ヒョウモントカゲモドキってどんなトカゲ(知らないといけない生態と知識) 

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愛称のレオパは、英語名のLeopard から

和名や英名の通り、ヒョウ柄の黒い模様が入る小型のヤモリです。片手に乘るくらいのサイズです。ヤモリの仲間ですが、ヤモリとは異なる体の特徴があることから、トカゲモドキと呼ばれています。多くのカラーバリエーションがCB(繁殖)個体として作成され、とても人気が高い爬虫類です。

ヒョウモントカゲのカラーバリエーション(品種)の詳細な解説はコチラ!

分類・生態

分類

有鱗目トカゲモドキ科ヒョウモントカゲモドキ属
学名Eublepharis macularius
英名:Leopard gecko
別名:レオパードゲッコー

分布

パキスタン、アフガニスタ南部、インド北西部

ヒョウモントカゲモドキ分布図

生態

環境:荒地や草原の岩の多い半乾燥~乾燥地帯
行動
・夜行性で、昼は岩の隙間や倒木の下などに隠れて休み、夜に活動します。
・地上性のヤモリで、オスは縄張りを持ち、1頭のオスに対し数頭のメスのハーレムをつくります。
食性:動物食で、昆虫、クモなどの節足動物、小さいトカゲなどの小型爬虫類などを食べ、空気中の湿度は高いためか、岩や植物についた夜露や朝露を舐めて水分をとっています。
寿命:10~15年(最高記録で30年)〔Kramer 2002〕

身体

全長:18~25cm
体重:45~60g

性格・習性

温和

性格は温和で、行動もおっとりしているものが多いです。基本的に採食と排泄以外は、動かないているイメージがあるくらいです。しかし、嫌なことをされるとかみつくこともあるので注意して下さい。

目をなめる

舌は太く先端は分かれていません。頻繁に舌なめずりをし、鼻や目を舐めて乾燥を防いだり、口周りについた水滴などを舐めとります。

ヒョウ門トカゲモドキの舌

特徴

細長い体

細長い頭と胴体と発達した大きなを尾を持ち、短い手足をしています。

ヒョウモントカゲモドキ

ヒョウ柄

幼体の体色は薄い黄褐色に太い黒色の帯模様をしていますが、成長に伴い模様が不明瞭になります。

ヒョウモントカゲモドキの幼体

成体では黒い不規則なヒョウ柄の斑紋になり、腹部は白色を帯びています。生息地により、色や模様が少しずつ異なります。

ヒョウモントカゲモドキ

体のイボイボ

体の表面には多数の小さなイボ状突起で覆われています。

ヒョウモントカゲモドキの鱗

わきの下のポケット

腋下には腋下ポケットと呼ばれる窪みがある個体もおり、この窪みの役割は不明です。

ヒョウモントカゲモドキ

ヒョウモントカゲモドキは、脱皮の前になると全体が白色を帯びて、その一部に亀裂が入って皮が剥がれ落ちます。剥がれた皮を自分で食べてしまうことが多いです。

ヒョウモントカゲモドキの脱皮

栄養を蓄える尾

尾は脂肪を蓄えるため、体よりも太くなることがあります。一方で栄養不足や疾病により尾は細くなり、スティックテール病と呼ばれています。

自切

天敵に襲われると、自ら尾を切って逃げることもします(自切)。

トカゲの尾の自切の詳細な解説はコチラ!

スリットの目

他の夜行性であるイモリと同様に縦長のスリット状の瞳孔をしています。

ヒョウモントカゲモドキの目

細かい歯

歯は同形歯と呼ばれて小さい歯が並んでいます。

ヒョウモントカゲモドキ

爬虫類の歯の詳細な解説はコチラ!

ヤモリだけどトカゲに近いトカゲモドキ

ヒョウモントカゲモドキ科は分類的にヤモリですが、いくつかの点でヤモリよりもトカゲに近い特徴を持つことから、トカゲモドキと命名されました。

指下薄板がない

ヤモリのような指の吸盤である指下薄板(しかはくばん)を欠くため、垂直の壁に張りつくことができません。指の先には細い爪があります。下の写真はヤモリの指下薄板です。

ヤモリしかしばん

ヒョウモントカゲモドキの趾の数は前後肢ともに5本で、小さい爪が生えていますす。
ヒョウモントカゲモドキの足 ヒョウモントカゲモドキの爪

眼瞼がある

ヤモリ類は眼瞼を欠きますが、ヒョウモントカゲモドキは眼瞼があります。ヤモリの仲間なのに眼瞼を持つトカゲなためにトカゲモドキと命名されています。

 ポイントはコレ!

・ヒョウモントカゲモドキはヤモリの仲間
・夜行性
・通称はレオパと呼ばれ、ヒョウ柄模様
・パキスタン周囲の乾燥した地域に生息する
・朝露や夜露をなめる
・昆虫食
・尾の太さで栄養状態が分かる
・ヤモリのような吸盤はない
・眼瞼がある

参考文献

  • Grenard S.An Owner’s Guide to a Happy Healthy Pet:The Bearded Dragon.Howell Book House.New York.1999
  • Johnson JD,Bearded Dragons.Exotic DVM8(5).Zoological Education Network:p38-44.2006
  • McKeown S.General husbandry and management.In Reptile medicine and surgery.Mader DR ed.WB Saunders.Philadelphia:p9-19.1996
  • Quinn AE,Georges A,Sarre SD,Guario F,Ezar T,Graves JA.Temperature sex reversal implies sex gene dosage in a reptile.Science316.411.2007
  • Tosney K.1996.”Caring for an Australian Bearded Dragon” (On-line). Accessed November 16.1999 at http://www.ualberta.ca/~rswan/ERAAS/bd.htm.
  • Zoffer D,MazorligT.The Guide to Owning a Bearded Dragon.TFH Publications.Neptune City.NJ.1997

この記事を書いた人

霍野 晋吉

霍野 晋吉

犬猫以外のペットドクター

1968年 茨城県生まれ、東京都在住、ふたご座、B型

犬猫以外のペットであるウサギやカメなどの専門獣医師。開業獣医師以外にも、獣医大学や動物看護士専門学校での非常勤講師、セミナーや講演、企業顧問、雑誌や書籍での執筆なども行っている。エキゾチックアニマルと呼ばれるペットの医学情報を発信し、これらの動物の福祉向上を願っている。

「ペットは犬や猫だけでなく、全ての動物がきちんとした診察を受けられるために、獣医学教育と動物病院の体制作りが必要である。人と動物が共生ができる幸せな社会を作りたい・・・」との信念で、日々奔走中。