コーンスネークってどんなヘビ(知らないといけない生態と特徴)  

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コーンスネークはペットのヘビの中で最も人気のある種類で、アメリカ東南部にいるポピュラーなヘビです。餌となるネズミを探しにトウモロコシ畑に現われます。そして、腹板の模様がトウモロコシの粒に似ていることから、コーンスネーク(Corn snake)と呼ばれ、その模様はチェッカー模様をしています。

 コーンスネークには、コーンスネーク(Elaphe guttata)、プレーンズコーンスネーク(E.emoryi)、ルイジアナコーンスネーク(E.slowinskii)の3種類が知られていますが、ペットとして流通しているのは主にコーンスネークです。

分類・生態

分類

有鱗目ナミヘビ科ナメラ属
学名Elaphe guttata(Pantherophis guttatus)
英名:Corn snake,Red rat snake
別名:アカダイショウ、レッドラットスネーク

分布

アメリカ大陸中部および東部

コーンスネーク分布図

生態

環境:森林を好みますが、草原や農地など、色々な場所に生息します。
活動
・半樹上性のヘビで、地表性が強く、木登りも得意です。

・夜行性あるいは半夜行性で、薄命の夕方や夜に活動的です。日中は地面に開いた穴や倒木の下、側溝などで休んでいます。
・生息地域の北部では、冬眠して越冬します。

コーンスネーク

食性:動物食で、小型哺乳類、鳥類やその卵、小型の爬虫類や両生類などを食べています。
寿命:10~20年

身体

全長:70~120㎝(最大全長183cm)

鱗数:体鱗列数は25~29、腹板数は194~245、尾下板数は47~84です〔鳥羽 2001〕。

特徴

性質

一般的に温和な性格で、かみつくことは少なく、ハンドリングも容易にできます。

コーンスネーク

ヘビの特有の解剖・生理の詳細な解説はコチラ!

品種

現在流通しているコーンスネークはWC(野生)個体ではなく、アメリカを中心とした国外で品種改良したCB(繁殖)個体がほとんどです。色彩や模様が多数存在し、それらの組み合わせが複雑で、さらに特別な色をした地域個体群もみられ、多くの品種が流通しています。

コーンスネーク

ノーマル

基本的な体色は赤色~オレンジ色で、市松模様のような斑紋なので、アカダイショウと呼ばれています。

基本的な体色ならびに模様(ノーマル)は、コーンスネークの基本の色素である赤色、黒色、黄色の3色を持ち、一般的には赤褐色、茶褐色、灰褐色などの地色に、黒色で縁取られた赤色やオレンジ色の多数の鞍型の斑紋(ブロッチ:Bloth)が入ります。ノーマルは全体的に赤色系をしているため、レッドコーンスネークとも呼ばれています。ノーマルは単にレッドとも呼ばれ、赤色の色合いは幅があり。明るいレッドから渋いレッドまでいます。現在は品種改良が進み、CB(繁殖)個体のノーマルは明るい色合いのものが多いです。腹板は白色で、黒褐色の角張った斑紋は不規則に入り、チェッカー模様になります。品種によってチェッカー模様を欠くものをプレーンベリーと呼ばれます。

コーンスネークノーマル
コーンスネークノーマル
コーンスネークノーマル

目の虹彩は円形で、黒目をしています。

コーンスネーク目

アルビノ

アルビノは黒色色素が欠損しているため、ブロッチの黒色の縁取りが白く抜けています。アルビノの色彩は個体差が大きいのも特徴です。赤色かきれいに出ているので、レッドコーンとも呼ばれいます。ノーマルと異なり赤目をしています。

コーンスネークアルビノ

アルビノ・レッド

アルビノの赤色が強く出ているものをアルビノ・レッドと呼ばれています。

コーンスネークアルビノレッド

アルビノ・モトレー

モトレーとは模様変異で、背中のブロッチ同士が繋がり、円形~楕円形に並び、横腹はストライプ模様になっています。腹板プレーンベリーです。

ハイポ・アルビノ(ハイビノ)

