◎爬虫類の床敷の解説とお薦め商品

ケージの下に敷くもの

床敷の役目とはケージの中で、足が滑るのを防ぎ、かつ美観も考慮したいです。また、生息地の湿気も床敷で調整できるし、穴掘りなどの習性を満たし、本来の行動も再現できます。もちろん、誤食など安全性および衛生面も配慮もしないといけません。

  • 肢が滑らない/歩きやすい
  • 美観に優れている
  • 湿度調整
  • 穴掘り
  • 安全性
  • 衛生面
  • コストパフォーマンス

四肢が滑らないようにしないと床敷の役割を果たしません。一般的には3〜5cmの厚みになるように敷きつめますが、大きなケージや巣穴のように潜る習性のあるものでは膨大な床敷の量が必要となり、コストパフォーマンスが悪くなります。生体の種類によって床敷の材質で湿気も作らないといけません。床敷の素材により誤飲の危険性はありますので、採集パターンにも注意しないといけません。爬虫類の多くはトイレを覚えないため、床敷には食渣や排泄物が溜まります。日頃のお手入れも、糞や尿が付いた部分の床敷を取り除き、汚れ具合によって、定期的に交換しないと、悪臭になります。最近はマットタイプの床敷も販売されています。

選び方

種類ならびに生態毎に分けて解説します。

ヒョウモントカゲモドキ・フトアゴヒゲトカゲ・リクガメのための乾燥系の床敷

乾燥した環境を再現するなら、砂系、植物系、セラミック、紙系の床敷が使用されます。

  • 砂系
  • 植物系 (バークチップ、クルミの殻)
  • セラミック
  • 紙系 (キッチンペーパー、ティッシュ)

砂系

細かい乾燥した床砂がよく使われており、生息地をイメージさせてレイアウト的に美観も優れています。商品として販売されているものは、砂粒の大きさは様々です。バスキングライトやパネルヒーターで保温していると砂自体も暖まり、温まった砂の上にいる生体も暖まります。また、穴を掘る習性のあるヒョウモントカゲモドキやヨツユビリクガメなどは、床砂を掘る行動が再現できて習性が満たされます。

砂系の床敷の欠点は、粉塵として目に入って角膜潰瘍・角膜炎が起こる可能性と、餌と一緒に誤飲しやすく、消化管閉塞の可能性があることです。爬虫類や両生類は餌容器から餌をきちんと食べるとは限らず、特に生き餌などは容器から逃げ出すので、必然的に砂と一緒に口にします。微細な砂で少量であれば自然に糞と一緒に排泄されますが、運悪いと胃や腸で閉塞します。多くの砂系商品は排泄されやすい形状にするなどの策を取っています。下の写真はヒョウモントカゲモドキの床砂の誤飲のX線写真です。砂はX線不透過性にために明確に診断できます。

下の写真はウーパールーパーの床石の誤飲X線の写真です。目の前の餌を吸い込んで食べるので、床石を一緒に誤飲しやすいのです。

砂系 ヒョウモントカゲモドキ向け

ジェックス エキゾテラ デザートソイル

2㎏
4kg

臭い対策&湿気対策もできる!天然の赤土から作られた多数の小さな孔が開いた砂で、多孔性の砂は糞や尿のアンモニアも吸着し、砂は排泄物とともに固まるので掃除も楽チン。そのまま使えば乾燥系、散水すれば砂が水分を含んで保湿系として使えるので、とても便利。

砂系 フトアゴヒゲトカゲ向け

ジェックス エキゾテラ デザートベース細目

通気性に優れ&湿度で砂色が変わる!とにかく綺麗にみせたいならこの天然砂。糞や尿が一緒にまとまるので、汚れた部分だけ取り出しやすく、乾燥している明るい茶色、湿らせると暗い茶色になるので、床材の湿り具合がひと目でわかり、湿度管理の目安にもできちゃう。

