ウーパールーパーの飼育

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アクアリウム

完全水生で肺呼吸への依存度が低く、基本的にある程度の深さのある水を張った水槽で飼育し、水の衛生管理と暖めない水の管理および水換えが重要です。エアレーションとシェルターも設置して下さい。

1匹で飼う

1匹だけでウーパールーパーを飼うのは、寂しそうと思ってしまいます。しかし、ウーパールーパーは群れることはなく、共食いする生物でもあります。本来は幼体の時には、共食いで成長していきます。

ウーパールーパー

基本的に単独で飼育するのが好ましいですが、複数でも共食いしない環境ならば問題はありません。目の前の動くもに反応し、体が小さい個体を同居させると共食いします。給餌の際に間違えて同居個体の手足やエラに噛みついて怪我をさせることもあります。全長が3~5cmの幼体の時が最も共食いしやすい時期で、成体になると共食いの性質は弱くなってきます。複数飼育をするならば、全長が6cmに成長した同じサイズの個体で揃え、空腹にしないように十分な餌を与えてください。そして、基本的に何にでもかみついてしまうので、水槽を大きくして密度を小さくして下さい。複数の場合はできるだけ底面積のある水槽が良いでしょう。

水槽の大きさ

幼体のウーパールーパーはとても小さいですが、成体になると全長28㎝くらいになります。あまり動き回わらないのですが、最低でも30cm以上のサイズが必要です。水槽の大きさは、『幼体では小さいサイズで成長したら大きくする』という考えと、『最初からある程度大きい水槽を用意する』という2つの考えがります。しかし、ウーパールーパーは成長するスピードが速く、幼体では1ヵ月で2倍くらいに大きくなります、最初から大きな水槽で飼育しておいた方が無駄にはならないかもしれません。

ウーパールーパー

水深は肺呼吸を行う際に楽に水面に出られるように全長と同じくらいにし、水はカルキ抜きをするのが理想です時々水面で息継ぎをしている様子が観察されます。

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成長したら水槽を大きくする

小さい幼体は小さなビンや10cmぐらいの容器でも飼えます。小さいと水換えなどの世話が大変楽になりますが、小さい分だけ水温が気温の変化を受けやすいという欠点があります。また、水が汚れやすくなるので、水換えの回数は多くなります。

最初からある程度大きい水槽で飼う

ある程度大きな水槽で飼うと水温の変化が抑えられます。ある程度の大きさとは、目安は30cmぐらいの水槽になりますが、快適に遊泳させるのであれば45cm以上の水槽サイズが良いでしょう。水槽が大きければ水の汚れが抑えられ、水換えの頻度は減ります。厳密に言うと水槽のサイズではなく水量が重要で、奥行きがあまりないスリム水槽や低い高さのロータイプ水槽だと、横幅の割には水の量が少なくなりますので、汚れやすくなりますので注意して下さい。水槽のサイズが大きい分だけ、掃除の時の手間が大変にはなります。

床敷

床石は特に必要なものではありませんがが、観賞性を重視するのであれば敷いてもよいです。床石の有用性に関しては色々な意見があります。

床石は不要

床石はエサを食べる時に一緒に飲み込んで誤飲して、消化管閉塞を起こす可能性があります。床石があるとエサの食べ残しや糞の汚れがたまりやすくなり、衛生的な管理ができません。エサの種類によって粉や小片が残ると床石にたまってしまい、不衛生になります。

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床石のメリット

砂石は水を綺麗に保てて美観も良くなります。また、床石を敷くことによってストレスを軽減することができます。床石でも特に砂利を敷くことで水質を浄化する作用があります。砂利を敷けば見た目も自然に近づけるため、鑑賞価値が上がります。水草も植えることができるので、ウーパールーパーにとってよい隠れるスペースを作ることもできます。

ウーパールーパーは底に住んでいるので、砂を敷かない状態だと踏ん張ることもできず滑ります。更に水槽によっては反射するものもあり、ストレスの原因になります。床石ならびに砂利を入れる場合は、誤飲が起こらないように、排泄される小さな粒のものにして下さい。サイズは口に入らない位の大きなサイズを敷くという考えもありますが、怪我をする恐れがあるので、丸い石にして下さい。あるいは細かい砂であれば排泄される可能性が高いですが、管理が一苦労になるかもしれませんが、アクアリウムとして美観性が上がります。

ウーパールーパー

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水の管理

両生類であるウーパールーパーは水質が健康に大きく影響します。皮膚で呼吸すること(皮膚呼吸)、水分を皮膚から吸収(水分吸収)しますので、飼育されている水は衛生的に管理しないといけません。水質の悪化により、外鰓が抜け落ちたり(外鰓の損傷)、皮膚炎を起こしやすいです。排泄物の汚れが皮膚から吸収すると、アンモニア中毒で死亡することがあります。

