鳥の保温器具の選び方とお薦め商品(膨羽時の対応)

鳥は高体温

鳥の体温は哺乳類と比べて高く、鳥は頻回に餌を食べるのは、その高い体温を維持するためにエネルギー補給をしているのです。体温が低くなり具合が悪くなると、膨羽が見られます。体温が低くなると代謝が低下し、消化管蠕動も悪くなり、軟便・下痢が起こります。疾病でも同症状が起こるので保温が必要となります。

保温方法

保温をする方法は、部屋の気温ではなく、鳥が入っているケージの中の温度を上げないと意味がありません。「何℃が良いのか?」とよく聞かれますが、実は決まった温度はありません。ケージの理想的な気温は20~25℃ですので、ますは上限に+3℃くらい上げて28℃にしてみて下さい。それでも改善しない場合は、様子を見ながら膨らみがとれるまで、少しずつ温度を上げていきます。

鳥の保温

鳥の体温調整の詳しい解説はコチラ!

ただ寒かっただけならば28℃位になると多くは膨らみが取れるはずです。しかし、呼吸が大きくなっていたり、早くなっていた時は、暑すぎるのか、肺炎気嚢炎などの呼吸器感染症かもしれませんので注意して観察して下さい。最高32~33℃まで温めてみて、それでも膨羽が治らない時には、動物病院で診察を早急に受けて下さい。

まずは温度計がないと始まらない!

ORIA デジタル温湿度計 外気温度計 ワイヤレス 

ワイヤレス2点測定!小さくて邪魔にならず、文字は見やすい大きさで、子機センサー利用して、2ヵ所の温湿度が一目で測定できます。卓上スタンド・壁掛け用フック穴付き、自宅で様々な場所に設置出来ます。

選び方

保温器具の選び方は、ケージの形や大きさ、部屋の状況、鳥の大きさによっても、異なります。急ぐ時は室温を上げるために、エアコンやファンヒーターを使い、ケージの中の温度は温度計で確認しましょう。

エアコン

3つのタイプ

鳥用ヒーターは大きく分けると、パネルタイプ、電球タイプ、止まり木タイプの3つです。それぞれ特徴が異なるので、使いやすいものを選びましょう。

パネルタイプ(パネルヒーター)

ケージの下や側面に設置して使うパネルタイプのヒーターは板状で、鳥自身とヒーターとの距離で温かさを調節できます。鳥が寒いと思ったらヒーターに近づき、暑いと感じたら自らヒーターから遠ざかります。薄くてコンパクトな商品であれば、体調不良やヒナ・幼鳥の場合はケースの下に敷くなど色々な使い方もできます。

サンコー 外付け式バードヒーター

15w
20w

スマートなパネルヒーター!外付け式で取り扱い簡単、日本製のPTCヒーターと電子温度制御でダブルの安心設計です

みずよし貿易 遠赤外線マイカヒーターII

ステンレスホルダーセット

お金があればこの赤外線ヒーター買って!スタンドタイプのパネルタイプの遠赤外線ヒーターで、ケージの外側に設置して使います。火傷やコードかじりの心配もなく安全に使え、温度切り替え、そしてサーモスタット機能で温度管理が可能です。専用ステンレスホルダーを使えば、スタンドを外してケージの外側に設置できるんです。鳥の一生使えることを考えると、この金額は高くないです。

電球タイプ(保温電球)

ひよこ電球と言われる昔ながらの電球で、熱を放射して空気を温めます。パネルヒーターと比べて速攻で暖まり、保温力もあります。同じケージで複数のインコを飼育している場合にもお勧めです。狭いケージに保温電球を使うと暑くなり、鳥の逃げ場がないので熱中症になります。ケージの端に保温電球を設置して、ケージ内で暖かい場所と少し温度が低い場所を設けることがポイントになります。カバーがついている商品だと電球に直接触れることはなく、安全に使えます。しかし、長時間使用するとカバーの上部や側面にも熱くなり、使い方によっては火傷や火事の危険性があります。ケージの中に設置すると、臆病な鳥は怖がってしまうこともあるので、熱中症予防と同時にケージの外に取り付けて下さい。使用している間は、ケージの中が明るいということがありますが、近年はセラミック製の製品が、明るくならないし、安全なことから支持されています。

マルカン セラミックヒーターカバー付 

20W
40W

じんわり安全ヒーター!遠赤外線を放射してペットのカラダをじんわり暖める陶器製のヒーターです。光が出ないため暗くしたい夜にも使用でき、鳥の生体リズムに配慮された商品です。光を出さないのでペットの生活リズムを崩しません。・陶器製なのでガラス製の電球タイプに比べて割れにくく長寿命。ケージにカンタンに取り付けられるフック付きです。ペットがあやまってコードをかじってしまわないように、保護コイルを取り付けています。

マルカン 保温電球カバー付 

20W
60W

即効性を求めるなら!電球タイプですが、わずかな光しか出さないので動物の睡眠を妨げません。保温球の表面には特殊コーティングが施されており、割れにくく、破損時の飛散を防ぎます。カンタンに取り付けられるフック付きです。

