爬虫類のUV(紫外線)ライト

爬虫類への紫外線

昼行性の爬虫類は太陽光を浴びて体の調整が行われます。特に保温効果と骨・甲羅の硬質化という重要な役割を太陽光は担い、飼育する際には、保温のためのバスキングライト、骨や甲羅の形成のための紫外線(Ultra violet:UV)ライトが必要になります。ただしクレステッドゲッコー含む夜行性ヤモリやヘビなどは体内でビタミンD3を紫外線無しで合成できますので、基本的にはライトは不要になります。紫外線は人の目には見えませんので、バスキングライトのように暖かくないので、なかなか実感しません。

まずは光についてコレを読んでみて!

紫外線ライト

爬虫類に必要な紫外線を照射できるライトは装は、灯蛍光タイプと電球タイプがあります。後者は一般的には通常の電球ソケットに取り付けて使用します。万力式やクリップ式のソケットが利用できるので、設置の自由度が増えます。

2つのライトのタイプ

爬虫類用の紫外線ライトは、蛍光灯タイプとソケットタイプの2つのタイプがあります。

蛍光灯タイプ

蛍光管タイプは熱帯魚用のスタンドライトに取り付けて使用するので、スタンドライトと水槽は決まったサイズの商品になります。購入前に水槽のサイズを確認しなければなりません。

紫外線ライト

従来からは細長い蛍光灯タイプが使われ、ライトスタンドに取り付けて使用されてきました。水槽の上に乗せて使用し、全体にUV-Bが照射されるようにします。

水槽以外にも飼育用のケージの天井に取り付けて使用され、水槽やケージ全体に紫外線を照射できるのが特徴です。

紫外線ライト

ソケットタイプ

蛍光管を折り曲げてコンパクトにしたスパイラル型とかボール型と呼ばれることもありますが、ここではソケットタイプと呼ぶことにします。どちらも電球ソケットに取り付けて使用します。万力式やクリップ式のソケットが利用できるので、設置の自由度が増えます。

紫外線ライト

小型のケージや水槽以外の自作のケージに取り付けられることが特徴です。しかし、照射範囲が限定的になってしまうので、ケージの両端にライトを2つ取り付けたりと、よく考えて設置しましょう。

紫外線ライト

使い方

紫外線ライトは保温効果はないので火傷の恐れはありません。一般的に紫外線ライトはバスキングライトと併用して、朝から夕方まで点灯するようにします。可視光も出ていますので、夜間は消灯します。そして紫外線ライトは設置する条件と寿命がありますので注意して下さい。寿命の多くは約1年になりますので、例えライトが明るくても交換をするべきです。

シェルターやタイマー

紫外線が極端に強すぎても悪影響を及ぼしますので、爬虫類が生息している場所を考えて距離を調節したり、タイマーと連動させて照射時間を調整しないといけませんません。また、爬虫類が自ら移動できて、暗い場所に移動できるようにシェルターも用意しましょう。

ガラス超しはダメ

紫外線の特徴として、物に反射したり、吸収もされやすく、窓ガラスで96%以上吸収されてしまいますので、効果が減退します。紫観賞魚のように水槽のガラス蓋の上にライトを乗せても意味がありません。直接光があたるように設置して下さい。

ライトだけ頼らない

「紫外線もどのくらいの強度のUV-Bをどのくらいの距離で、何時間あてればよいのか?」という明確な指標はありません。紫外線ライトは、あくまでも補助的なライトで、太陽光に勝るものはないです。夏や秋など温度が維持できる時期には、直射日光浴や甲羅干しもさせてあげましょう。窓際にケージや水槽を置いて浴びさせても、紫外線はガラスによって吸収されるので、その時は網戸にして下さい。

太陽光

ライトの交換は最低1年毎

紫外線ライトは、時間の経過とともにUV-Bの発生量が落ちてくるため、半年~1年程度で交換する必要があります。可視光は普通に放射されていても、UV-Bは出ていない可能性があります。

