ボタンインコ・コザクラインコってどんな鳥(知らないといけない生態と特徴)

愛の鳥Lovebird

ボタンインコやコザクラインコは番で仲良くなり、愛情深いために、英語ではラブバード(Love bird:愛の鳥)と呼ばれています。

飼い鳥の中でも最も色変わりが多く流通している品種かもしれません。大正時代に日本で輸入されましたが、当時は高級だったため飼われることはありませんでした。近年になってカラーバリエーションが増えました。

コザクラインコ

分類・生態

ボタンインコもコザクラインコもオウム目インコ科ボタンインコ属し、アフリカに生息しています。派手なカラフルな色をしています。ボタンインコ属は下記の9種の基亜種に分類されています。この中でルリゴシボタンインコ、キエリクロボタンインコ、コザクラインコがペットとして飼育されています。この2種類のボタンインコは交雑種、あるいは色変わりの品種が多数作られています。コザクラインコはボタンインコ以上の色変わりの品種が作られて、ペットでは原種が圧倒的に少なくなっています。

分類

オウム目インコ科ボタンインコ属
学名Agapornis spp.
英名
:Love bird

和名学名英名
カルカヤインコAgapornis canusGrey-headed Lovebird
ルリゴシボタンインコA.fischeriFischer’s Lovebird
ボタンインコA.lilianaeLilian’s Lovebird
クロボタンインコA.nigrigenisBlack-cheeked Lovebird
キエリクロボタンインコA.personatus Yellow-collared Lovebird
コハナインコA.pullariusRed-headed Lovebird
コザクラインコA.roseicollisRosy-faced Lovebird
Peach-faced Lovebird
ワカクサインコA.swindernianusBlack-collared Lovebird
ハツハナインコA.tarantaBlack-winged Lovebird
表:ボタンインコ属の分類

分布

・ルリゴシボタンインコ:タンザニアの北東部
・キエリクロボタンインコ:タンザニアの北部、ケニアの南部

・コザクラインコ:アフリカ南西部のナミビア共和国の西部~アンゴラ共和国の南西部

ボタンインコ

身体と生態(ボタンインコ)

体長:約13cm
体重:35~50g
羽色:緑色、黄色、オレンジ色などの色が体の部分的にみられます。目の周りに白色のアイリング(Eye ring)があるのが特徴です。
対趾足

環境:熱帯のサバンナ
行動
・数十羽の群れで生活をしています。

食性:穀食性で、主に植物の種子を食べていますが、果物も好みます。
寿命:10~15年

身体と生態(コザクラインコ)

体長:17~18cm
体重:42~55g
羽色
・緑色の体色をしており、額から胸にかけては赤色をしています。

・目の周りの白色のアイリングはボタンインコと比べて乏しいです。

コザクラインコ

環境:森林、半砂漠および山岳地方の半乾燥地帯


行動と食性
・ボタンインコとほぼ同じです。
寿命:10~15 年

分類と生態のポイント!

・ボタンインコとコザクラインコは近縁種
・アフリカにすむカラフルな小鳥
・ボタンインコとコザクラインコの交雑種はヤエザクラインコ
・雌雄で仲が良いLove Birdと呼ばれている
・ルリゴシボタンインコ、キエリクロボタンインコ、コザクラインコがペットとして飼われている
・ルリゴシボタンインコとキエリクロボタンインコから、多くの品種が作られている

性格・性質

群居性

群れで生活し、行動や鳴き声によるコミュニケーションを積極的にとっています。番(ペア)以外の複数飼育および他の種類の鳥との同居は、ケンカをするので避けた方がよいです。

大きな鳴き声

鳴き声が結構大きく、甲高い声質をしています。集合住宅などで飼育する場合は、少なくとも朝や夜は防音カーテンなどで音が外に漏れないように工夫しましょう。

愛情深い

同居個体や飼い主以外には警戒して人見知りすることが多いです。しかし、Love bird と名前の通りに馴れると愛情深いですが、とても嫉妬深い性格かもしれません。

コザクラインコ

寂しがりや

あまり構ってあげられない、寂しいと感じると、毛引きをしたり、攻撃的になったりするので、スキンシップをとる時間をしっかりとるか、はじめから番(ペア)で飼うとよいでしょう。

意思表示

意思表示が明確です。コロコロと転がり、毛布などに潜り、何にでも興味を持つ活発で遊び好きな性格をしています。甘えたかと思うとすぐに怒ったりする自由奔放です。コザクラインコ・ボタンインコは表情豊かで、行動や鳴き方から感情を読みとったり、以下のような意思表示を理解できます。

ご機嫌
・止まり木を行ったり来たりする
・身体を大きく左右に揺すり、頭を上下に振る
・元気よく「ヒーッ!ヒーッ!」と金属音のように高く、かすれ気味に鳴く

コザクラインコ

落ち着いている
・小さく「ピヨヨ!」と鳴く
・リラックスした感じで羽繕いをする

甘え
・首をかしげる
・甘がみ
・身体をこすりつけてくる
・優しく「ピヨヨ!」、「ビヨヨ!」と鳴く

コザクラインコ

驚いた時・威嚇
・羽を体にぴったりつけて細くなる
・慌てて飛び回る
・強く「ヒーッ!ヒーッ!」と警戒するように鳴く
・近づいてかんでくる

特徴

寸胴な体

外見は寸胴な体型と先の丸い尾羽をしています。

発達した嘴

嘴が発達しており、特に上嘴が大きいです。かむ力も強いので、幼鳥から手乗りで育てて下さい。かまれると流血になることもあります。縄張り意識があるので、不用意にケージに手を入れるといきなりかまれることもあります。

特徴のポイント!

・ボタンインコにはアイリングはがあるが、とコザクラインコにはない
・見た目だけでなく行動も可愛い
・愛情深い性格
・わがままな鳥で、手乗りにした方がよい
・鳴き声が大きい
・ストレスによる毛引きが多い

コザクラインコ、オカメインコ、セキセイインコ、ジャンボセキセイインコ、十姉妹、文鳥のしつけ方.まんがびと

えっ、鳥のしつけ???

参考文献

  • Cameron M.Cockatoos.CSIRO Publishing.Australia.2007
  • Gill FB.Ornithology,3rd ed.W.H.Freeman and Company.New York.2007
  • David Alderton.You &your pet bird.Dorling Kindersley.London.1992

この記事を書いた人

霍野 晋吉

霍野 晋吉

犬猫以外のペットドクター

1968年 茨城県生まれ、東京都在住、ふたご座、B型

犬猫以外のペットであるウサギやカメなどの専門獣医師。開業獣医師以外にも、獣医大学や動物看護士専門学校での非常勤講師、セミナーや講演、企業顧問、雑誌や書籍での執筆なども行っている。エキゾチックアニマルと呼ばれるペットの医学情報を発信し、これらの動物の福祉向上を願っている。

「ペットは犬や猫だけでなく、全ての動物がきちんとした診察を受けられるために、獣医学教育と動物病院の体制作りが必要である。人と動物が共生ができる幸せな社会を作りたい・・・」との信念で、日々奔走中。