砂系 陸ガメ向け

ジェックス エキゾテラ  デザートベース粗目

歩きやすい粗目&湿度で砂色が変わる!とにかく、この天然砂、歩きやすいとカメが申しております。糞や尿が一緒にまとまり、乾燥している明るい茶色、湿らせると暗い茶色になり、湿度管理の目安にもなる。

砂系 見た目良くするなら

ワイルドプラネット ホワイトサンド 3kg

とくかくかっこいい~白くサラサラの100%天然砂、ガラスの原料にも使用されるオーストラリア産超高純珪砂を使用。

植物系

植物系の床敷ではウッドチップとバークチップが昔から使用されていましたが、最近はクルミの殻を砕いて床砂に似せた商品が注目されています。見た目はまるで砂そっくりにできています。素材がクルミの殻を砕いたものなので、誤飲しても安全であり、砂系床敷と異なり、植物のクルミなので燃えるゴミとして廃棄できるのも利点です。

クルミ

カミハタ デザートブレンドクラシック

2.2kg
4.4kg

くるみの殻を細かく砕いて直径1mmのまるでサラサラの砂!天然の砂と異なり、とても軽くて吸水性が高く、餌と共に飲み込んでしまっても体内で分解・もしくは糞として排泄

木製のチップでは、ウッドチップとバークチップ、ヤシガラが昔から使用されていますが、特にバークチップは松の樹皮をはぎ、砕いて加工したもので、 比較的角がなく、少しサイズが大きい事が特徴です。飛び散りにくく崩れにくいため、身体が重くなる爬虫類でもしっかり踏ん張ることができます。

バークチップ 大型の陸ガメ向け

ジェックス エキゾテラ テラリウムバーク

4kg
8kg

マツの樹皮100%の床材!自然な景観をテラリウム内に再現し、飛び散りにくく崩れにくいため、身体が重くなる爬虫類でもしっかり踏ん張ることができる

セラミック系

最近はセラミックサンドと呼ばれるセラミックを焼いて作った砂も流通しており、消臭や有害物質も吸着する作用があります。セラミックサンドは潰すと砕けるように作られており、生体が誤飲しても排泄しやすくなっています。

紙系

見た目を気にしなければ、キッチンペーパーやペットシーツなどの紙系の床材が選ばれます。粉塵もないので目のトラブルを避ける目的で使用されることもあります。

ヒョウモントカゲモドキ

紙系 スーパー床材

邑楽ファーム 爬虫類用ペーパーサンド

ノーマルカラー3L
チャコールカラー 3L

防カビ材・抗菌・高吸収性床材!防カビ材と抗菌剤を配合し、湿らせることで快適な湿度を保てるよう設計されています。

ヘビなどの保湿系の床敷

熱帯や亜熱帯に生息している爬虫類には、土砂系や植物系の保質力の高い床敷がお薦めです。保湿系の床敷のデメリットは カビや虫が発生しやすいので、 定期的に交換することを心掛けて下さい。

  • 土砂系 (赤土、黒土)
  • 植物系 (ヤシガラ、ウッドチップ、水ゴケ)

土砂系では天然の赤土などを加工して作られたものが多く、保水性や通水性が優れているのが特徴です。粒のサイズが大きく、生体が床砂の上を歩いても足が埋もれないようにできています。

土砂計

ジェックス  テラリウムソイル

2㎏
4㎏

ワイルド感満載だぜ!土壌にいるバチルス菌が生きたまま配合された黒ボク土。バチルス菌は食べかすや糞のアンモニアまで分解して、ケージの中の衛生状態を改善。通水性ならびに保水性にも優れ、テラリウムの植物まで丈夫に育ちます。