選び方

ライトのタイプ

爬虫類用の紫外線ライトは、蛍光灯タイプとソケットタイプの2つがありますので、ケージのタイプや生体の大きさなどで好きな方をお選びください。

ワット数

蛍光灯タイプは、「15型 (15W)」「20型 (20W)」「30型 (30W)」「32型 (32W)」「40型 (40W)」などの規格に分かれ、取り付けるスタンドライトと使用する水槽のサイズも、それに応じて設計されています。使用する水槽に応じて、紫外線ライトのワット数は決まります。基本的には15Wが45cm水槽用、20Wが60cm水槽用、30Wと32Wが90cm水槽用になります。ソケットタイプも様々なワット数の製品があります。明るさは通常の蛍光灯ライトとほぼ同じなので、上記の目安を参考に選んで下さい。

UV-Bは何%

爬虫類用ライトは、UV-Bの強さが「2.0」「5.0」「10.0」のように数字で表記され、光の中でのUV-Bが占める割合を%で表したものです。数値が大きいほど、紫外線が強いと思って下さい。爬虫類の生態を考えると、砂漠と熱帯雨林では紫外線の強さは異なりますので、各爬虫類に生息地に適したライトを選ぶ必要があります。アガマやリクガメなど砂漠やサバンナのような特に紫外線の強い乾燥地帯に住んでいるものは強いものを、昼行性ヤモリや水ガメには中程度のものを、熱帯雨林の森や林床などあまり日の当たらない場所に住んでいるものには弱い紫外線ライトを使用します。ただし、同じ爬虫類であっても、季節や成長期などで通常以上に紫外線が必要なこともありますので、どのライトを使ったらよいのか一定の基準が決められないのです。

紫外線ライト

UVが強いと暗い光になる

紫外線には明るさが足りない欠点もあり、強い紫外線ライトほど明るさは落ちます。暗く見えるために瞳孔が開き、水晶体や網膜が紫外線の影響を受けることが懸念されています。つまり可視光の色のバランスが悪く、ライトによっては可視光ライトも用意する必要もあります。仮にUV-Bのみを強く出すライトだとしても、色が自然の光とは異なると爬虫類が落ち着かない可能性があります。2灯式の取り付け器具を使い、1本は可視光が明るい蛍光灯を設置す、ソケットタイプのライトでは2ることが推奨されています。近年の爬虫類用紫外線ライトは色も自然の光と近くしており、UV-Aの光もしっかりと含まれたライトもあります。紫外線ライトはしっかりとした知識を持って選ばないといけません。

紫外線が強い場合の副作用

高強度または不適切な波長の紫外線への曝露は、爬虫類に重大な罹患さらには死亡率と関連している可能性があります。ボールニシキヘビ とアオタントカゲ では、活動性と食欲の低下、脱皮不全、潰瘍性角膜炎と結膜炎 (ニシキヘビ)、体重減少 (トカゲ) などが見られました。しかし、ライトの照明を改善することで、臨床症状は軽減または解消されました 〔Gardiner et al.2009〕。

紫外線から逃れる場所

個体により紫外線ライトが強い場合もあり、シェルターや樹木など退避できる場所も設けましょう。

お薦めUVBライト

熱帯・亜熱帯に棲息している爬虫類、砂漠やサバンナに棲息している爬虫類によって紫外線ライトの強さを使い分けると選択が容易だと思います。そして可視光の色のバランスが悪いこともあり、ライトによっては可視光ライトも併用して照射することを推奨します。

種類紫外線ライト可視光ライト
熱帯・亜熱帯に棲息する爬虫類
ヒルヤモリ、グリーンイグアナ、パンサーカメレオン、ウォータードラゴン、ファイヤースキンク、ホシガメ、アカアシガメ、水ガメ全般など
レプタイルUVB100 26W ナチュラルライト 13W
漠やサバンナに棲息する爬虫類
フトアゴヒゲトカゲ、アオジタトカゲ、エボシカメレオン、トゲオアガマ、オニプレートトカゲ、サバンナモニター、ミズオオトカゲ、テグー、ヘルマンリクガメ、ギリシャリクガメ、ロシアリクガメ、パンケーキリクガメ、ヒョウモンリクガメ、ケヅメリクガメなど
レプタイルUVB150 26W ナチュラルライト 13W
表:お薦め紫外線ライトの組み合わせ

