乾燥地帯生息動物
チンチラは乾燥地帯に棲息し、本来は飲水量が少なくても対応できます。水分の多くを餌から摂取し、体液よりも高張の尿を排泄することで体液の浸透圧を維持でき、チンチラの腎臓は尿の浸透圧を60mOsm/kgから約100倍の6,000 mOsm/kgの高張尿に濃縮することができます〔Osborne et al.2009〕。そのため、チンチラは水を8〔Hansen 2011〕〜14日間〔Osborne et al.2009〕摂取しなくても生存できるとの報告があります。
腎臓の形態も特殊
腎臓は皮質と髄質で構成されており、他の哺乳類と同様に髄質は皮質と比べて厚いのですが、腎盂に向かって長い腎乳頭があることも特徴的です〔Osborne et al.2009〕。このような長い腎乳頭は、砂漠に棲息するいくつかのげっ歯類にも見られる構造です〔Osborne et al.2009〕。腎乳頭は腎臓での濾過が完了する解剖学的構造箇所で、髄質が腎盂に向かって乳型にふくらんで突き出しており、腎盂に最終的に尿が流れこみます。チンチラは腎臓ならびに髄質が体重に対して大きく、尿細管のヘンレループも長く、水分の再吸収が効率よく行われていると考えられています。
水は飲ませた方がよいの?
野生の生息地と異なり、日本での飼育では、ペレットという乾燥した飼料を主食としており、十分な水分を摂取することが必要になってきます。飲水量が不足することで、尿路結石が発生しやすくなります。
参考文献
- Hansen S.Studies on Calcium Metabolism and Tooth Development in the Chinchilla.(In German).doctoral dissertation.College of Veterinary Medicine.Hannover.2011
- Osborne CA,Albasan H,Lulich JP et al.Quantitative analysis of 4468 uroliths retrieved from farm animals,exotic species,and wildlife submitted to the Minnesota Urolith Center:1981 to 2007.Vet Clin North Am Small Anim Pract39(1):65-78.2009