが病気予防になる

参考文献

  • Hayes KC,Pronczuk A,Liang JS.Differences in the plasma transport and tissue concentrations of tocopherols and tocotrienols:Observations in humans and hamsters.Proc.Soc.Exp.Biol.Med202:353-359.1993
  • Kevin RA,Terri RC,Michael R.Use of Corn-Husk Nesting Material to Reduce Aggression in Caged Mice.Contemporary Topics in Laboratory Animal Science37(4):p64-66.1998

この記事を書いた人

霍野 晋吉

霍野 晋吉

犬猫以外のペットドクター

1968年 茨城県生まれ、東京都在住、ふたご座、B型

犬猫以外のペットであるウサギやカメなどの専門獣医師。開業獣医師以外にも、獣医大学や動物看護士専門学校での非常勤講師、セミナーや講演、企業顧問、雑誌や書籍での執筆なども行っている。エキゾチックアニマルと呼ばれるペットの医学情報を発信し、これらの動物の福祉向上を願っている。

「ペットは犬や猫だけでなく、全ての動物がきちんとした診察を受けられるために、獣医学教育と動物病院の体制作りが必要である。人と動物が共生ができる幸せな社会を作りたい・・・」との信念で、日々奔走中。