植物系ではヤシガラ、ウッドチップなどよく使われます。散水する量で保湿の程度を変えることができます。保湿力をとにかく求めるなら水ゴケがベストで、使用する場合は水でふやかしてから使います。また、再度乾燥した場合でも水に濡らして再び利用できますが、腐敗の原因となりますので糞尿で汚れた部分は早めに取り除きます。汚れの程度にもよりますが清潔な環境を保つために1~3ヵ月程度での交換をお薦めします。ケージの床全体に敷くだけでなく、シェルター内だけの局所的に湿度を上げたい時にも使われます。

水ゴケ

邑楽ファーム THE 水ゴケ

6L
10L

乾燥でも保湿でも使える床敷

乾燥でもなく、やや湿った位の地域にいる爬虫類には何を使ったらよいのでしょうか?季節によって半乾燥や湿潤した環境を作らないといけないこともあるし、表面は乾いているけれど掘ると湿っているという状況などでも困ってしまいます。このような時にはヤシガラやウッドチップなら状況に合わせて全体を湿らせて使ったり、深い所は湿らせることもできます。必要に応じて霧吹きや散水して保湿の具合を変えることができます。ヤシガラはヤシの硬い外皮を均一にカットしたハスクチップとも呼ばれ、軽量かつ保水性、通気性に優れた素材で、水に漬け具合で、湿度がうまい具合に調整でき、産卵床にも使用されます。木材を細かくチップ状に砕いたウッドチップもバークチップと同様に乾燥したままでも湿らせても使用できるので、飼育生体に合わせた棲息環境を再現できます。

ヤシガラ

陸ガメならハスクチップ

自分で湿度を調整しちゃょおう!ココナツヤシ殻の床材で、四肢に優しい素材

カビ防止プレート

床敷やキッチンペーパーの下に敷くことで、余分な水分を吸い取って湿気を取り、その水分をゆっくりと放出することでプレート付近を長時間高湿度に保つ。生きたバクテリアをプレートにたっぷり含ませ、湿度を与えることで活性化したバクテリアが床材へ移り、カビの発生を抑制する魔法のプレートです。

ジェックス エキゾテラ 調湿防カビプレート

ケージ内の乾燥しすぎを防ぐ!多孔質構造のセラミック製のプレートで、結構優れものですので、ぜひ一枚と言わず数枚引き詰めて!

マットタイプ床敷

床材でなく、マットタイプの床敷もあります。ケージの大きさに合わせて切って使用できます。そのままマットだけの使用の他にも他の床材と併用もできます。

サンコー ココマット

レプタイルボックス専用ですが・・・他のケージに使えます。通気性に優れるココナッツ繊維は温度と湿度を保ちます。

代謝性骨疾患が心配な時の床敷

炭酸カルシウムの砂で、床敷を口にしやすい爬虫類にとって、十分なカルシウムの補給になるという画期的な床敷です。

砂系

ワイルドプラネット カルシウムサンド

画期的な商品!甲羅も骨も丈夫にしちょおう!ちょっと贅沢かも・・

爬虫類飼育での臭いとお薦め消臭商品はコチラ

まとめ

爬虫類の床敷は足場になるだけでなく、温度や湿度管理にも影響し、穴をほるような自然の行動を生み出します。もちろん限られたケージ内の衛生管理のために掃除も楽にできるものが理想です。病気にさせずに健康にするために、床敷選びも大切なので、しっかりと選んであげましょう。

この記事を書いた人

霍野 晋吉

霍野 晋吉

犬猫以外のペットドクター

1968年 茨城県生まれ、東京都在住、ふたご座、B型

犬猫以外のペットであるウサギやカメなどの専門獣医師。開業獣医師以外にも、獣医大学や動物看護士専門学校での非常勤講師、セミナーや講演、企業顧問、雑誌や書籍での執筆なども行っている。エキゾチックアニマルと呼ばれるペットの医学情報を発信し、これらの動物の福祉向上を願っている。

「ペットは犬や猫だけでなく、全ての動物がきちんとした診察を受けられるために、獣医学教育と動物病院の体制作りが必要である。人と動物が共生ができる幸せな社会を作りたい・・・」との信念で、日々奔走中。