ミーアキャットのセンチネル行動(立って周りを見てる理由)

見張り

ミーアキャットは群れで生活をし、緊密な社会を形成しています。群れの中で、餌を食べている時には、通常は、そのうちの1頭 (2頭以上であることはめったにない) が周囲を見渡して、仲間に対して定期的に見張り行動として、鳴き声を発します。鳴き声を発することで、餌を食べている個体に対して、誰が見張りをしているのかの確認や天敵が周囲に近づいてきた警告としての役目です 〔Rauber et al.2018〕。集団が巣穴から離れて餌を食べている時、見張り役センチネルは通常周りにいます。見張りのミーアキャットは危険を察知すると独特の鳴き声(アラームコール)をあげて仲間に知らせ、一緒に巣穴に逃げ込むことができます。この見張りの行動をセンチネル行動 (Sentinel behavier) と呼ばれています 〔Manser 1999〕。

アラームコールを子が聞くと、母親に向かって走り回り、母親の周りに寄り添います〔van Staaden 1994〕。

見張り役は一人だけ

見張り役は毎回交代するものではないそうです 〔Clutton-Brock et al.1999〕。その交代のタイミングなどはよく分かっていませんが、見張り役は経験者の方が優れていると言われています。経験者と経験が浅い見張り役を使って実験をした所、経験者の見張り役の鳴き声の方が、巣穴に逃げ戻る時間が早かったという結果がでています。

参考文献

  • Clutton-Brock T,Maccoll A,Chadwick P, Gaynor D,Kansky R,Skinner JD. Reproduction and survival of suricates (Suricata suricatta) in the southern Kalahari.Afr J Ecol37(1):69-80.1999
  • Manser MB.Response of foraging group members to sentinel calls in Suricates, Suricata suricatta.Proc Biol Sci266 (1423):1013.1999
  • Rauber R,Manser MB.Experience of the signaller explains the use of social versus personal information in the context of sentinel behaviour in meerkats.Sci Rep8 (1):11506.2018

この記事を書いた人

霍野 晋吉

霍野 晋吉

犬猫以外のペットドクター

1968年 茨城県生まれ、東京都在住、ふたご座、B型

犬猫以外のペットであるウサギやカメなどの専門獣医師。開業獣医師以外にも、獣医大学や動物看護士専門学校での非常勤講師、セミナーや講演、企業顧問、雑誌や書籍での執筆なども行っている。エキゾチックアニマルと呼ばれるペットの医学情報を発信し、これらの動物の福祉向上を願っている。

「ペットは犬や猫だけでなく、全ての動物がきちんとした診察を受けられるために、獣医学教育と動物病院の体制作りが必要である。人と動物が共生ができる幸せな社会を作りたい・・・」との信念で、日々奔走中。