カラーだけでなく鳴き声や姿のバリエーションも
カナリアはカラーカナリアと呼ばれる羽の色 (色や模様) での品種だけでなく、鳴き声 (さえずり) 〔ローラーカナリア〕、姿 (巻き毛や姿) 〔スタイルカナリア〕 による品種もいます。これらは原種のカナリアから品種改良を重ねたもので、世界各国にカナリア協会で品評会も行われています。原種そのままの外観と鳴き声で飼い鳥として固定されたものを並カナリアと呼ばれこともあります。スタイル種は日本で品種改良が行わて作出されたもので、これらのカナリアは欧米でも高く評価され、戦前・戦後あたりの時代に日本から輸出されていました。カナリアは個体識別のために足環が付いているものが多いです。
カラーカナリア
原色は黄緑色を帯びた灰色、茶色、褐色で、背中に黒褐色の縞模様が入っています。本来持っている黄色を主体に色変わりの品種が作られ、羽色や模様によるバリエーションはカラーカナリアと呼ばれています。黄色のレモンカナリア以外に、オレンジカナリア、赤カナリア、白カナリア、リザードカナリアなどが有名です。羽の色をきれいにするため、赤カナリアでは換羽の時には色揚げのためのカロチンが含まれた餌が与えられています。この色揚げ用の餌はカロチノイドであるβカロチンやカンタキサンチンンの色素と脂肪の多く、奇麗な色に発色しますが、肝臓に負担をかけるので大量には与えないで下さい。
カラーカナリアの各色には2つのタイプがあります。原種である野生の黄色を帯びたカナリアはオスの羽色は極黄色で、メスが淡い黄色をしています。ペットでは羽毛の先端まで色彩があり、全体的にはっきりとした色彩を無覆輪 (むふくりん)、羽毛の先端が白く縁どられ、白いベールを被せたような淡い色にな色彩を有覆輪 (ゆうふくりん)と呼ばれています。ペットでは雌雄に関係なく、2通りの色彩を持ちます。赤カナリアで特にこの2つのタイプが有名ですが、他の色彩でも存在します。なお、繁殖をする場合は無覆輪同士の交配は、劣勢致死遺伝子を持っているので、ヒナが孵化しないか、孵化しても育ちません。無地だけでなく色素が一部抜けて白斑が見られるパイドなどの模様もいます。
レモンカナリア
全身が黄色で、目は黒目です。黄色には濃い黄色から果物もレモン色まで幅があります。
オレンジカナリア
全身がオレンジ色で、目は黒目です。オレンジ色は赤色に近い色のものもいます。
赤カナリア
赤カナリアは赤橙色をしており、ショウジョウヒワという鳥とオレンジカナリアとの人為的な交雑によって作出されました。本来カナリアはオスとメスの体色はあまり変化はありませんでしたが、赤カナリアが作られてから、体色の濃さで雌雄鑑別ができるようになりました。オスのショウジョウヒワは鮮やかな赤色をしていますが、メスは地味な灰褐色をしているからです。
ショウジョウヒワ(オス) https://ja.wikipedia.org/wiki/ショウジョウヒワ#/media/ファイル:Cucullatamachocolombia.jpg
無覆輪
有覆輪
白カナリア
全身が白色で、目は黒目をしています。白色には遺伝的に顕性 (ドミナント) と潜性 (レセッシブ) がおり、時に一部に黄色などの色が入るのは潜性です。なお、顕性の白カナリアでは致死遺伝子を持っているので、1/4の卵が孵化しないか、ヒナが死んでしまいます。
リザードカナリア
最も古い品種で、外見が野生種に似ています。背中や頭に黒色の羽を持ち、鱗状のまだら模様をしており、羽毛には絹のような光沢があります。頭が黄色になっているがキャップ、黄色がはっきりとしているのがクリアキャップ、黒色の模様が入っているのがブロークンキャップと呼ばれています。無覆輪をゴールド、有覆輪をシルバーと呼びます。
ローラーカナリア
美しく鳴く品種をローラーカナリアと呼ばれ、クチバシを閉じて、他の品種よりも高くて甘い声をしています。鳴き声やさえずりによって評価され、声は複雑な音色が含まれていて、ブリーダーは綺麗に鳴くカナリアを作り出すことに情熱を傾けています。反対に色や形はあまり重要視されておらず、地味な色をしており、暗緑色や黄色、またはその斑模様をしています。
スタイルカナリア
体型や姿勢、羽毛の形状のバリエーションをスタイルカナリアと呼んでいます。巻き毛カナリアと細カナリアは日本で作成された品種です。スタイルカナリアは細カナリア以外の品種では、黄色でも赤色でも、無覆輪を極黄 (ごっき) (Yellow)、有覆輪を淡色 (あいき) (Buff) と呼ばれます。
巻き毛カナリア
巻き毛カナリアは胸と腹の羽が左右に巻き上がっています。羽色は、黄色、白色、赤色など様々で、やや大型で直立した姿勢をしています。明治時代に突然変異を固定させた日本オリジナルのカナリアです。巣引きはやや困難で、交配にも細心の配慮がいります。巻き毛には直立する関東巻き毛と直立せずに横から見た姿勢が三日月になる大阪巻き毛の2系統がいます。
細カナリア
明治時代にグラスゴードンあるいはスコッチファンシーから品種改良をして作られた日本オリジナルのカナリアです。スタイルカナリアとしては最も小型で、すらりとした横から見た姿勢が三日月をしています。止まる時の姿勢がほぼ垂直で、尾が止まり木の下から前に突き出ることが特徴とされ、独特な気品があります。羽色は黄色、白色、茶色など様々です。
ノリッジ
イギリスのノリッジ地方で作られた品種です。羽毛が他の品種と比べて長いので、ずんぐりとした太い体形に見えます。頭が大きく扁平で羽毛の量が多く、目はやや小さいです。羽色は淡黄色、濃黄色、緑色など様々です。
ヨークシャー
イギリスのヨークシャー地方で作出された大型のカナリアです。体はスリムで、頭から尾の先までモデルのように真っすぐに伸び、止まり木に対して直角に近い角度、「イ」の字に止まる姿勢の鳥が良いとされています。
ボーダー
イギリスのスコッチランドとイングランドの国境の街、カンバーランドで作出され、丸い胴体に丸い頭がのったようなスタイルです。国境の街で作られたために、ボーダーと呼ばれています。
クレステッド
冠羽を持つ品種です。 クレストはビクトリア女王時代の末期に、とても人気がありましたが、現在ではそれほど広まっていません。冠羽のカナリアは潜性致死遺伝子を持つので、交配は避けて下さい。
赤いカナリアの探求: 史上初の遺伝子操作秘話.新思索社
マニア向けですね!でもちょっと感動しますよ・・・