ヒョウモントカゲモドキの飼育

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可愛くて長生きして手間がかからない

ヒョウモントカゲモドキは飼育がしやすいトカゲです。ポイントを抑えれば、小さいケージで飼うことができるし、10年も長生きもします。可愛いトカゲなので、部屋においても、つい微笑んでしまいますよ。

爬虫類の病気と飼育の関連性(まずは読んで)!

飼育

見た目の可愛さだけでなく、他のトカゲと比べても飼育の手間もかかりません。本来の生息地は砂漠のような乾燥地域なので、環境に対する適応能力は高く、比較的丈夫で、約10年は生きます。夜行性なので、他の爬虫類が必要とするような紫外線ライトや赤外線ライトは不要で、他の爬虫類と比べ安上がりに飼育ができます。基本的にかまないので、ハンドリングも簡単にできます。旅行などでしばらく家を留守にしても、温度管理だけすれば、数日間なら問題ありません。もともと絶食に強い性質をしています。

飼育頭数

自然界ではハーレムを作りますが、ストレスがかかるため基本的に単独で飼育します。複数で飼育すると、お互いの手足や尾をかむことがあり、オス同士は喧嘩をすることもあるので避けましょう。

ケージ

小型であまり活動的でないトカゲなので、ケージは小さい水槽、30~45cm位のガラス製、プラスチックやアクリル製のケースを使用します。

ヒョウモントカゲモドキの飼育

ヤモリのような吸盤が指についていないので、ケージの壁面は登ることはできません。しかし、シェルターなどの登ってが脱走できない高さを考えます。蓋は通気性を確保するためにバーベキューのネットのようなものがよいかもしれません。

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夜行性なため、昼はシェルターに隠れて潜んでいることが多く、シェルターを設けます。シェルターは休息以外にも、上に登ることで行動の範囲を広げます。

ヒョウモントカゲモドキのシェルター

テラリウムとして乾燥地帯に似せたテラリウムとして飼育するのもよいです。ケージの中に流木、偽岩などを低い高さで置くと、それらの上に登ったり、隙間に隠れて休みます。

ヒョウモントカゲモドキの飼育

ヒョウモントカゲモドキはトイレの場所が固定されます。一度覚えるとほとんど同じ場所ですることが多いので、掃除や手間がかかりません。基本的に飼育していても、それほど臭いません。そるが飼いやすい理由の一つでもあります。

床敷

ヒョウモントカゲモドキは乾燥地帯に生息しており、基本的に乾燥系の床敷で飼育します。細かい床砂を使用すると餌と一緒に口にすることが多く、消化管閉塞を起こすことが多いので注意してください。新聞紙やキッチンペーパータオルなどの紙を床敷として使い、水ゴケを入れたプラスチックの容器をシェルターとして使うなどの簡易的な飼育も可能です。紙であれば消化管閉塞の心配がなくなります。

ヒョウモントカゲモドキ

温度・照明

ヒョウモントカゲモドキは夜行性です。紫外線供給のための爬虫類用の紫外線ライトならびにホットスポットはいりません。至適環境温度域は、昼は24~28℃、夜は18~24℃の温度差を設けてください。保温のためにケージの下にフィルムヒーターなどを敷いて温度調節をします。温度勾配ならびにホットスポットは必ずしも必要ではないですが、フィルムヒーターのおよぶ範囲はケージの床面の1/2~1/3にととどめ、ケージ内に多少の温度差を設けましょう。爬虫類用の夜間用保温球をケージの端に設置するのも一方法です。温度はしっかりと温度計で測定するべきです。そして、昼夜の温度変化に対して心配ならば、サーモスタットで温度調節することも可能です。ヒョウモントカゲモドキは明るい場所で飼育すると発色が悪くなるといわれていますが、その真偽はわかっていません。

ヒョウモントカゲモドキの飼育

湿度

湿度を上げる目的で水容器を設置し、保水性のあるシェルターあるいはシェルター内に湿らせた水ゴケなどを入れる、定期的に温浴、散水や霧吹きなどの策がとられています。湿度を保つためには、飲水用の水容器をケージ内におくだけでも多少は上がります。湿度が低いと脱皮不全になりやすいです。

ヒョウモントカゲモドキ

湿度対策として、水容器を置いて乾燥を防ぐのが簡単にできます。ここで大活躍するのがウエットシェルターがお薦めです。それぞれのシェルターには隠れ家、飲水用の水容器、そして保湿効果が期待できます。

水ゴケなどの湿潤な床敷を使うことでも、保湿効果がありますが、ケージの中が不衛生になりやすいのが欠点です。シェルター内に湿らせた水ゴケなどを入れるとよいです。

時間を決めて毎日散水や霧吹きするのも効果的です。

ヒョウモントカゲモドキの飼育

最終的には定期的に温浴をしないと水不足になるケースが多いかもしれません。

ヒョウモントカゲモドキの脱皮不全の詳細な解説はコチラ!

