モルモットを幸せで長生きさせるコツ

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幸せを追及

モルモットが考えていること分かりますか?仲間と遊びたい!美味しい餌を沢山食べたい!そんな純粋なモルモットですが、ストレスのない環境で飼育に弱いという特徴があります。飼育のコツは意外と簡単です。新たな情報というより、改めて以下のことをよく考えなおしてみて下さい。

  • 仲間がいる生活
  • ストレス対策
  • ビタミンCを与える
  • 健康診断

仲間がいる生活

モルモットの習性で群れることが重要です。野生のモルモット(テンジクネズミ)は5~10頭の群れで暮らし、複数の仲間といることで安堵を感じます。群れの中では社会生活序列を営み、お互いコミニケーションもとっています。コミニケーションをとることで普段のストレスが減ります。

一般的なペットの飼育では、多頭飼育には多くの問題があります。相性が合わないと喧嘩をし、番で飼育すると容易に繁殖して増えてしまいます。番で飼育する場合は必ず繁殖計画を考えないといけません。繁殖を希望しない場合は、メスでは避妊手術、オスでは去勢手術が必要になります。スイスでは2008年に法律で、モルモットは単独で飼育してはいけないそうです。動物愛護の観点から、本来群れで生活している動物を一頭で飼育することは寂しい思いをさせるからだそうです。そのため、法律施行さ後は、モルモットのレンタル業者が流行ったそうです。これは2頭のモルモットを飼育していた場合、1頭が先に亡くなった場合に備えるためです。残されたモルモットの性格を考え、年齢が近いモルモットをレンタルするというシステムをとっています。

モルモットの集団飼育は、実際には最初から同じゲージでないと難しいです。後から新しいモルモットを導入すると、先住のモルモットに受け入れてもらえません。モルモットにはそのゲージの縄張りがありますし、性格も見てから一緒にしてあげて下さい。

群れの中で仲間同士とのコミュニケーションで、お互い顔や頭を触れあわせ、相手をいたわる気持ちも持っています。

モルモット

集団で飼育ができない時は、飼育環境を整えて、人に馴らしましょう。馴れたモルモットは好奇心が旺盛で、自分から甘えてきたりスキンシップを求めてくるようになります。抱っこしたり撫でてあげるなど、愛情表現をたっぷりしてあげると喜びます。

モルモット

ストレス対策

モルモットは基本的に臆病でストレスに弱い動物です。環境が変わってしまっただけで警戒し、聞き耳を立ててビクビクしています。モルモットはストレスに関する実験動物として多く使われており、振動〔中村1990〕や水につける〔田部田ら1990〕などの負荷をかけた場合のストレスの程度を調べられています。モルモットは強いストレスがかかることでも、ビタミンCの消耗が激しくなります。

モルモット

性格と個体差により、意外とストレスに強い子もいれば、弱い子もいます。弱い子がストレスを受けると、食欲低下、軟便や下痢などが見られ、病気がちになります。

モルモット

まずは小屋

はじめは環境にも馴れていないので、ケージの中に小屋を隠れ家として用意します。ケージの横を人が通るだけで警戒しますので、ケージをタオル等で覆って視覚的ストレスを減らのもよいでしょう。もちろん大きな音や初めて聞く音なども苦手です。

次にスキンシップ

次に手からエサをやったり、優しくなでてあげたりスキンシップをとりましょう。次第に寄ってきたり、膝の上に乗せるなど、甘えてきます。そこまでくすと背中を撫でてやると声を出して喜びます。ここまでくれば、ストレスがなくなっていると思ってよいでしょう。

ふれあい動物園などで、人に触られたり、抱っこされているけど、ストレスはないのか?
ふれあい動物園のモルモットのストレスを調べた論文があり。明確なストレスはなく、この結果は研究対象のモルモットが愛玩動物化された過程でストレスをあまりうけない個体の選択が行われたこという結論でした。つまり、きちんと飼育すればストレスがなく、人にも馴れて、ストレスをうけないモルモットも沢山いるということです。

ビタミンCを与える

体内でビタミンCを合成できないために、エサから補わないといけないです。体内でビタミンCを合成するL-グロノラクトンオキシダーゼという酵素を欠乏しているからです〔Guide for the Care and Use of laboratory Animal 1985〕。ビタミンCはストレスがかかったり、病気になると大量に消費されるために、通常よりも多く与えないといけません。モルモット用ペレットにはビタミンCが添加されていますが、ビタミンCは水に溶かしたり、空気や加熱すると少しずつ劣化して、効果が落ちます。ソフトタイプのペレットを作る際には、必ず熱をかけます。さらにペレットが気密なアルミ袋で遮光されていなかったり、小袋タイプになっていないと、いくらビタミンC配合と記載されてれも、必然的にビタミンCは劣化しますので、密閉容器に入れて冷蔵庫に保管するなどの配慮が必要です。もちろん早めに食べきることが肝心です。長期間にビタミンCの効能が劣化しない耐熱性の皮膜で保護された高機能ビタミンCというものがあります。この優れたビタミンCが配合されているペレットがイースター社のモルモットセレクションです。Dr.ツルも一押の逸品です。

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健康診断

4歳以上のモルモットは年寄りになります。胃腸のうっ滞腎不全、肝不全、心不全などの病気がとても増えてきます。これらの病気の対策を先手を打りましょう。人間と同様に老衰が原因でなく、何らかの病気が死因で死ぬことが多いです。その病気の進行を防げば長生きできるはずです。中年モルモットで問題となるのは、ずばり尿結石卵巣・子宮疾患です。早期発見・早期治療が何よりも大切です。ぜひモルドック(健康診断)を受けましょう。

コレがポイント!

・集団で飼育する!一頭飼育ならば人が群れる!
・ストレスのない環境作りをする
・ビタミンCはしっかり与える
・健診は毎年受ける

モルのことならこの本読んで!

モルモット 飼育バイブル 長く元気に暮らす50のポイント メイツ出版

参考文献

  • Guide for the Care and Use of laboratory Animal.U.S.Department of health,Education and Welfare.Public Health Service.NIH.1985
  • 佐藤恵,若林 修一,酒井 秀嗣.「ふれあい動物園」のモルモットにおけるストレスの評価:糞中コルチコステロンとコルチゾルの比較.日本大学歯学部紀要38:31-38.2010
  • 中村美穂ら.振動ストレスによるモルモット血漿中のACTH,cortisol及びcatecholamine濃度の変化.日本獣医学雑誌52(5):1143-1145.1990
  • 田部田功.水浸拘束負荷による慢性ストレス状態下のモルモット視床下部-下垂体-副腎系. Journal of the Medical Society of Toho University47(1):24-31.2000

この記事を書いた人

霍野 晋吉

霍野 晋吉

犬猫以外のペットドクター

1968年 茨城県生まれ、東京都在住、ふたご座、B型

犬猫以外のペットであるウサギやカメなどの専門獣医師。開業獣医師以外にも、獣医大学や動物看護士専門学校での非常勤講師、セミナーや講演、企業顧問、雑誌や書籍での執筆なども行っている。エキゾチックアニマルと呼ばれるペットの医学情報を発信し、これらの動物の福祉向上を願っている。

「ペットは犬や猫だけでなく、全ての動物がきちんとした診察を受けられるために、獣医学教育と動物病院の体制作りが必要である。人と動物が共生ができる幸せな社会を作りたい・・・」との信念で、日々奔走中。