オグロプレーリードッグ・リチャードソンジリスの飼育

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プレーリーはさみしがり屋!ジリスはツンデレ!

プレーリードッグは2003年から輸入が禁止されています。そのため日本で販売されている個体は、国内で繁殖されたものに限られています。個体数が少ないこともあり、人気が高いものの中々入手できないのが現状です。日本での繁殖期は1〜4月なので、その時期に幼体が販売されます。

飼育

オグロプレーリードッグとリチャードソンジリスは体の大きさが異なりますが、基本的な飼育方法は同じです。

飼育頭数

オグロプレーリードッグは群れで生活をしているため、1頭で飼育すると寂しがるといわれています。しかし、オス同士の複数飼育は相性が合わないことが多く、激しいけんかが起こりますので、注意して下さい。複数で飼育するならば、メス同志が理想です。

プレーリードッグ群れ

複数の飼育が難しいことが多いために、人が相手をする時間を設ける必要があります。

プレーリードッグ

リチャードソンジリスは基本的に単独の飼育がよいでしょう。

ケージ

巣穴が掘れるような深さを備え、広い面積が確保できるケージが理想的です。しかし、オグロプレーリードッグやジリスが潜れるような深い床敷を敷くのは困難です。一般的にはウサギ用などの大きな金網タイプや水槽タイプのケージなどを使用します。

金網タイプのケージの欠点は、金網をかじり、歯のトラブル(切歯の不正咬合や破折、歯牙腫)のおそれがあります。

金網タイプケージの網目を小さくするために、ケージに金属のネットやバーベキューの網などを張るなどの工夫をしましょう。

ケージの中に餌容器や給水器、小屋などをレイアウトして設置します。活動的で力が強いために、ケージの扉には鍵をしないと脱走するので注意して下さい。

床敷

床敷は、牧草、木製や紙製のチップなどが適しています。木製やプラスチック製のスノコを敷くこともできますが、かじられてしまう恐れがあります。金属製のスノコなら問題ありません。

寝具

暗くて狭いところが大好きです。自分一人で落ち着ける場所が必要なので、中で動けるくらい余裕がある小屋を寝る場所として用意しておくとよいでしょう。小屋の代わりに毛布やタオルなどの布を入れると、上手く利用して寝床にします。

温度・湿度・照明

温度

オグロプレーリードッグは冬眠をしませんが、冬に気温が低下すると活動量が低下し、低体温や心拍数や呼吸数の低下などの休眠状態に陥ることがあります〔Kofoed 1958〕。リチャードソンジリスは野生では冬眠をしますが、ペットでは冬眠することが少ないです。オグロプレーリードッグもリチャードソンジリスも、体力が低下していたり、病気であると、冬眠や休眠中に死亡することがありますので、飼育下では保温することが賢明です(温度・湿度)。

表:温度・湿度

温度18-24℃
湿度30-70%

照明

オグロプレーリードッグやリチャードソンジリスは昼行性の動物で、時に日光浴をすることをお薦めします(照明)。長時間の日光浴をすると熱射病になりやすいため、1回で数10分位にとどめ、ケージの一部に日陰を設けて下さい。

食事

エサ

草食性のため牧草を主食にし、専用ペレットや野菜などを与えて下さい。プレーリードッグ・ジリス用ペレットはあまり流通していないため、代用品としてウサギ用ペレットを与えることもできます。ペレットや牧草は常にエサ容器に入れておき、腐りやすい野菜は時間を決めて新鮮なものを与えます。前足を器用に使えるため、エサを手にもって食べるのが特徴です。

プレーリードッグ

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ヒマワリなどの種子を好みますが、多く与えると肥満になり、脂肪肝などの病気になるので注意して下さい。

飲水

給水器も皿タイプとボトルタイプがありますが、多くが壁掛け式のボトルタイプで飲んでくれます。

ケア

野性味が強く残っているプレーリードッグやジリスが持つ本来の行動を発現できるような環境作りのために、運動させる以外に「群れる」「(巣穴に)潜る」「(物を)かじる」という環境エンリッチメントを考えます。群れることは複数で飼育をするべきですが、単独で飼育をする場合は人がコミュニケーションをとるしかありません。

運動

活発な動物であるが最低の運動量は一概に定まっていませんが、ケージの外の部屋に放す場合は、屋外への逃亡、家具の隙間に入ったり下敷きになる、観葉植物や電気コードをかじる等の事故に注意します。高さを認識できないため、カーテンや高い所に登って落下して、骨折が多いので注意して下さい。

回し車はあまり動かしませんが、幼少時から回し車を覚えると回すようになります。

ハーネスを付けて屋外へ散歩をすることもできますが、逃亡や危険が無いように細心の注意を払って下さい。

かじり木

物をかじることも習性の一つで、特にケージの金網をかじる行動が頻繁に見られるために、かじり木になるようなものを与えないと、切歯の不正咬合歯牙腫の原因になる。木製の小屋を与えるとシュエルター的な役割りとかじり木の両方を備えるので便利です。

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コミュニケーション

プレーリードッグは人との積極的なコミュニケーションをとり、馴れる動物ですので、焦らずじっくり接してください。敵と味方を判別する能力が高く、幼少時から飼育していると、飼い主の顔を覚えて人に寄ってくるようになります。プレーリードッグは人に馴れると、抱かれることを欲したり、飼い主の帰りを歓迎するような喜びの声や表現を見せます。リチャードソンジリスは警戒心が強いためか、人に馴れるのにやや時間がかかります。

プレーリー

砂浴び

穴を掘ったり、土の中を転げ回って体の汚れを落とします。飼育下でも、嫌いでなければ砂浴びを行ってもよいでしょう。砂はチンチラの砂浴び用の砂を使います。

爪切り

地中を掘るために、爪はとても鋭くなっています。爪が伸びすぎることがありますので、おとなしい性格であれば爪切りをします。ただし、爪が黒色をしており、血管が見えないため、爪切りの際には出血しないよう注意して下さい。

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参考文献
■Koford CB.Prairie dogs,whitefaces,and blue grama. Wildlife Monographs 3.The Wildlife Society.Washington DC.p78.1958

この記事を書いた人

霍野 晋吉

霍野 晋吉

犬猫以外のペットドクター

1968年 茨城県生まれ、東京都在住、ふたご座、B型

犬猫以外のペットであるウサギやカメなどの専門獣医師。開業獣医師以外にも、獣医大学や動物看護士専門学校での非常勤講師、セミナーや講演、企業顧問、雑誌や書籍での執筆なども行っている。エキゾチックアニマルと呼ばれるペットの医学情報を発信し、これらの動物の福祉向上を願っている。

「ペットは犬や猫だけでなく、全ての動物がきちんとした診察を受けられるために、獣医学教育と動物病院の体制作りが必要である。人と動物が共生ができる幸せな社会を作りたい・・・」との信念で、日々奔走中。