ポイントはコレ(飼育環境)!

・小さな箱やケージで飼育
・夜行性
・温度管理だけする
・湿度つくりが難しい
・温浴をさせる
・冬眠はしない

食餌

ヒョウモントカゲモドキは動物食で、コオロギミルワームを主食として与えます。特に生き餌をケージ内にばらまくことで、トカゲはそれらの動きを察知して採食します。したがって、ピンセットから同じ生き餌、あるいは死んだもの(乾燥や冷凍餌)をピンセットで目の前に動かして生き餌のようにして反応させます。もちろん、乾燥したものや、冷凍餌を解凍したものをそのまま餌容器に入れておくことで勝手に採食する個体もいます。また、大型の個体ではピンクマウスまで食べます。

ヒョウモントカゲモドキの採食

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カルシウムやミネラル不足を補うために、栄養剤のサプリメントを餌に添加することが常法となっています。特に昆虫やワームはカルシウムが足りないので、カルシウム剤がサプリメントとして多く使われています。夜行性なため紫外線でなく、エサのカルシウムが重要であり、不足することで代謝性骨疾患・低カルシウム血症が起こります。

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給餌回数は、幼体には毎日、成体には週に2~3回与えてください。1回に与えるエサの量は、ヒョウモントカゲモドキの年齢や気温などに左右されるため、様子をみて加減します。定期的に体重測定をし、低下しているようであればエサの回数や量を増やします。ある程度の絶食には耐えられるので、成体でも週に1回でも、体調に問題なければ焦らないでください。夜行性であるため、給餌の時間は、活動を始める夕方や夜にして下さい。

人工飼料(配合飼料)

コオロギやワームなどの昆虫や節足動物以外にも、配合飼料を主食とする給餌も取り入れら、ペレットの給餌による管理・繁殖に成功しています。トカゲではふやかしたペレットをピンセットでつかんで、目の前で動かして与えないといけない場合が多いという欠点があります。トカゲ用配合飼料では半ねりタイプのチューブに入っている製品や、粉状になっているものを水で溶いて固まらせるゲル状タイプも販売されています。また、生体が販売されている時点で、妥当な配合飼料に餌付けされている場合も多いです。昆虫嫌いの飼い主には配合飼料で飼育ができることは好都合となります。しかし、普段から昆虫類を常食にしていたトカゲでは、それまでに与えていた生き餌を突然拒食を示すような事例も多く見られ、また生き餌が入手できなくなることもあり、普段から幅広い様々な食材を給餌するべきと言われています。その一つにペレットあるいは配合飼料がメニューに加わると栄養的に安心です。ヒョウモントカゲモドキの人工飼料は嗜好性が高いと言われている昆虫やワームの成分が多く配合されています。しかし、今までワームやコオロギを主食としてきた個体では、配合飼料へ切り替えることは容易ではありません。

爬虫類の配合飼料の詳細な解説はコチラ!

ペレット

乾燥されたペレットを給餌前に水に浸してから与えるますが、ふやかし過ぎるともろくなり、与えにくくなり、芯が硬い状態では食べない場合がありますので、注意して下さい。水に浸したペレットはその日に使い切りますので、食べ残したペレットは取り除きます。

ジェックス レオパブレンドフード 

60g
120g

ドライペレットなので保管がカンタン!嗜好性抜群、昆虫主体のフードなので成長に必要なタンパク質、脂質が確保できます。
3分ぬるま湯に浸し、簡単に給餌することができます!

ゲル状

グラブパイと呼ばれる粉をお湯で溶いて固めて使うゲル状の人工飼料は、従来のペレットは異なり、栄養や嗜好性が優れているといわれています。水分もとれるので、Dr.ツルはかなり推奨していますが、給餌前に作成しなければならないのが面倒です。また、半ねりタイプのチューブを開けてしぼり出して、ピンセットで揺らすだけで食べてくれる商品が重宝されています。

グラムパイの詳細な解説はコチラ!

