鋤鼻器
ヤコブソン器官(Jacobson’s organ)は嗅覚器官で、鋤鼻器(Vomeronasal organ)とも呼ばれています。カメやワニでは鋤鼻器はほとんど消失しており、ヘビやトカゲなどの有鱗目で非常に発達し、口蓋に開口部を持ち、鼻腔の嗅上皮よりも主要な嗅覚器官となっています〔Barber et al.1974,Funk 1996〕。左右一つずつある鋤鼻器にあわせて口蓋の開口部も左右一対となっており、ヘビや一部のトカゲが二叉に分かれた舌を頻繁に出し入れしているのは、舌に付着させた空中の匂いの粒子をそれぞれ左右のヤコブソン器官に運ぶためです。特にヘビは常に舌を動かしており、空気や地面などから、匂いを使って、その地域の環境における獲物や捕食者の存在を判断しています。アナコンダなど水中に生息するヘビでは、舌は水中で効率的に機能します。
参考文献
- Barber PC,Raisman G.An autoradiographic investigation of the projection of the vomeronasal organ to the accessory olfactory bulb in the mouse.Brain Res81(1):21-30.1974
- Funk RS.Biology.Snakes.In Reptile medicine and surgery.Mader DR ed.Saunders:p39-46.1996