ヒョウモントカゲモドキの品種(何千種類)

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爬虫類中で最も多い品種数

ヒョウモントカゲモドキは亜種分類、体の色や模様、目の色、体の大きさなどで細かく分けられて、何千種の品種が流通しています。流通している個体のほとんどがCB(繁殖)個体で、爬虫類の中でも品種改良が最も進んでいる種類の一つです。品種名はブリーダーの名前をつけることもあり、トレンパー氏(例:トレンパー・アルビノ、トレンパー・ジャイアント)やベル氏(例:ベル・アルビノ)、マック氏(例:マック・スノー)、マーフィー氏 (マーフィー・パターンレス)、レインウオーター氏(例:レインウオーター・アルビノ)などが有名で、さらに彼らの居住地であるテキサス、フロリダ、ラスベガスが名前の一部につくこともあります。

亜種

ヒョウモントカゲモドキは5~6亜種が報告されていますが、相違点が明確でなく、見解も様々です。一部では亜種名を明記して、マキュラリウス(パンジャブ)(E.m.macularius)、モンタヌス(モンテン)(E.m.montanus)、ファスキオラータス(E.m.fasciolatus)、アフガン(アフガニクス)(E.m.afghanicus)など販売されていますが、現在では原産国の政情が不安定で、WC(野生)個体の流通は全くと言っていいほどありません。

体や目の色と模様によるバリエーション

体色や模様によるバリエーションはノーマル以外に、黄色の強い個体を選択交配した系統のタンジェリン系(ハイイエロー、タンジェリン、キャロットテールなど)、黒色色素欠乏で赤目のアルビノ系(アルビノ、アプター、ラプター、レーダーなど)、模様を欠く黄色やクリーム色のパターンレス系(パターンレスレーダー、マーフィーパターンレス(リューシスティック)、ブリザードなど)、ハイイエローの黄色が白色を帯びているモノトーンのスノー系(スノー、マックスノー、スーパーマックスノー、アーバンスノーなど)がみられ、模様が特徴的な、ストライプ、ジャングル、エニグマなどがいます。身体が大きいジャイアントやスーパージャイアントなどの品種も作られています。

ノーマル

野生種に近い色と模様をしており、黄褐色に黒色のヒョウモン柄の模様が入ってます。ノーマルと表記されていても、殆どがハイイエローなどに近い色をしています。

ヒョウモントカゲモドキ

タンジェリン系

ハイイエロー

ノーマルの黄色が強いカラーで、色や斑紋が多様化しています。黄味の強さにばらつきがあり、異なる品種と思うくらいです。なお、ハイイエローは最も流通数が多く、本品種がノーマルとも呼ばれることがあります。

ヒョウモントカゲモドキのハイイエロー

ハイポ・タンジェリン

タンジェリンはオレンジ色のことで、強いオレンジ色の色味を持っています。しかし、幼体にはタンジェリンの特徴がみられないため、成長してどのくらいのオレンジ色が発色するのかは分かりません。ハイポはハイポメラニステックの略で、黒色色素が減退しています。ノーマルと比べても色彩が綺麗で人気があります。

ヒョウモントカゲモドキ
ヒョウモントカゲモドキハイポタンジェリン

アルビノ系

ラプター

ラプター(RAPTOR)は、アプター(APTOR)の赤目(レッドアイ:Red eye)の個体を指します。APTORとははアルビノ(A)、パターンレス(P)、ブリーダーのトレンパー氏の作出(T)、オレンジ(OR)の英語の頭文字から命名されました。

ヒョウモントカゲモドキのラプター

パターンレス系

パターンレス・レーダー

ラプターを作りあげるためのアルビノをトレンパー氏のアルビノ(トレンパー・アルビノ)ではなくてベル氏のアルビノ(ベル・アルビノ)を用いたものレーダー(Radar)と呼ばれています。