レプタイルUVBライト

レプタイルUVB100 26W
熱帯・亜熱帯棲息爬虫類用UVライト
レプタイルUVB15026W
砂漠やサバンナ棲息爬虫類用UVライト

ナチュラルライト 13W

自然な発色!可視光ライトね

UVライトとナチュラルライトを一緒に照射できるライトスタンド

こだわって!ここまできたら専用の物使おうよ!

メタハライドランプ

太陽光に近いメタルハライドランプ (略してメタハラと呼ばれています) というライトも販売され、UV-Bの紫外線と赤外線も出ているため、ホットスポットの役割も担っています。昔は価格が少し高いことが欠点でしたが、価格的にも求めやすくなってきました。上手く使うと一石二鳥になります。しかし、熱効果のあるバスキングライトよりは熱が弱いので、高い温度のホットスポットを必要とする種類では、季節によってバスキングライトが必要になります。

メタハライドランプはライト以外にも安定器がないと稼働しないので、ランプをだけではないので、商品自体が大きいことが欠点でした。最近は安定器が内蔵されたライトが作られるようになりました。メタルハライドランプは一般的な照明器具よりも高価ですが、少しづつ値段が下がってきました。省電力で寿命が長いのも特徴です。

メタハラライト

お薦めメタハラライト

ライト電球にカバーやスタンドを取り付けて使用します。

ジェックスソーラーグローUV

80W
125W

マジで一押し!砂漠の太陽光を再現 爬虫類に必須の太陽光で、カルシウム吸収と体温維持を。砂漠やサバンナに棲息するフトアゴヒゲトカゲなんかに向いています。80Wと125Wのライトがあり、それぞれ14cm、18cmのライトドーム(カバーソケットセット)を使って照射しますが、でケージの上から照射することがができ、ケージ内を広く使え、生体やメンテナンス時のヤケド防止になります。本体カバーはアルミ製で反射率を高めています。ライトドームには便利な中間スイッチと、ライトスタンドに吊り下げるための専用ハンガーも付いていますので、超お得ですよ。

専用ライトカバー

14cm
18cm

専用ライトスタンド

小さいケージや水槽でも、容器の下に差し込んで、ライトドームの高さを簡単に調整できるスタンド。

ポイントはコレ!

  • 昼行性の種類には紫外線が必須
  • 骨代謝に重要な波長はUVB
  • ガラス越しの紫外線は効果なし
  • 紫外線ライトは蛍光灯と電球型タイプがある
  • 紫外線ライトは1年毎に交換するべき
  • バスキングライトと紫外線ライトの両方を備えたメタハラライト

参考文献

  • Gardiner DW,Baines FM,Pandher K.Photodermatitis and photokeratoconjunctivitis in a ball python (Python regius) and a blue-tongue skink (Tiliqua spp.).J Zoo Wildl Med40(4):757-766.2009

この記事を書いた人

霍野 晋吉

霍野 晋吉

犬猫以外のペットドクター

1968年 茨城県生まれ、東京都在住、ふたご座、B型

犬猫以外のペットであるウサギやカメなどの専門獣医師。開業獣医師以外にも、獣医大学や動物看護士専門学校での非常勤講師、セミナーや講演、企業顧問、雑誌や書籍での執筆なども行っている。エキゾチックアニマルと呼ばれるペットの医学情報を発信し、これらの動物の福祉向上を願っている。

「ペットは犬や猫だけでなく、全ての動物がきちんとした診察を受けられるために、獣医学教育と動物病院の体制作りが必要である。人と動物が共生ができる幸せな社会を作りたい・・・」との信念で、日々奔走中。