鳥は 嘴、眼の周囲、踵以下の脚を除いて羽毛で被われ、飛翔の揚力や推進力、体幹の保護・防水、保温の役目を担います。さらに、羽色はコミュニケーションにも役立ちます〔Pettingill 1970〕。いくつかの種は頭長く伸びた羽である冠羽を持っており、オウムなどの羽冠は自由に上げたり下げたりして、仲間とコミュニケーションに使用したり、敵に対して体を大きく見せかける防御手段に使われます。羽色のパターンは、二次性兆、捕食者に対するカモフラージュなどに役立ちます。場合によっては、可視で色の違いが認められない場合でも、羽毛の紫外線反射による性差存在することがあります〔Eaton et al.2003〕。
羽毛には正羽と綿羽以外にも、半綿羽、剛毛羽、糸状羽、粉綿羽などの特殊なものも見られます。半綿羽は正羽と綿羽の中間的な形状をし、羽弁を欠いていますが、羽軸はあります。主に綿羽同様、保温の役割をしています。 紛綿羽は最も変わった羽毛で、一生を通して成長し、成長しながら先端が崩れて粉ができます。この粉は羽毛同士の密着性を高めたり、防水効果があります。粉綿羽は、サギ類、ハト類、フクロウ類などや、愛玩の飼鳥では、オカメインコやバタン類に見られます〔Lucas et al.1972〕。サギ類の紛綿羽は腹部にパッチ状に密集している部分があり、嘴を使って粉を羽根から砕いて広げたり、頭を振って粉を全体に塗ることもあります〔Delhey et al.2007〕。糸状羽と剛毛羽は、感覚羽とも言われ、羽の位置や形の乱れを感知したり、異物の侵入の阻止、さらには虫を捕食するために役立つと考えられています〔Lederer 1972〕。
周期的に新しい羽毛に生え換わることを、換羽と呼ばれ、成鳥では年に2回生え換わるものが多いです。ボウシインコ類では年中換羽が見られ、カナリアでは春から始まり夏まで続きます〔Mckibben et al.1986〕。換毛に関与するホルモン、チロキシンとプロラクチンと言われています〔Kuenzel 2003〕。
換羽の餌
幼体のオカメインコにおいて、餌の推奨されるタンパク質が20%が最適であることを示されました。 10%のタンパク質は発育不良を示し、反対に25%以上であると痛風などの異常が見られました〔Roudybush 1986〕。セキセイインコでは餌のタンパク質は17~20%が最適であることが示されていましたが〔Underwood et al.1991〕、他の研究では、2%のリシンと10%のタンパク質が理想とも報告されています〔Drepper et al.1988〕。タンパク質ならびにアミノ酸の欠乏は、1つまたは2種類の種子に制限された餌を摂る場合に最も起こりやすいです。換羽の期間には、これらの栄養を満たした専用のペレットもあるため、一期間与えるとよいでしょう。
羽毛はケラチンから構成され、栄養(アミノ酸)および内分泌要因の影響を受けます〔Brush 1993〕。したがって、換羽時の餌は通常よりも多くのタンパク質を必要とし、一般的にメチオニンやヒスチジンなどの硫黄加アミノ酸の摂取が、羽毛の状態を維持するのに重要とされています〔Wortinger et al.2015,Brue 1994,Wheeler et al.1981〕。鳥の餌のタンパク質不足ならびにアミノのアンバランスがあると、抜羽などの行動(毛引き)、体重減少、羽毛形成不全、生殖能力の低下が見られます〔Wortinger et al.2015,Melo et al.1999〕。同時に嘴もアミノ酸から構成されるため、変形や過長などの異常が同時に見られることがあります。性ホルモンと甲状腺ホルモンも羽毛に関与するため、卵巣・卵管疾患や甲状腺機能低下症に罹患すると、羽毛形成不全や不規則な換羽が起こります。換羽期は羽毛の発育に伴う血管供給が活発になるため、身体の基礎代謝率は約30%増加し、必然的に鳥の栄養要求量も多くなります〔Mckibben et al.1986〕。
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