【生理】哺乳類の劣性致死遺伝子

致死遺伝子同士の交配は禁忌

ハムスターやマウスなどでは毛色や模様によって劣勢 (潜性) 致死遺伝子というものを持っています。致死遺伝子とは、その遺伝子を持った動物を死に至らせる作用があるので、致死遺伝子を持ったもの同士の交配は禁じられています。毛色等の遺伝子は優性であり、死の遺伝子としては劣性であることから、劣性 (潜性) 致死遺伝子と呼ばれています。

致死遺伝子は名前の通りに死に至る遺伝子ですが、その遺伝子を持ったものは死んでしまうわけではありません。1個持っている状態 (ヘテロ) では毛色を作りだし、体には何の異常もみられない健康体です。しかし、致死遺伝子が2個そろうと (ホモ)、致死作用が働きます。母親のお腹の中で死亡したり、奇形や障害を持って産まれたり、産まれてもすぐに死んでしまうようなことになります。正常な外見で産まれてきても生殖能力が乏しいということも起こります。

致死遺伝子がヘテロである状態の毛色の動物同士を繁殖させると、約4分の1が致死遺伝によって障害が見られます。

劣勢致死遺伝子を持った毛色

動物種にそれぞれ劣性致死遺伝子を持つ毛色をまとめてみました。

動物種毛色
モルモットリーサルホワイト
ゴールデンハムスターライトグレー、ドミノ、ドミナントスポット、ダルメシアン、サテン
ジャンガリアンハムスターパール、プディング、インペリアル
キャンベルハムスターパイド
マウスイエロー
チンチラブラックベルベット、ブラウンベルベット、ホワイト、パイド
表:代表的な致死遺伝子の毛色

【病気】モルモットのリーサルホワイト症候群の解説はコチラ!

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まとめ

繁殖を希望する場合は、致死遺伝子を理解して行いましょう。希望する毛色の個体を繁殖させたい場合もあるでしょうが、母体に負担をかける結果になりかねません。

この記事を書いた人

霍野 晋吉

霍野 晋吉

犬猫以外のペットドクター

1968年 茨城県生まれ、東京都在住、ふたご座、B型

犬猫以外のペットであるウサギやカメなどの専門獣医師。開業獣医師以外にも、獣医大学や動物看護士専門学校での非常勤講師、セミナーや講演、企業顧問、雑誌や書籍での執筆なども行っている。エキゾチックアニマルと呼ばれるペットの医学情報を発信し、これらの動物の福祉向上を願っている。

「ペットは犬や猫だけでなく、全ての動物がきちんとした診察を受けられるために、獣医学教育と動物病院の体制作りが必要である。人と動物が共生ができる幸せな社会を作りたい・・・」との信念で、日々奔走中。