ウーパールーパー

使用する水は水道水の塩素(カルキ)を抜いた水を使用して下さい。目に見えて汚い場合はもちろんですが、綺麗に見えてもアンモニアが多いこともあります。水質を良くするために、フィルターによるろ過と水の交換(換水)が重要です。

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換水

水槽の水はフィルターでろ過し、定期的に全て交換してください。ろ過でもバクテリアが機能してくると、アンモニアを分解してくれますが、徐々に水が古くなりバクテリアの活性が悪くなります。ウーパールーパーは新しい水を好みますので、フィルターによるろ過をしていても、7~10日に1回、半分~8割程度を目安に水換えしてあげてください。特に砂利を敷いていない場合は、2~3日に1回は水替えをした方がよいでしょう。小さい幼体を小さな水槽で飼う場合は毎日の水替えをして下さい。

フィルター

大きいウーパールーパーは排泄量が多く、簡素なフィルターでは対応できません。

ウーパールーパー

床石を敷いて水槽の浄化能力を補助的に上げるという考えもあります。フィルターを使用する場合は、投げ込み式や外掛式のタイプでは対応は難しく、強力な上部式フィルターや外部式フィルターがお勧めです。しかし、給水口にウーパールーパーが吸われてしまい怪我を負うような事故には注意して下さい。

フィルター

止水域に生息するウーパールーパーには、強い水流が生じるようなフィルターは避けてください。

エアレーション

ウーパールーパーは肺呼吸以外の、鰓や皮膚での呼吸にも頼っているため、水分中の酸素含有量を増やすために、エアレーションは必要です。

ウーパールーパーのエアレーション

水温

ウーパールーパーは寒冷な水温を好み、高温に弱いです。水温の至適環境温度は17~18℃で、上限は20℃位まです。本邦の夏場に限って言えば、上限を約23℃で飼育するべきでしょう。水槽用扇風機やクーラーなどで冷却します。水温が高くなると、鼓張症などが起こりやすくなるため、夏場の水温を下げることが重要になります。

ウーパールーパーの扇風機
水槽クーラー

ウーパールーパーは寒くても大丈夫という意見もありますが、変温動物なので、冬に水温が5℃以下に下がると冬眠状態になります。冬は水中ヒーターで保温して適温を保ってください。

照明

基本的に照明は不要ですが、日内リズムをつける目的として昼間は明るく、夜間は暗くした方がよいです。また、水槽内に水草を入れたアクアリウムの場合、その成長のために光は不可欠となり、観察の目的からも観賞魚用の蛍光灯などを利用することもあります。

シェルター

水槽の中に土管などのシェルターを入れるとストレ防止になります。ウーパールーパーは後ろに下がるのは苦手なので、入口と出口が開いているシェルターにしてください。

ウーパールーパー

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ケア

両生類は毒液や粘液を皮膚から分泌するため、毒液は、触ってた手が痒くなる、その手で目を擦ると赤くくなる程度です。あまり触り過ぎないようにして下さい。掃除等のために生体を触った後は必ず手を洗いましょう。

これがポイント!

・基本的に1匹で飼う
・水槽は最低でも45cm以上のサイズ
・フィルターと水換えはしっかりとやる
・エアレーションは必要
・水温は約20℃までが理想
・体が隠れるシェルターを置く

掃除

水槽や床敷が排泄物などで汚染されると、アンモニアが体表から吸収されて自家中毒を起こすため、こまめに取り換えて下さい。両生類は人獣共通感染症(ズーノーシス)であるエロモナス菌やサルモネラ菌を保菌していることが多いです。掃除の後にケージも殺菌するために日光浴や消毒をするように心がけましょう。

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この記事を書いた人

霍野 晋吉

霍野 晋吉

犬猫以外のペットドクター

1968年 茨城県生まれ、東京都在住、ふたご座、B型

犬猫以外のペットであるウサギやカメなどの専門獣医師。開業獣医師以外にも、獣医大学や動物看護士専門学校での非常勤講師、セミナーや講演、企業顧問、雑誌や書籍での執筆なども行っている。エキゾチックアニマルと呼ばれるペットの医学情報を発信し、これらの動物の福祉向上を願っている。

「ペットは犬や猫だけでなく、全ての動物がきちんとした診察を受けられるために、獣医学教育と動物病院の体制作りが必要である。人と動物が共生ができる幸せな社会を作りたい・・・」との信念で、日々奔走中。