癒されるフトアゴヒゲトカゲの飼育

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もえ~フトアゴ生活

愛嬌もあり、行動も可愛いフトアゴヒゲトカゲを飼育するとなんだか癒されます。

フトアゴヒゲトカゲ

爬虫類の病気と飼育の関連性(まずは読んで)!

飼育

地上性の中型のトカゲで、ケージに陸場を作り、昼行性であるため、紫外線ライトバスキングライトを設置します。

飼育頭数

野生のフトアゴヒゲトカゲはゆるいグループを形成していますが、必要に応じて自分自身のスペースを大切にします。単独飼育でも複数飼育でも可能ですが、複数で飼育すると、お互いの四肢や尾をかむことがあります。特にオス同士は喧嘩をすることもあるので避けて下さい。複数飼育の場合は、オスとメス、あるいはメス同士にしましょう。しかし、1つのケージに2~3頭までにしないと、ストレスになることがあります。アームウェービングをしている時は同居個体に対して拒否的な意思表示なのかもしれません。ストレスパターンで喉を黒色に変色しているようであれば、かなり嫌がっていると思われます。

ケージ

フトアゴヒゲトカゲは活動的ですので、広いスペースを与えることが理想です。幼体では小さいケージでも飼育できますが、成長具合によって、体の大きさにあった広さのケージを用意して下さい。一般的にはアクリルやガラス製の水槽、衣装ケースなどをケージとして使用します。壁面は登ることはできませんが、水槽は脱走できない高さを必要とします。もし必要とするならば通気性を確保するためにバーベキューネットのようなものがよいです。

フトアゴヒゲトカゲのケージ

フトアゴヒゲトカゲは高い所に登りたがる習性もあります。流木や岩などを組み合わせて設置してみて下さい。高い所で日光浴をする習性があります。

テラリウムとして乾燥地帯に似せたテラリウムとして飼育するのもよいです。ケージの中に流木、偽岩などを低い高さで置くと、それらの上に登って休息するため、その場所をホットスポットにします。

フトアゴヒゲトカゲの飼育

体温調節や複数飼育の時のストレス防止などの理由から、フトアゴトカゲにもシェルターも必要になることがありますが、必須ではありません。

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床敷

床敷には乾燥系の床砂やクルミの殻を砕い床材が使われますが、便宜性を優先的に考える場合は新聞紙などの紙やペットシーツでもよいです。

フトアゴヒゲトカゲの飼育

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温度・照明

ケージ全体が照射されるように紫外線ライトを設置します。バスキングライトをケージの端に設置して、局所的に高温の部分を作るような照射位置を考え、フトアゴヒゲトカゲの体温を上げるホットスポットを設けます。

フトアゴヒゲトカゲの飼育

フトアゴヒゲトカゲの至適環境温度は28.9~31.1℃〔McKeown 1996〕で、ホットスポットを32~35℃〔Johnson 2006〕にします。夜間は20.0~23.3℃にまで下げることはできます〔McKeown 1996〕。小さいケージであると温度勾配をつくることが難しく、広いスペースでは温度設定が難しいです。温度はしっかりと温度計で測定するべきです。そして、昼夜の温度変化に対して心配ならば、サーモスタットで温度調節することも可能です。フトアゴヒゲトカゲは冬眠はしません。

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ライト類は朝に点灯し、夜間は消灯します。冬になると夜は気温がさがりますので、保温球やヒーターなどで補助的に保温対策をします。紫外線も赤外線もでるメタルハライドランプは便利です。メタルハライドランプを使用する場合はケージの端に照射して下さい。季節的に屋外にフトアゴヒゲトカゲを出せる春~秋であれば、昼間に太陽光による日光浴をさせて下さい。

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湿度

乾燥というイメージが優先して乾燥しがちな飼育環境をつくりたがりますが、最低限の湿度を保つことも考えて下さい。理想の湿度は40~60%で、湿度が不十分で脱水が起こると、脱皮不全、消化管のうっ滞、腎不全・痛風の発症要因になります。湿度を保つためには、飲水用の水容器をケージ内におくだけでも多少は上がります。

フトアゴヒゲトカゲの飼育

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温浴

フトアゴヒゲトカゲは地上で生活していて、ほとんど水に入ることはありません。そして、基本的に水分は餌からしかとらないので、温浴をさせて水を飲ませることは大切です。ペットでは温浴をすることが勧められています。温浴をすると、水分をとる以外にも、体もきれいになり、食欲も出てきて、動きが活発になってきます。

ポイントはコレ(飼育環境)!

・ケージは水槽
・ケージの床敷は土系か植物系
・登るための低い岩や木を置く
・昼行性
・赤外線ライトと紫外線ライトを照射
・ケージ内で温度勾配をつける
・温浴をさせる
・冬眠はしない

食餌

ヒョウモントカゲモドキは動物食で、コオロギミルワームを主食として与える一方、草食の傾向もあるため、野菜も副食として与えるべきです。野菜から水分もとれますので、一石二鳥です。特に生き餌をケージ内にばらまくことで、トカゲはそれらの動きを察知して採食します。したがって、ピンセットから同じ生き餌、あるいは死んだもの(乾燥や冷凍餌)をピンセットで目の前に動かして生き餌のようにして反応させます。もちろん、乾燥したものや、冷凍餌を解凍したものをそのまま餌容器に入れておくことで勝手に採食する個体もいます。

フトアゴヒゲトカゲ

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返しがある爬虫類用餌水入れ!返しのある形状は、水がこぼれにくく、ミルワームなどの逃げ出しを予防します。

