ビタミンD(Vitamin D)は脂溶性ビタミンに分類され、日光浴によって生合成されます。カルシウムおよび骨形成に関与し、天然由来のビタミンDは、キノコなど植物由来のビタミンD2(エルゴカルシフェロール:Ergocalciferol)と、魚類の肝臓や魚肉,卵黄由来のビタミンD3(コレカルシフェロー ル:Cholecalciferol)に分類されています(以前に発見されたビタミンD1は、後にビタミンD2と混合物による人工産物の見誤りであるということが判明し、現在は使用されていません)。ビタミンD2とビタミンD3は側鎖構造のみが異なる同族体ですが、通常まとめてビタ ミンDとして扱います。鳥の主食としてもあげられる、ヒエ・アワ・キビなどのシードでは、十分なビタミンDを摂取することができません。総合栄養食であるペレットの原材料には、ビタミンDが配合されていますし、鳥用のサプリメントなどでも補ったりすることはできます。しかし、その得られる効果には個体差があるため、健康的な骨格形成には、日光浴が欠かせません。人ではビタミンD3が重要な働きを果たしています。またビタミンD3は、身体内でにコレステロール生合成の最終中間体である7-デヒドロコレステロール(プロビタミンD3)からも生成されます。皮膚に存在する7-デヒドロコレステロールが、紫外線(Ultra-Violet:UV)に照射されるとステロイド骨格B環が 開裂し、プレビタミンD3となります〔Crissey et al.2003〕。ヒトでは午前10時から午後3時の太陽光を少なくとも週に2回、5分から30分の間、顔、手足、背中に浴びることで十分な量のビタミンDが体内で生合成されると言われています〔Holick 2007,Holick 2002〕。これらのプレビタミンD3は身体内において体温で異性化し、ビタミンD3(コレカルシフェロール)に変換します。ビタミンD3は、肝臓で水酸化されて、 25-ヒドロキシコレカルシフェロール(25(OH)D3、カルシジオール)へと変化し,ビタミンD結合タンパク質と結合し,血液中を長期間安定的に循環します。25(OH)D3はさらに腎臓で水酸化されることで活性型ビタミンD(1,25-ジヒドロキシビタミンD3、カルシトリオール)となり〔Akers et al.2013, Elaroussi et al.1993,Holick 1989〕、様々な効果を発現します。腸からカルシウムの吸収を高めて血中濃度を高くし、腎臓の働きによりカルシウムの血中から尿への移動を抑制し、骨から血中へカルシウムの放出を促進します〔Donald et aL.2004,Elaroussi et al.1993〕。飼鳥ではくる病や代謝性骨疾患が多発するため、日光浴はとても重要なのです。
体内時計の調節
野生の鳥は、朝日が昇るのとともに活動を始めて、太陽が沈むと身体を休めます。つまり、生活リズムおよび体内時計が自然と整いますが、屋内飼育では夜も飼い主の都合で照明をつけて明るくなり、リズムが取りにくくなるわけです。できるだけ午前中のうちに日光浴をさせて、体内時計をリセットする必要があります。人では睡眠ホルモンとよばれるメラトニンは太陽光を浴びることで夜間に分泌が盛んになり、体内リズムを調整される報告があります〔Murphy et al.1997,Duffy et al.2002〕。
Akers RM,Denbow DM.Anatomy and Physiology of Domestic Animals.2nd ed.Digestive System.Chapter 17.John Wiley & Sons Inc.Hoboken NJ .USA.p483-527.2013
Crissey SD,Ange KD.Jacobsen KL et al.Serum concentrations of lipids, vitamin d metabolites,retinol,retinyl esters,tocopherols and selected carotenoids in twelve captive wild felid species at four zoos.The Journal of nutrition133(1):160-166.2003
Duffy JF et al.Peak of circadian melatonin rhythm occurs later within the sleep of older subjects.Am J Physiol Endocrinol Metab282:297-303.2002
Donald V et al.Biochemistry. Volume one.Biomolecules, mechanisms of enzyme action,and metabolism 3rd edition.John Wiley & Sons.New York.p663-664.2004
Elaroussi MA et al.Adaptation of the kidney during reproduction: role of estrogen in the regulation of responsiveness to parathyroid hormone.Poult Sci72:1548-1556.1993
Holick MF.Phylogenetic and evolutionary aspects of vitamin D from phytoplankton to humans. In Vertebrate Endocrinology:Fundamentals and Biomedical Implications.Pang PKT, Schreibman MP eds.Academic Press Inc.(Harcourt Brace Jovanovich).Orlando.FL.USA.1989
Holick MF.Vitamin D deficiency.The New England Journal of Medicine357(3):266-281.2007
Holick MF.Vitamin D:the underappreciated D-lightful hormone that is important for skeletal and cellular health.Current Opinion in Endocrinology & Diabetes9(1):87-98.2002
Murphy PJ et al.Nighttime drop body temperature:A physiological trigger for sleep onset?.Sleep20 (7):505−511.1997