爬虫類の塩腺(イグアナのくしゃみ)

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くしゃみ

グリーンイグアナの鼻の中にある塩腺(ソルトグランド:Salt gland)からの分泌物が、鼻の孔の周りに付着したり、くしゃみのような症状も見られるので、一見すると鼻炎と間違われることがあります〔Schumacher 2011〕。病気じゃなくて、イグアナでは正常な塩腺分泌物の可能性があります。

塩腺

本来、海生の鳥や爬虫類にある分泌腺で、体液中の余剰な塩分を濃縮して排出する機能を持っています。通常は頭骨の左右の眼窩の上方に1対存在しており、海での採餌後など多量の塩分が体内に入った時に腎臓よりも能率的に塩分を排泄する機能を持っています。爬虫類で塩腺を持つ代表的なのがウミガメです。ウミガメが塩腺からの分泌物は涙を流している感じに見えます。塩腺は余剰な塩分を排泄する以外に、眼球の保護のために粘性物質で目を覆うことです。

イグアナは海にいない

イグアナと言うとウミイグアナであれば、ウミガメと同様に塩分を排泄するシステムがあるのが理解できますが、グリーンイグアナは陸生で生活をし、海水を摂取しているように思えません、グリーンイグアナの塩腺分泌は、塩化物または重炭酸塩のいずれかを陰イオンとして、ナトリウムだけでなくカリウムも分泌していると思われます〔Hazard 2001〕。

参考文献

  • Hazard LC.Ion secretion by salt glands of desert iguanas (Dipsosaurus dorsalis).Physiol Biochem Zool74(1):22-31.2001
  • Schumacher J.Respiratory medicine of reptiles.Vet Clin Exot Anim14(2).Philadelphia.PA. Saunders:207‐224.2011

この記事を書いた人

霍野 晋吉

霍野 晋吉

犬猫以外のペットドクター

1968年 茨城県生まれ、東京都在住、ふたご座、B型

犬猫以外のペットであるウサギやカメなどの専門獣医師。開業獣医師以外にも、獣医大学や動物看護士専門学校での非常勤講師、セミナーや講演、企業顧問、雑誌や書籍での執筆なども行っている。エキゾチックアニマルと呼ばれるペットの医学情報を発信し、これらの動物の福祉向上を願っている。

「ペットは犬や猫だけでなく、全ての動物がきちんとした診察を受けられるために、獣医学教育と動物病院の体制作りが必要である。人と動物が共生ができる幸せな社会を作りたい・・・」との信念で、日々奔走中。