止まり木タイプ

止まり木に内蔵ヒーターが収納されており、鳥が止まり木にとまると足からじわじわ温まります。

ミニマルランド ほっととり暖寄りそいヒーター

ノーマル
Lサイズ

止まり木パネルヒーター?すごい発想ですね。ケージ中にパネルヒーターを縦付け横付けも自由に設置ができて、そのパネルに止まり木が付いています。小さくて設置しやすいのですが、ヒーターの温度は鳥の体温の約40℃で、温度調整はできないので、すこしだけ温める時に使って下さい。水拭きOKのABS樹脂なので、汚れても安全です。コードには保護コイルも付いています。止まり木を外してパネルだけでも使えるので汎用性が高い商品です。

安全性

感電や火災、温めすぎ防止機能がついているものを選んで下さい。ケージの中でヒーターを使う場合はコードの一部が入るため、鳥にかじじられて、感電や火災の原因になります。多くの商品はコードにカバーが付けられています。保温電球だと熱くなるので火傷を負う可能性があります。カバーを付けることは必須ですが、カバーも熱くなることがあります。カバー付きの保温電球はケージの中に設置している方が多いですが、本来はケージの外から使うべきです。

小鳥の保温

パワー

部屋の気温に合わせてヒーターを選ぶことも考えて下さい。エアコンなどを使用している部屋では、熱量が弱いパネルヒーターや止まり木タイプのヒーターを補助的に使うだけでも十分です。部屋全体が寒いときには、保温電球でケージ全体を温めて下さい。昼と夜の温度差が激しいときには、温度計でどれ位の温度差があるのかを確認して下さい。

タイプパネルヒーター保温電球止まり木タイプ
メリット局所的に保温できる/温度調整機能が付いている物が多いパワーがありケージ全体を保温できる/すぐに暖まるヒーターを鳥が怖がらない
デメリットパワーが弱い/ヒーターを鳥を怖がることがある熱くなりすぎることがある/電球を鳥が怖がることがある脚をじんわり保温できる
表:保温器具のメリットとデメリット

サーモスタット

ヒーターで温度の調整ができると便利です。この機能はパネルヒーターに多く搭載されています。温度感知センサーで温度管理をするサーモスタット機能が搭載されている商品は少ないので、ヒーターとは別途に購入して一緒に使って下さい。ケージの中が熱くなりすぎるのではないか?外出していても心配になってしまします。熱量が強い保温電球の場合は、できればサーモスタットを一緒に使いましょう。

サーモスタットならコレ!

ミニマルサーモ

保温器具とつないで温度コントロール!センサーが周囲の温度を感知して、ヒーターをON/OFF温度を一定にキープしますので、外出時の温度管理も安心です。

PTCヒーター

PTCヒーターは温度に応じて熱量をコントロールする自己温度制御機能を持っています。寒いと熱量を大きくして暖め、設定の温度に達すると上がりすぎないよう熱量をコントロールします。ヒーターの消費電力の少なくして省エネ効果があり、素早く暖まり、安全性に優れています。

遠赤外線タイプ

遠赤外線で保温すると、ケージの中をじんわりと暖めるので、鳥にとっては快適です。遠赤外線タイプはケージから離れた場所に設置して暖めるため、コードをかじられません。

ヒーターを使う前にやること

ヒーターを使うだけでなく、他にも温度を上げることができます。また、ヒーターだけでは温度が上がらない時は以下の方法も取り入れて下さい。

  • ケージの設置場所を変える
  • ケージを布、ビニール、アクリルで囲う
  • .部屋の室温をあげる

ケージの設置場所を変える

部屋の中でも床や窓の近くはケージを置かないことです。冷たい空気が下に流れるので床から1m位の高さに置きます。窓に近いと隙間風が入って寒くなります。

ケージを布.ビニール.アクリルで囲む

ケージを布、ビニールで覆ったり、アクリル板で囲むと温度が多少上がります。布や毛布などで囲うと鳥が見えなくなるので、ケージの一部を覆って下さい。布や毛布、ビニールは鳥がつついて飲み込んでしまうことが懸念されます。透明のアクリル板でケージを囲う商品も販売されています。

部屋の室温を上げる

室温を上げるにはエアコンや人用のヒーターを使いますが、暑くなりすぎることもあるので注意して下さい。また乾燥しすぎないように、加湿することが必要かもしれません。部屋に放鳥している時は、ストーブやヒーターでヤケドをしないように注意しましょう。エアコンを使用している時に、パネルヒーターや止まり木型ヒーターを補助的に使うだけでも十分に温めることができます。

これがポイント!

・膨らんでいたら、まずは保温
・温度設定は20~25℃、膨らみがおさまらない時は少しづつあげてみる
・まずは部屋をエアコンで暖める
・次にヒーターを使う

まとめ

鳥のヒーターは、一つ持っておかなければいけない商品です。もしもの緊急の時に使用できるようにして下さい。

この記事を書いた人

霍野 晋吉

霍野 晋吉

犬猫以外のペットドクター

1968年 茨城県生まれ、東京都在住、ふたご座、B型

犬猫以外のペットであるウサギやカメなどの専門獣医師。開業獣医師以外にも、獣医大学や動物看護士専門学校での非常勤講師、セミナーや講演、企業顧問、雑誌や書籍での執筆なども行っている。エキゾチックアニマルと呼ばれるペットの医学情報を発信し、これらの動物の福祉向上を願っている。

「ペットは犬や猫だけでなく、全ての動物がきちんとした診察を受けられるために、獣医学教育と動物病院の体制作りが必要である。人と動物が共生ができる幸せな社会を作りたい・・・」との信念で、日々奔走中。