水ガメの水槽の選び方とお薦め商品(飼育の基本)

水を入れて飼育

水ガメは水の張った水槽に陸場を作って飼育します。まずは水槽を用意しないとカメは飼えませんし、ライトをつけたり、陸場となる石や流木を入れるにしても水槽が決まらないと何も用意ができません。本来水槽とは水を貯める容器で、魚を飼う時に使われる水槽を一番に想像すると思いますが、最近はカメ用に、従来の規格された水槽以外に色々な形の水槽が販売されています。水ガメと言っても、水を深く張って飼育する完全水生のカブトニオイガメ、陸場をある程度必要とする半水生のイシガメ、クサガメ、アカミミガメなど、生態にあった環境を整備しなければなりません。水ガメは飼育用の水槽に長い時間入っていることが多いので、安全であり、快適に過ごせて、掃除も楽にできるような商品を選びましょう。

選び方

素材

販売されている水槽タイプのカメのケージは、ガラス製、アクリル製、プラスチック製の3つのタイプがあります。

ガラス製

ガラス製は丈夫で、水漏れしないようにしっかりとできており、また透明度が高い素材のため、水槽の中がよく見えます。水の状態も外から確認しやすいので、水替えのタイミングがつかみやすいでしょう。もちろん、鑑賞用ならびに美観的な水槽としてもぴったりの素材といえます。しかし、ガラスは衝撃に弱く、割れる恐れがあり、他の素材に比べ重量もあるため、専用の水槽台を用意したい、落下防止対策を考慮しなければなりません。持ち運びをする際は、破損しないように慎重に取り扱ってください。購入する前にあらかじめ持てる重さかどうか、水の量を含めた総重量を確認しておくべきです。

ジェックス グラステリア スリム ロータイプ

45cm
60cm

ガラスの美しさはインテリア!独自の製造技術でガラスの接合面に使うシリコンを美しく塗布、境目の美しさが違います。鏡面加工されたガラス断面は輝きとともに接合の強度をアップさせます。

アクリル製・プラスチック製

アクリル製やプラスチック製はサイズや形が自在になるので、独特な形状の水槽があります。しかし、アクリル製はカメの爪で傷が付きやすく、苔や細菌が繁殖しやすくなります。また、ヒーターや照明などで溶けてしまう可能性もあります。幼体の小さいカメではプラスチック製の小型水槽のプラケージと呼ばれるものが多く使われますが、天井に蓋が付いるので逃走の恐れがないです。

大きさ

サイズは、飼育するカメの種類によって異なります。子ガメは手のひらに乗るくらいの数cmの小さいサイズなので、プラケージが一時的に使われることが多いです。スターターキットとして水槽以外に、フタ、陸場となる浮島、フィルター、エサが付いている商品もあります。しかし、カメは成長が早いので、数ヵ月しか使えなくなるので、予想される成体のサイズを考えて水槽を選ぶの一つの方法です。

アカミミガメ

一般的には、ケージの広さは甲羅の3倍あるいは4~5倍の面積が目安とも書かれ、幼体あるいはミシシッピニオイガメなどの小型の種類には、幅が45~60cmほどの水槽を選択しますが、これは全く根拠がありません。これよりも広いと、活発に動いたり、泳いだりできるので、肥満の防止にもなります。狭い水槽では、水槽の壁を頻繁に引っかくようになり、趾爪に外傷を負うことがあります(皮潰瘍性足底皮膚炎)。

水ガメは日光浴するための陸場が必要となり、光と保温のためのバスキングライト、甲羅の成長に必要な紫外線ライトを付けることも考えなければなりません。最終的にイシガメ、クサガメ、アカミミガメなどは甲長が30㎝を超すので、最低でも90cmのサイズの水槽が理想となります。それよりも大きいものが理想ですが、部屋の中での水槽を置く場所や掃除のしやすさなども考えると迷ってしまいますよね。幼体の水槽を検討する際には、成長後の体の大きさも考慮することが重要で、はじめは小さなサイズでも、種類によっては体の大きさが倍以上になることも想定されます。成長に合わせて少しずつ水槽のサイズを大きくする必要がありますが、買い替えは費用がかさむため、最初から成長することを考えて大きな水槽を用意しても構いません。

ガラス製 ジェックス グラステリア スリム 90㎝ ロータイプ

90㎝の美しい水槽!独自の製造技術でガラスの接合面に使うシリコンを美しく塗布、境目の美しさが違います。鏡面加工されたガラス断面は輝きとともに接合の強度をアップさせます。

高さ

カメ用の水槽として販売されている製品は、魚用の水槽より高さが低いロータイプと呼ばれているものです。その理由は高い水槽では掃除などのメンテナンスがしにくいこと、カメは上からつかまれることにストレスを感じるためです。小型のカメで使う水槽は、プラケージ以外は蓋がないタイプがほとんどです。ロータイプの水槽を使うと、高い陸場から脱走しないように、ケージのレイアウトには注意して下さい。カメが立ち上がっても、水槽のヘリに触れない高さのものを選ぶようにしましょう。

カメの飼育初心者のための水槽セット

カメを始めて飼う人は水槽セットが推奨されます。セットは水中濾過フィルター、餌、カルキ抜き剤などがセットになっているため、付属品のサイズをその都度調べる手間が省け、購入後、スムーズに飼育を開始できます。浮島(陸場)も付いていると、紫外線を浴びたりできるため便利です。

ジェックス カメ元気 カメの楽園450

最初に買う水槽!専用の蓋、陸場となるカメの島、エサと水のカルキ抜き剤がセットのスターターキット。幼体のカメで水槽に悩んでいたら、これしかないです。ここまでセットで付いており、値段も超お得なんです。

水作 タートルファミリーフラットL

小型水槽で少しでも良い商品を考えているならコレ!ガラス製水槽で、サイズは横幅約40㎝の中型です。ロータイプで使いやすく、専用の蓋、浮島、水中フィルター、カルキ抜き、餌がセットになったスターターキットです。上記のカメの楽園450より、グレードアップした商品ととらえて下さい。

まとめ

カメの成長程度によってケージを選ばないといけませんが、実際の成長を見てからでないと、選べいですよね。最初から大きな水槽で購入してもよいのですが、掃除や水替えが大変ですし、部屋の中でのレイアウトも考えたいですしね。カメと人にとっても、最もよい水槽を選ばないといけません!

この記事を書いた人

霍野 晋吉

霍野 晋吉

犬猫以外のペットドクター

1968年 茨城県生まれ、東京都在住、ふたご座、B型

犬猫以外のペットであるウサギやカメなどの専門獣医師。開業獣医師以外にも、獣医大学や動物看護士専門学校での非常勤講師、セミナーや講演、企業顧問、雑誌や書籍での執筆なども行っている。エキゾチックアニマルと呼ばれるペットの医学情報を発信し、これらの動物の福祉向上を願っている。

「ペットは犬や猫だけでなく、全ての動物がきちんとした診察を受けられるために、獣医学教育と動物病院の体制作りが必要である。人と動物が共生ができる幸せな社会を作りたい・・・」との信念で、日々奔走中。