ヒョウモントカゲモドキのパターンレスレーダー

ヒョウ柄模様を欠くアルビノはアルビノ・パターンレスと呼ばれます。

ヒョウモントカゲモドキのアルビノパターンレス

リューシスティック(マーフィー・パターンレス)

黒色の模様が一切存在せず、全体的に黄色色素は残っており、白黄色をしています。リューシスティックとも呼ばれていますが、マーフィー氏が作りだした場合は、マーフィー・パターンレスと呼ばれています。そして、リューシスティックは尾の先端が先天的に曲がってしまっているなどの軽い奇形が多いです。

ヒョウモントカゲモドキのリューシスチィック

ブリザード

マーフィー・パターンレスを白色化して作りだし、ブリザートと呼ばれています。体は白色ですが、成長するとピンク、黄色、深い紫色を帯びてきます。黄色を帯びたブリザードはバナナブリザード、ベージュを帯びたり、灰色を帯びたブリザードはミッドナイトブリザードと呼ばれることがあります。

ヒョウモントカゲモドキのブリザード

スノー系

ダオライト・スノー

雪の意味のスノーは、体色の黄色が減少し、白色を帯びた色になります。細かな黒色のスポットをダオライトと呼びます。

ヒョウモントカゲモドキ

スーパーマック・スノー

マックスノーは若干の黄色みが残るが、マックスノー同士を交配させて作られたスーパーマックスノーは純白に近く、黒色のスポットが列を成してならび、モノトーン調です。目は黒目です。

ヒョウモントカゲモドキのスーパーマックスノー

その他

ジャングル

背中の尾と体の模様の両方が乱れているのがジャングルと呼ばれてます。体の模様だけが乱れたものをアベラントと呼びます。

ヒョウモントカゲモドキのジャングル

エニグマ

エニグマとは謎という意味です。色みが多彩で、全身に薄紫や白、黄色やオレンジなどが多彩に表れます。さらに、斑紋は細かく散らばり、量や形などは不規則に表現されます。年齢を重ねるにつれて、斑紋が変化することもあります。そして、エニグマには、斜頸(首をかしげる症状)旋回(同じ場所をグルグル回る)などの神経症状が見られる先天的素因を持っています。

目の色や模様

目のカラーバリエーションもあり、銀灰色の虹彩に縦に細長い黒色の瞳孔を持つノーマルアイ、虹彩まで黒色のエクリプス、虹彩の中に瞳孔が滲み出したような模様のマーブルアイ、エクリプスから派生したアビシニアンがあります。色素を欠いたアルビノもあり、光彩の色が白色をしていま。アビシニアンは虹彩の網目模様が赤く、血走った目をしているようにみえます。エクリプスのうち、完全な黒目をソリッドアイ(フルアイ)、黒に近い赤目をレッドアイ、透き通るような赤目をルビーアイ、横半分が黒目となるのをスネークアイ(ハーフアイ)と呼ばれます。

ヒョウモントカゲのスネークアイ

体の大きさによるバリエーション

ジャイアント

体の大きな品種をジャイアントと呼ばれています。生後1年で、オス80~100g・メス60~90gにまで成長します。ジャイアントには各種の色や模様がいます。

ヒョウモントカゲのジャイアント

この記事を書いた人

霍野 晋吉

霍野 晋吉

犬猫以外のペットドクター

1968年 茨城県生まれ、東京都在住、ふたご座、B型

犬猫以外のペットであるウサギやカメなどの専門獣医師。開業獣医師以外にも、獣医大学や動物看護士専門学校での非常勤講師、セミナーや講演、企業顧問、雑誌や書籍での執筆なども行っている。エキゾチックアニマルと呼ばれるペットの医学情報を発信し、これらの動物の福祉向上を願っている。

「ペットは犬や猫だけでなく、全ての動物がきちんとした診察を受けられるために、獣医学教育と動物病院の体制作りが必要である。人と動物が共生ができる幸せな社会を作りたい・・・」との信念で、日々奔走中。