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日本代表のペットスネーク
日本固有種種で、体色が青色を帯びており、体が大きいことからアオダイショウ(青大将)と呼ばれています。
分類と生態
分類
有鱗目ナミヘビ科ナメラ属
学名:Elaphe climacophora
英名:Japanese rat snake
別名:青大将(アオダイショウ)
分布
日本(北海道、本州、四国、九州)

生態
環境:平地から山地にかけての森林、農地など、その生息域は多岐に渡ります。
活動
・半樹上生のヘビで、餌であるネズミの生息環境に対応し、人家周辺でよく見られるため、アオダイショウは人とともに暮らすヘビといわれています。

・昼行性で、活動する時間帯が一般的な人間の活動時間帯と重なることが多く、人を恐れることがありません。

・夜は岩の隙間や地面に空いた穴の中などで休んでいます。
・分布域北部に生息する個体は、冬眠して越冬します。
食性
・幼体では小型のカエルやトカゲ、鳥類や哺乳類などを幅広く捕食していますが、成体になると鳥類や哺乳類といった内温性の動物を捕食する傾向があることが指摘されています〔福山ら 2017〕。獲物は丸呑みにし、大型の獲物に対しては絞め殺してから捕食します〔Mori 1994〕 。鳥の卵も食べます。
寿命:10~15年
■福山伊吹, 森哲. 2017. アオダイショウの食性と体サイズの関係に関する文献調査. 爬虫両棲類学会報 2017(2):180-186.
■Mori, A. (1994). Prey‐handling behaviour of newly hatched snakes in two species of the genus Elaphe with comparison to adult behaviour. Ethology, 97(3), 198-214.1994
身体
全長100~200㎝
(全長の平均はオスが大きいですが、しかし、大型の個体はメスのほうが多いです〔富田2007〕)
※南西諸島を除く日本では最大のヘビで、大きい個体は2.5 m に達することもあります。
特徴
性質
一般的に温和な性格で、かみつくことは少ないです。基本的に攻撃的な性格ではありません。

身体
日本本土では最大のヘビで(南西諸島のサキシマスジオ、シュウダ、ハブに次ぐ大きさ)なので、青大将の大将の由来になったともいわれています。尾は全長の20~24%を占めて、オスの方がやや尾が長いと言われています〔牧 1931〕。

体色は淡黄褐色~暗灰褐色で、背中は青色を帯びていますが、個体差が大きく、地域により、オリーブ色や灰色などをしています。腹板は白色を帯びています〔関ら 2018〕。

体列鱗数は23列もしくは25列、腹板は221~245枚です〔富田2007〕。

頭部は角張ってやや平べったいです〔小林2004〕。目の後ろに黒い縞筋が入ります。

瞳孔は円形で黒目をしています。

幼体と成体で模様が異なります。成体は背中に4本の不明瞭な黒褐色の縦縞が入りますが、縦縞が不明瞭であったり、無いこともあります。

幼体には、はしご状の横縞模様(銭形紋とも呼ばれる円形が連続した模様ともいわれています)があり、マムシと間違いやすいです〔関ら 2018〕。滋賀県には幼体から斑紋が縦縞になっており、成体になっても明瞭な地域変異個体がいます〔小林2004〕。

下の写真がマムシの幼体です。毒ヘビのマムシと似た模様をすることで天敵からの補食から逃れているのかもしれません。成長につれて縦縞が現れます。

アオダイショウと似たヘビとの違い
アオダイショウの幼体は、ニホンマムシ、シロマダラや、シマヘビの幼蛇に似ており、成体はジムグリやシマヘビに似る場合があります。
マムシ
アオダイショウの幼蛇は模様がニホンマムシに似ていますが、これは毒をもつマムシに擬態することで、天敵に襲われる可能性を減らすためであると考えられているようです。アオダイショウの頭部は上から見ると角張って細長いのに対し、マムシは三角形をしていいます。アオダイショウは胴体と尾が細長いですが、マムシはやや寸詰まりの体型で、尾は短く胴体から急激に細くなります。アオダイショウの瞳孔は丸いですが、マムシの瞳孔は縦長です。マムシは目の前方に孔(ピット器官)がありますが、アオダイショウにはありません。
シロマダラ
アオダイショウは目の後ろに明瞭な黒い線が横に入る。アオダイショウは目が大きく瞳孔が丸いですが、シロマダラの目は小さく、瞳孔は縦長をしています。アオダイショウの胴体の模様は複雑なはしご状をしていますが、シロマダラは明瞭な黒い横帯が入る。シロマダラは50~60cm程度の小型のヘビで、夜行性のためあまり見ることはありません。
ジムグリ
アオダイショウに比べ、ジムグリは背面の色が赤みがかり、アオダイショウは腹部の模様がないが、ジムグリは黄褐色をベースに黒いシマシマ模様(黒い市松模様)が入っています。なお、体色は背部は赤褐色、黒いシマシマ模様が入っていない真っ赤な個体もおり、こちらはアカジムグリと呼ばれています。幼蛇のときほど赤色ははっきりしており、成長するにつれて黒ずんできます。
シマヘビ
幼体同士や縦縞模様のないシマヘビの成体は見分けにくい場合があります。シマヘビの成体は淡い黄色または茶色をしていおり、そこに明瞭な縦縞が4本入りますが、両種とも縦縞が入らない個体もいるため、最終鑑別は目になります。アオダイショウの目は虹彩がオリーブ色で瞳孔が丸いですが、シマヘビは虹彩が赤く、瞳孔は楕円形をしています。アオダイショウは性格は穏やかでシマヘビはやや気性が荒い印象があります。幼体に関しては、シマヘビは胴体の色合いが赤みがかっていることが多いですが、アオダイショウはオリーブ色から灰褐色をしています。
腹板の両端に小さいキール(側稜)があるため、このキールを引っ掻けて木の枝や幹、時には壁面を登る能力が高いです〔小林 2004,Fukuda 1978〕。木に上るときは、体を木に巻きつけて上って行くのではなく、腹板のキールを引っかけて登るため、アオダイショウは木や壁を真っすぐ上に登ることができ、鳥の雛や卵を狙って、巣を襲うことが得意です。コンクリートの壁面を登る能力が同所的に生息するシマヘビやジムグリと比較して高いことを示す実験があります〔戸川ら 2024〕。