カルシウムやミネラル不足は、紫外線不足と同様に骨の成長に影響するため、カルシウム剤をはじめとする栄養剤のサプリメントを、餌に添加する方法が常法となっています。

フトアゴヒゲトカゲの飼育

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給餌回数は、幼体には毎日、成体には1~2日毎に与えて下さい。1回の給餌量は、トカゲの年齢や気温などに左右されるため、様子を見て加減します。定期的にトカゲの体重を測定をし、低下しているようであれば、給餌の回数や量を増やします。野菜や野草はしおれたり、糞や尿ついて汚れるため、食べ残しは取り除きます。昼行性であるため、給餌時間は午前中が理想ですが、少なくとも消灯の2~3時間前には与えるようにします。

フトアゴヒゲトカゲの飼育

人工飼料(配合飼料)

コオロギやワームなどの昆虫や節足動物以外にも、配合飼料を主食とする給餌も取り入れら、ペレットの給餌による管理・繁殖に成功しています。トカゲではふやかしたペレットをピンセットでつかんで、目の前で動かして与えないといけない場合が多いという欠点があります。トカゲ用配合飼料では半ねりタイプのチューブに入っている製品や、粉状になっているものを水で溶いて固まらせるゲル状タイプも販売されています。また、生体が販売されている時点で、妥当な配合飼料に餌付けされている場合も多いです。昆虫嫌いの飼い主には配合飼料で飼育ができることは好都合となります。しかし、普段から昆虫類を常食にしていたトカゲでは、それまでに与えていた生き餌を突然拒食を示すような事例も多く見られ、また生き餌が入手できなくなることもあり、普段から幅広い様々な食材を給餌するべきと言われています。その一つにペレットあるいは配合飼料がメニューに加わると栄養的に安心です。フトアゴヒゲトカゲの人工飼料は嗜好性が高いと言われている昆虫やワームの成分が多く配合されています。しかし、今までワームやコオロギを主食としてきた個体では、配合飼料へ切り替えることは容易ではありません。

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ペレット

乾燥されたペレットを給餌前に水に浸してから与えるますが、ふやかし過ぎるともろくなり、与えにくくなり、芯が硬い状態では食べない場合がありますので、注意して下さい。水に浸したペレットはその日に使い切りますので、食べ残したペレットは取り除きます。

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ゲル状

近年開発されたグラブパイ、ベアディ・ビュッフェなどの粉をお湯で溶いて固めて使うゲル状の人工飼料は、従来のペレットは異なり、栄養や嗜好性が優れているといわれています。水分もとれるので、Dr.ツルはかなり推奨していますが、給餌前に作成しなければならないのが面倒です。また、半ねりタイプのチューブを開けてしぼり出して、ピンセットで揺らすだけで食べてくれる商品が重宝されています。

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個体差ですが、積極的に水を飲まないことが多いです。もし飲まない場合は、野菜を与えたり、温浴の時に口から水分が入るように仕向けて下さい。まれに水容器から水を飲むこともあります。ケージの中の湿度を保つためにも、水を入れた容器を置いてあげましょう。

ポイントはコレ(エサ)!

・フトアゴヒゲトカゲは雑食
・幼体は昆虫食
・成長とともに野菜を増やす
・餌にカルシウム剤をかける
・人工飼料もよいものが出てきた
・水入れを置く

ケア

ハンドリング

ハンドリングは個体差がありますが、比較的ストレスにならない個体が多いです。ハンドリングは適度に行うぶんには問題ありませんが、過度に行うことでストレスにもなります。特に採食の前後では、拒食や吐き戻しをする可能性がありますので注意して下さい。フトアゴヒゲトカゲはひっくりかえされることは嫌いなので、なるべく腹を下にした姿勢でもってあげます。

掃除

フトアゴヒゲトカゲを触った後はよく手を洗い、そして、ケージなどの掃除も衛生的にして下さい。爬虫類はサルモネラ菌を保菌していることが多いです。爬虫類に常在しているサルモネラ菌は爬虫類には無症状のことが多く、人に感染すると嘔吐や下痢などの消化器症状が起こり(サルモネラ中毒)、人獣共通感染症(ズーノーシス)として有名です。掃除の後にケージも殺菌するために日光浴や消毒をするように心がけましょう。

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とりあえずの消毒にはコレ!

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掃除はもちろんですが、消臭対策も考えましょう。

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ポイントはコレ(ケア)!

・人に抱っこされてもストレスにはならない
・掃除は水洗いだけでなく消毒もする
・排泄物の量が多いので消臭対策もする

参考文献

  • Grenard S.An Owner’s Guide to a Happy Healthy Pet:The Bearded Dragon.Howell Book House.New York.1999
  • Johnson JD,Bearded Dragons.Exotic DVM8(5).Zoological Education Network:p38-44.2006

この記事を書いた人

霍野 晋吉

霍野 晋吉

犬猫以外のペットドクター

1968年 茨城県生まれ、東京都在住、ふたご座、B型

犬猫以外のペットであるウサギやカメなどの専門獣医師。開業獣医師以外にも、獣医大学や動物看護士専門学校での非常勤講師、セミナーや講演、企業顧問、雑誌や書籍での執筆なども行っている。エキゾチックアニマルと呼ばれるペットの医学情報を発信し、これらの動物の福祉向上を願っている。

「ペットは犬や猫だけでなく、全ての動物がきちんとした診察を受けられるために、獣医学教育と動物病院の体制作りが必要である。人と動物が共生ができる幸せな社会を作りたい・・・」との信念で、日々奔走中。