カメレオンの雌雄鑑別と繁殖

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雌雄鑑別は簡単!

体色と体の大きさ、外観の特徴で雌雄は簡単に鑑別できます。

体色

カメレオンの雌雄は体色による鑑別が有用です。成長するにしたがって、オスは派手な色を示しますが、メスは茶褐色や暗色のものが多いです。カメレオンは発情を迎えるとカラフルで綺麗な婚姻色が見られ 、妊娠したメスは茶褐色~黒色と暗色になり、赤色・黄色・青色などの水玉模様が入る妊娠色になります。

カメレオンの変色の詳しい解説はコチラ!

カメレオンはトカゲの仲間であるため、総排泄孔近くのクロアカサックの膨らみで雌雄の鑑別ができますが、明瞭ではありません。オスは膨らんでおり、尾の基部がやや太いです。

カメレオンのオス

メスは総排泄孔が膨らんでおらず、尾の基部は細いです。

カメレオンのメス

体の大きさと特徴

一般的に、カメレオンのメスはオスよりも小さく、体の特徴的な外貌で雌雄の鑑別ができる種類もいます。ジャクソンカメレオンのオスは頭部に3本のツノを持ちますが、メスは持たないものが多いです。エボシカメレオンのオスの頭頂部のカスクは、上方へ高く伸びていますが、幼体やメスはあまり高くならないです。

エボシカメレオンオス

エボシカメレオンのオスは、後肢の踵に突起物がありますが、メスにはありません。

繁殖

カメレオンの繁殖は難しく、メスが卵関連疾患などで死亡することも多く、素人は手を出さないほうがよいです。

種類エボシカメレオンジャクソンカメレオンパンサーカメレオン
繁殖形式卵性胎性卵生
性成熟5-6ヵ月齢9-10ヵ月齢約6カ月齢
発情周年繁殖発情期 現地では雨季の12-1月季節繁殖発情期 1-3月季節繁殖発情期 現地では1-5月
産卵20₋80個/回15-40頭/回 2回/年10-46個/回
孵化期間6‐9ヵ月6‐18ヵ月
性決定遺伝的性決定遺伝的性決定遺伝的性決定

繁殖の難しい点は、繁殖期間に用意しなくてはいけないものがあり、そして卵の管理が難しい点です。カメレオンに無事産卵をさせるには、可能な限り、自然界と同じにする必要があります。基本的に、樹上で生活しますが、産卵時は地上に降りてきて土中に産卵します。産卵には普段のケージとは別に床を土にした、産卵用ケージを用意した方が良いとされています。産卵は交尾から30〜45日後で、大幅に過ぎても卵を生まない場合は卵閉を起こしている可能性があります。産卵前の兆候は、体色が妊娠色になり、地上近くまで降りてくる時間が増えてきます。産卵用ケージの床は土や水苔を敷き、産卵床掘ることが産卵の兆候です。また、カメレオンの卵は孵化する期間が特に長く、エボシカメレオンは6〜9ヵ月、パンサーカメレオンは6~18ヵ月ほどの長期間を要するため、この期間の死ごもり卵にならないように、温度や湿度をしっかりと管理し、展卵させないようにします。

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参考文献

  • 星克己.カメレオンの飼育を楽しむ.ジャクソンカメレオン.クリーパー30.東京.p113-117.2005

この記事を書いた人

霍野 晋吉

霍野 晋吉

犬猫以外のペットドクター

1968年 茨城県生まれ、東京都在住、ふたご座、B型

犬猫以外のペットであるウサギやカメなどの専門獣医師。開業獣医師以外にも、獣医大学や動物看護士専門学校での非常勤講師、セミナーや講演、企業顧問、雑誌や書籍での執筆なども行っている。エキゾチックアニマルと呼ばれるペットの医学情報を発信し、これらの動物の福祉向上を願っている。

「ペットは犬や猫だけでなく、全ての動物がきちんとした診察を受けられるために、獣医学教育と動物病院の体制作りが必要である。人と動物が共生ができる幸せな社会を作りたい・・・」との信念で、日々奔走中。