黒色色素が減退し、ブロッチの縁取りが減小あるいは無いです。アルビノと異なり、黒目かルビー目をしています。

コーンスネークハイポブラッドレッド

ハイポ

ハイポはハイポメラニスティックの略で、黒色色素が減少しています。ブロッチの黒色の縁取りが薄かったり、細くて目立たなくなっています。コーンのノーマルのハイポは新たな品種を作成するために珍重されており、流通数が少ないです。下の写真はスカーレット・ハイポと呼ばれ、スカーレットとは血糊のような赤色を指しますので、赤色が全体的に強く、ノーマルのように見えます。

ブラック・コーン

赤色色素が欠乏しているものをアネリスリスティックと呼び (流通名:アネリ/ブラック・アルビノ) 、モノトーンの色合いになっています。地色は灰褐色で、黒色で縁取られた黒色や茶褐色のブロッチが入ります。しかし、黄色素は残っているため、成長と伴い首にかけて黄色が入ります。
 

スノー

アルビノとアネリスリスティックを交配した黒色と赤色素が欠乏しているものをスノー(流通名:スノー・コーン)と呼びます。赤色と黒色素を欠くために白色になりますが、成長に伴い黄色が発色することが多いです。目は赤目をしています。

ラベンダー

黒色素欠乏あるいは減退し、薄紫色をしているものをラベンダーと呼びます。白色に藤紫色を帯びた体色とルビー色の目が美しいです。

ラベンダーコーン

オパール

ラベンダーの黒色色素が欠乏した色で、透明感のあるピンク色になり、赤目をしています。
 

ゴースト

ハイポメラニスティックとアネリスリスティックを交配した黒色色素が減退ならびに赤色色素が欠乏したものをゴーストと呼びます。

バター

黒色ならびに赤色素欠乏の黄色の色彩をキャラメルと呼びます。バターとはキャラメルのアルビノで、全身が黄色を帯びています。黄色みが強いものから黄褐色のものまであります。

テッセラ

ブロッチが癒合して、その中心をピンストライプが入り、全体的にモザイク模様になる模様ですす。テッセラとは「はめ石」という意味です。

テッセラ

地域個体による品種

ノーマルは本来の原産地からカルフォルニアとも呼ばれています。一方で他の地域変異のカラーバリエーションも数多く知られています。マイアミ、オケッティ、キーズコーン、キサッチ、エモリーラットなどが知られています。さらに、アボット氏などのブリーダーの名前が付くこともあります。

マイアミ(マイアミフェイズ)

マイアミにいる個体群は灰色に赤色のブロッチが入ります。

コーンスネークマイアミフェイズ

クリムゾン

マイアミの黒色色素減退した色をクリムゾンと呼びます。アルビノと似ていますが、黒目をしています。

クリムゾン

カーキ

キャラメル系のサウスカロライナ州の個体群はカーキと呼ばれています。

アポット・オケッティー

ブリーダーのアポット氏が育成したオケッティーにいる地域個体で、オレンジ色をしています。

ポイントはコレ!

・アメリカ東南部に生息
・ポピュラーなペットヘビ
・夜行性~半夜行性
・動物食性
・基本は赤色系で背中にブロッチ、お腹にチェッカー模様が入る
・体色や模様により様々なバリエーションがいる

参考文献

  • 小林章.ヘビを楽しむ,コーンスネークの繁殖.クリーパー8:p52-55.クリーパー社.東京.2001
  • 富田京一.山渓ハンディ図鑑.10日本のカメ・トカゲ・ヘビ.山と渓谷社:p154-159.p154-159.2007
  • 鳥羽道久.コーンスネークの分類.クリーパー8:p46-51.クリーパー社.東京.2001

この記事を書いた人

霍野 晋吉

霍野 晋吉

犬猫以外のペットドクター

1968年 茨城県生まれ、東京都在住、ふたご座、B型

犬猫以外のペットであるウサギやカメなどの専門獣医師。開業獣医師以外にも、獣医大学や動物看護士専門学校での非常勤講師、セミナーや講演、企業顧問、雑誌や書籍での執筆なども行っている。エキゾチックアニマルと呼ばれるペットの医学情報を発信し、これらの動物の福祉向上を願っている。

「ペットは犬や猫だけでなく、全ての動物がきちんとした診察を受けられるために、獣医学教育と動物病院の体制作りが必要である。人と動物が共生ができる幸せな社会を作りたい・・・」との信念で、日々奔走中。