大ヒット商品!昆虫食爬虫類の半ねりタイプ総合栄養食

キョーリン レオパゲル

60g
150g

一口で食べる量をしぼり出してピンセットで目の前で動かして与える!ぷるぷるした形状で食べやすく、ミルワーム・シルクワームを高配合で、昆虫を与えていたヒョウモントカゲモドキの約80%が問題なく食べてくれます。レトルト殺菌済みで、合成保存料も使用しておりませんので安心して給餌できます。生き餌の給餌と比べ、糞の臭いが減少します。

スドー 給餌ピンセット270

手にジャストフィット!上からも、横からも、給餌がラクなカーブ形状の先端をし、手にジャストフィットする全長270mmのピンセット。水洗いもできて衛生的です。

温浴の時を飲んだり、散水の際に体についた水露を舐めて水をとりますが、水容器から水を飲むこともあります。クラブパイやレオパゲルなど水分が多い餌を与えていると水をあまり飲まなくなります。

レオパの餌容器・水容器はコレ!

マルカン ジオディッシュ M

ごはんがこぼれにくい!食べこぼしや生き餌の逃げ出しを防ぎ、カエシ付きの食器です。陶器製で清潔的で、ひっくり返しにくい形状をしています。

スドー レプタイルフードトレイ

お好みの場所にピタッと固定!磁石で取り付けるタイプのフードカップとホルダーで、ガラス厚5mm以下の飼育水槽やプラケースならばお好みの場所に設置できます。

ポイントはコレ(餌)!

・ヒョウ門トカゲモドキは昆虫動物食
・主食は昆虫
・大きくなればピンクマウスも食べる
・餌にカルシウム剤をかける
・人工飼料にもよい商品がある
・水入れを置く

ケア

ハンドリング

ハンドリングは個体差がありますが、比較的ストレスにならない個体が多いです。ハンドリングは適度に行うぶんには問題ありませんが、過度に行うことでストレスにもなります。特に採食の前後では、拒食や吐き戻しをする可能性がありますので注意して下さい。

掃除

ヒョウモントカゲモドキを触った後はよく手を洗い、そして、ケージなどの掃除も衛生的にして下さい。爬虫類はサルモネラ菌を保菌していることが多いです。爬虫類に常在しているサルモネラ菌は爬虫類には無症状のことが多く、人に感染すると嘔吐や下痢などの消化器症状が起こり(サルモネラ中毒)、人獣共通感染症(ズーノーシス)として有名です。掃除の後にケージも殺菌するために日光浴や消毒をするように心がけましょう。

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とりあえずの消毒にはコレ!

ドバック+ オールマイティ

200mL
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細菌・真菌はもちろん・・・ウイルスも!次亜塩素酸ナトリウムよりも安全、手のひらにスプレーし、爪の先から指の間、手の裏表全体から手首までまんべんなくすりこむ。衣服やケージの菌の繁殖が気になる所に。

マイクロシン®ソリューション 500mL

ケージの消毒にはコレ!マイクロシンクリーナーは最先端特許技術によりウイルス、細菌、真菌(カビ)を瞬時に阻害し、清潔な状態にしてくれます。動物が口にしても何も影響しない成分です。おまけにトカゲの糞・尿の嫌な臭いまで除去します。 医療機関や動物病院の病室やICU、手術室などで使用されている優れ物です!

掃除はもちろんですが、消臭対策も考えましょう。

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爪切りなどの特別なケアは不要です。脱皮不全とクリプトスポリジウムの対策が、飼い主にとっても一番の悩みでしょう。

脱皮不全対策

脱皮不全は主に乾燥が原因になります。脱皮前になり、体か白色を帯びてきたら、対策を練って下さい。

ヒョウモントカゲモドキの脱皮不全

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クリプトスポリジウム遺伝子(PCR)検査

死亡率が高いヒョウモントカゲモドキに多く見られる寄生虫による感染症です。これを知らないとレオパファンなら失格です。飼い主ならは検査をするべきです。

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ポイントはコレ(ケア)!

・脱皮不全にならないように考える
・余裕があればクリプトスポリジウム検査
・掃除は水洗いだけでなく消毒もする
・排泄物の消臭対策もする

この記事を書いた人

霍野 晋吉

霍野 晋吉

犬猫以外のペットドクター

1968年 茨城県生まれ、東京都在住、ふたご座、B型

犬猫以外のペットであるウサギやカメなどの専門獣医師。開業獣医師以外にも、獣医大学や動物看護士専門学校での非常勤講師、セミナーや講演、企業顧問、雑誌や書籍での執筆なども行っている。エキゾチックアニマルと呼ばれるペットの医学情報を発信し、これらの動物の福祉向上を願っている。

「ペットは犬や猫だけでなく、全ての動物がきちんとした診察を受けられるために、獣医学教育と動物病院の体制作りが必要である。人と動物が共生ができる幸せな社会を作りたい・・・」との信念で、日々奔走中。