食道あたる背骨の下に鎌状の突起がみられ、飲み込んだ卵の殻を割るのに使用され、その後殻だけ吐き出すこともできます。

危険を感じたり、威嚇の際には、尾を辺りに打ち付けて、独特の青臭い匂いを放ちます。シマヘビやジムグリも匂いますが、アオダイショウが最も臭いといわれています。この臭いの原因は尾の付け根部分にある肛門腺(臭腺)から出る褐色の液体です。アオダイショウの分泌液はかなり独特な臭いで、刺激臭というより、悪臭や異臭と言った方が適しています。
品種
地域によって色が異なりこともあり、青色、緑色、オリーブ色、黄色、灰色と様々です(地域変異)。しかし、年とともに黒化する傾向にあります。

地域変異として有名なのが、山口県岩国市周辺にいるアルビノで、岩国のシロヘビ(白蛇)と呼ばれています。見た目も神々しいために信仰の対象とされ、この地域の白蛇の個体群は、1924年(大正13年)に国の天然記念物の棲息場所として岩国市の錦川周辺の今津、麻里布、川下地区が指定されました。その後、1972年(昭和47年)には「岩国のシロヘビ」と指定替えされています。現在では岩国市や財団法人岩国白蛇保存会を主導としたシロヘビの繁殖施設において多くの個体が飼育繁殖されています〔〕。飼育・繁殖のための施設がありますが、野生個体の生息地は減少しているそうです。シロヘビが初めて歴史上に登場したのは、江戸時代中期、元文3年(1738)の『岩邑年代記』で、一匹の白蛇が捕獲され、尾が打ち切られていました。そのシロヘビは、漢方薬に使われたとのことです。さらに享保年間(1716~1735)に編集された『享保増補村記』には、岸根村(美和町)や六呂師村(岩国市)にシロヘビがおり、雨の降る日に石の上に見かけることから、梅雨左衛門(つゆざえもん)」と命名されました。江戸時代に米作りが盛んな岩国では、ネズミを餌にするアオダイショウが突然変異により、アルビノが生まれるようになり、この神秘的なシロヘビは、幸運を呼ぶ守り神として人々に大切に保護されたことから、数が増したといわれています。

CB個体では、ノーマル系以外にアルビノ、ストライプ、パターンレスなどが流通しています。北海道地域群は青色が強く帯びているカラーなため、貴重な品種とされています。アルビノコーンスネークとアオダイショウのハイブリッド個体同士も作られています。
バターレス
背中の縦縞が消えて、均一な色をしています。オリーブ色をしている個体です。


エゾブルー
北海道個体群は、エゾ(蝦夷)ブルー、エゾ(蝦夷)グリーン、クナシリ(国後)ブルー、などと呼ばれ、青色が強く入った美しい色をしています。しかし、青色の程度は個体差はあり、青色や緑色と幅が広いです。
アオダイショウのDNA分子系統解析
ミトコンドリアDNAに基づく分子系統解析によると、アオダイショウは大きく2つの系統群に分けられ、それらの分布境界にあたるのが、山口県や九州北部では両系統群が同所的に生息しています。氷河期に北日本に棲息したアオダイショウの個体数は大きく減少し、日本最北端の北海道でも少なくとも最終氷河期までは生き延びていたことが分かりました。一方、南西日本では、最終氷河期の初期に海水準低下により新たな陸生生息地が出現し、棲息地が拡大しましたが、その後、最終氷期の気候寒冷化により南西日本での個体数は減少しました。北に行くほど本種は遺伝的多様性が下がる傾向が見られ、南西日本では遺伝的分化が起こっておらず、氷期の間陸続きになっていたことによって遺伝的交流が行われたためと考えられています〔Moriyama et al.2018〕。
ポイントはコレ
・日本固有種の最大級のヘビ
・青色系統の体色
・民家周辺にも出現
・昼行性
・動物食性
・腹板にキールがあり、木や壁も登れる
・岩国の白ヘビはアオダイショウの白色個体
・北海道の青緑個体はエゾブルー
参考文献
- 小林章.日本のヘビを楽しむ.第2回ヒバカリ (Amphiesma vibakari vibakari).クリーパー23.クリーパー社.東京:p24-28.2004
- 関慎太郎、疋田努.野外観察のための爬虫類図鑑 第2版. 緑書房, 東京.2018
- 牧茂一郎.原色版日本蛇類圖説.第一書房.東京.1931
- 戸川七海, 大秦正揚.ヘビ類のコンクリート壁面登攀能力の比較.爬虫両棲類学会報:38–44.2024
- 富田京一.山渓ハンディ図鑑.10日本のカメ・トカゲ・ヘビ.山と渓谷社:p154-159,p154-159.2007
- Fukada H.Growth and maturity of the Japanese rat snake, Elaphe climacophora (Reptilia, Serpentes, Colubridae).Journal of Herpetology12:269–274.1978
- Moriyama J,Takeuchi H,Ogura-Katayama A,Hikida T.Phylogeography of the Japanese ratsnake, Elaphe climacophora (Serpentes: Colubridae): impacts of Pleistocene climatic oscillations and sea-level fluctuations on geographical range.Biological Journal of the Linnean Society124(2):174-187.2018