爬虫類・両生類向けカルシウム剤サプリメントの解説とお薦め商品

爬虫類には必須

室内で飼育している爬虫類はカルシウムが不足すると、代謝性骨疾患 (MBD) になり、甲羅や骨が曲がったり、薄くなって骨折が起きやすくなります。

リクガメは硬い甲羅を持つためにカルシウムの要求量が多いです。昆虫を食べるフトアゴヒゲトカゲやヒョウモントカゲモドキなどでは、エサとなる昆虫にはカルシウムがあまり多く含まれていないことも原因になります。また、産卵期の爬虫類では卵のためにカルシウムが不足することがあります。

普段のエサにカルシウムのサプリメントを添加することが、爬虫類の飼育では一般的に行われています(ダスティング)。同時にリクガメやイグアナ、フトアゴヒゲトカゲなどの昼行性の爬虫類は、日光浴・甲羅干しで紫外線を浴び、カルシウムの吸収を促進するビタミンDを合成することも必要です。

ダスティングの方法はコチラ

リクガメやイグアナは成長が早く、特に幼体ではカルシウムをしっかりと摂取して、十分に紫外線を浴びる (日光浴・甲羅干し) ことが大切になります。

選び方

成分チェック

爬虫類用カルシウムのサプリメントは、炭酸カルシウム、クエン酸カルシウム、乳酸カルシウムの3種類に分けられ、一般的に使用されているのはカキ殻の成分の炭酸カルシウムです。カルシウムの吸収率が最も高いのは乳酸カルシウムですが、高価なためペット用のサプリメントにはあまり使用されていません。

形状チェック

爬虫類のエサにカルシウムのサプリメントを添加する方法が一般的に行われ、粉状のパウダータイプと液体のリキッドタイプがあります。

パウダータイプ

爬虫類用カルシウムは圧倒的にパウダータイプです。粉状になっているのでエサとして与える野菜、コオロギやミルワーム、マウスなどにふりかけてまぶして与えるダスティングという方法がとられています。コオロギやミルワームは栄養のバランスが悪くてカルシウムが足りないことから、コオロギやワームを栄養のバランスがとれたエサで育ててから与えるガットローディングという方法も行われています。

リキッドタイプ

リキッドタイプだと、エサにかける以外に、飲み水に入れて与えることもできます。それぞれのタイプを爬虫類の好みで選んであげてください。

色や臭いチェック

爬虫類は色の識別は優れており、カルシウム剤をまぶしたエサだと食べないことがあります。それは見た目なのか、あるいは臭いとも言われています。一般的なカルシウム剤には独特のミネラル臭さがあり、それを嫌って食べないことも考えられます。そのような場合には、ニンジンやクワの葉などを配合して、通常の白いカルシウムではなく赤や緑などの色が付いたものを選んで与えて下さい。嗜好性があえば、問題なく口にしてくれます。

ビタミンDチェック

カルシウムの吸収を助けるにはビタミンDが必要になります。ビタミンDが配合されたカルシウム剤が理想的と思われがちですが、ビタミンDを過剰に摂取すると体によくありません。体の各組織にカルシウムの沈着を起こしたり、腎臓にダメージも与えます。過剰症を避けるためにも、ビタミンD入りのカルシウム剤は必ず容量を守って与えて下さい。夜行性の爬虫類には、ビタミンDはあまり必要ないので、ビタミンDが配合されていないカルシウム剤を選びましょう。

リンとカルシウム比率チェック

リンはカルシウムと同様に骨をつくるための重要な栄養素で、カルシウムが吸収するにはリンとのバランスが大切になります (Ca:P)。通常の爬虫類に必要なCa:Pは1~2:1ですが、リクガメはカルシウムの要求量が多く、4~6:1になります。結果的にリンが多くなると、カルシウムの吸収が阻害されます。

これだけ覚えておいて!

  • カルシウムサプリメントの成分の多くは炭酸カルシウム
  • サプリメントは粉と液体がある
  • カルシウム臭さが欠点になることがある
  • ビタミンDはカルシウム吸収を助ける
  • リクガメは他の爬虫類よりもカルシウムを多く必要とする

お薦め商品

第7位 ジェックス カルシウム VITD3 90g

ビギナーは、まずコレを使って!パウダータイプのビタミンD配合のカルシウムの粉で、リンは含まれていません。粉が細かくスプーンも付いており、餌にまぶしやすいのが特徴で、とても使いやすい。

第6位 カミハタ カーニボアカルシウム

ヒョウモントカゲモドキやヘビなどの肉食‐動物食類用カルシウムリキッド!肉食なので過剰のリン摂取にならないように、カルシウムとビタミンD3だけが配合されています。直接エサにスプレーして乾燥させてから与えて下さい。

第5位 Charm カルシウムパウダー キャロットプラス 50g

イグアナやリクガメなどの草食爬虫類のカルシウムパウダー!ニンジンの粉が配合されてるのでビタミンも豊富に含まれ、特有のカルシウム臭が少なくなっています。リンやビタミンDは含んでいません。キャロットプラスの他にもパンプキンプラスやほうれん草プラスなど、6種類のシリーズがありますので、好きな野菜をお選び下さい。

第4位 月夜野ファーム マルベリーCa

50g
250g

3種類のカルシウム配合!炭酸カルシウムだけでなく3種類のカルシウムが配合され、吸収率アップ間違いなしのパウダータイプのカルシウムです。マルベリーとは桑のことで、なんとビタミン、クロレラ、食物繊維まで摂取できます。内容量が120gと250gの2つのタイプがあり、詰め替え用もあるのでお値打ちな商品です。

第2位 ビバリア レップカル カルシウム ビタミンD3入(微粒) 93.5g

しっかりくっ付くカルシウムパウダー!信頼のおける老舗レプカルのビタミンD配合で、本当に細かいカルシウムパウダーです。昆虫やピンクマウスなどのエサにまぶしやすいです。コオロギが真っ白になります(笑)。しっかりとカルシウムが補充されているのが実感できます!

第1位 ビバリア レップカル カルシウム ビタミンD3入(粗粒) 156g

匂いなしのカルシウム粒!いけてます!細かいカルシウムパウダーをエサにふりかけて表面が白くなり、匂いもつくので食べてくれない時には、ぜひこの商品を!カルシウムの粒が大きくて粗いのが特徴で、餌の表面に点々とくっ付くだけなので、匂いもあまりしません。野菜はもちろんのこと、昆虫やマウスには濡らしてからまぶすとよいです。

まとめ

カルシウムが不足すると骨や甲羅がうまく形成できず、成長に支障をきたします。そのため、爬虫類用のカルシウムはいつの時代も、話題のトピックになっています。本当に色々なタイプのカルシウムが出てきましたので、常にアンテナを張って新しい商品をチェックしましょう!

この記事を書いた人

霍野 晋吉

霍野 晋吉

犬猫以外のペットドクター

1968年 茨城県生まれ、東京都在住、ふたご座、B型

犬猫以外のペットであるウサギやカメなどの専門獣医師。開業獣医師以外にも、獣医大学や動物看護士専門学校での非常勤講師、セミナーや講演、企業顧問、雑誌や書籍での執筆なども行っている。エキゾチックアニマルと呼ばれるペットの医学情報を発信し、これらの動物の福祉向上を願っている。

「ペットは犬や猫だけでなく、全ての動物がきちんとした診察を受けられるために、獣医学教育と動物病院の体制作りが必要である。人と動物が共生ができる幸せな社会を作りたい・・・」との信念で、日々奔走中。