ジャクソンカメレオンってどんなカメレオン(知らないといけない生態と特徴)

目次 [非表示]

3本ツノのカメレオン

ジャクソンカメレオンは1960~1970年代にペット用に乱獲されて激減したため、原産地であるケニアは、1981年からジャクソンカメレオンの輸出を禁止しています。現在、本邦に輸入される個体は、1970~80年代にハワイに帰化したもので、過去に大量に日本に輸入され、ツノを持つ独特の風貌から有名になったことがあります。保護対象として、ハワイやケニアからの輸出が禁止されているため、高額で取引されています。ジャクソンカメレオンはワシントン条約の付属書II類掲載種です。

分類

有鱗目カメレオン科カメレオン属
学名Chamaeleo jacksonii
英名:Jackson’s chameleon

分布

ケニア、タンザニア

ジャクソンカメレオンの分布図

生態

環境
・標高1600~2200mの寒冷な高山の森林に生息しています(ステップやサバンナ)。昼は平均して約25℃になりますが、夜は0℃近くになることのある寒暖差のある地域です。サバンナでは雨季もあり、サバンナでも降水量はそれなりにあち、霧などが発生しやすく乾燥した環境ではありません。

ジャクソンカメレオン

行動
・樹上性のカメレオンで、地上近くまでは降りてくることもありますが、地上には滅多に降りてきません。普段は単独で生活し、オスは特に縄張り意識が強いです。昼行性で、夜は木の上の葉の陰で休んでいます。
食性
・動物食で、主に昆虫、節足動物などを食べています。
寿命:8~10年

身体

全長:20~35㎝

特徴

性質

気性が荒く、怒ると体を膨らませたり、体の色を明るく変化させることによって威嚇します。オス同士の喧嘩は、噛みついたり、ツノを突き合わせることもああります。

身体

頭頂部の冠状の鱗のクレスト(Crest)が小さく、オスは3本のツノが生えています。背中の正中線上には小さな鋸歯状のクレストと呼ばれる鱗が並んでいます。

ジャクソンカメレオン

基本的にはメスにはツノはないですが、亜種の一部にメスでも小さいツノを持つものもいます。

ジャクソンカメレオン

基調色は明緑色~緑色ですが、興奮したり、威嚇の際に、黒色のモザイク模様が入ります。

ジャクソンカメレオン

ジャクソンカメレオンは胎生で、体内で5~10ヵ月の間、胎仔を育成しから出産します。寒冷な地域に生息しており、孵卵温度を維持するために胎生であるという説が唱えられていますが、詳細は不明です。

カメレオンの特徴と魅力の詳細な解説はコチラ!

亜種

ジャクソンカメレオンには、キクユジャクソンカメレオン、タンザニアジャクソンカメレオン、オオジャクソンカメレオンの3亜種がいます。

キクユジャクソンカメレオン(ジャクソニー) C.j.jacksonii

ケニアに分布する基亜種です。クレストは亜種オオジャクソンカメレオンよりも小さく、メスにも小さなツノが生えています。一昔前に青色の地色で体側に黄色の帯が入るウガンダエンシスと呼ばれていたものは、本亜種に入ります〔星 2005〕。

タンザニアジャクソンカメレオン(メルモンタンス) C.j.merumontanus

タンザニアに分布する小型の亜種で、学名からメルモンジャクソン、小型のためドワーフジャクソンとも呼ばれています。オスは頭部から背中のクレストが黄褐色~オレンジになる個体が多いです。頭部は小さいですが、ツノは長く、メスにも小さなツノが生えています。高山に生息しているため、飼育が難しい亜種とされています〔星 2005〕。

オオジャクソンカメレオン(キサントロプス)C. j. xantholophus

ケニアに分布する最大の亜種で、学名からキサントロプスジャクソンカメレオンやキサンジャクソンカメレオンとも呼ばれています。現在はアメリカのハワイにも移入しています。雌雄ともに緑色~薄緑色で、頭部のクレストは大きいですが、メスはツノがほとんど発達していません。背中のクレストは黄褐色で、腰の体色が薄くなっているのが特徴です〔星 2005〕。最も日本で流通している亜種です。

参考文献

  • 星克己.カメレオンの飼育を楽しむ.ジャクソンカメレオン.クリーパー30.クリーパー社.東京:p113-117.2005

この記事を書いた人

霍野 晋吉

霍野 晋吉

犬猫以外のペットドクター

1968年 茨城県生まれ、東京都在住、ふたご座、B型

犬猫以外のペットであるウサギやカメなどの専門獣医師。開業獣医師以外にも、獣医大学や動物看護士専門学校での非常勤講師、セミナーや講演、企業顧問、雑誌や書籍での執筆なども行っている。エキゾチックアニマルと呼ばれるペットの医学情報を発信し、これらの動物の福祉向上を願っている。

「ペットは犬や猫だけでなく、全ての動物がきちんとした診察を受けられるために、獣医学教育と動物病院の体制作りが必要である。人と動物が共生ができる幸せな社会を作りたい・・・」との信念で、日々奔走中。