アカメアマガエル・イエアメガエルの飼い方(樹上性カエルの飼育)

木や葉の上で暮らすカエル

アカメアマガエルとイエアメガエルは樹上生のカエルで、ツリーフロッグ (Tree frog) と呼ばれます。自然環境に近づけるために木や葉に登れるようなレイアウトを作って飼育する必要があります。

ニホンアマガエルやシュレーゲルアオガエルなどもツリーフロッグ (Tree frog) の仲間なので、飼育方法は同じです。

二ホンアマガエル

ケージ

樹上性のカエルは吸盤で壁を登り、上下の垂直方向への移動が大きいため、高さのある水槽またはプラスチックやアクリルのケースを用意します。水槽で飼育する場合は必ず蓋をしないと、逃走するので注意して下さい。蓋はステンレスメッシュ製や穴あきのプラスチック製等で通気性のよいものを選び、小型の種類では穴の大きさに注意しましょう。

イエアメガエル飼育

夜になると活動的になり、水槽やケースの透明の壁にぶつかって、鼻先の外傷を負います。ケージを大きくするか、あるいは下記に解説している観葉植物を多くレイアウトして、植物と植物を移動することを多くするしかありません。

イエアメガエルの外傷

お薦めケージは下記の2つ!

ジェックス グラステラリウム ナノ PT2601

W21.5×D21.5×H33cm

まずはコレからスタート!ガラス製テラリウムケージで、日常のメンテナンスや餌やりがしやすい前面開閉式ドアです。付属のバックグラウンドがリアルの岩肌を再現。生体の脱走を防ぐロック機能付きで、トップカバーはメッシュタイプで通気性に優れています。

ジェックス グラステラリウム 3060

W31.5×D31.5×H62.5cm

でかい60cmで水槽部約17cmで水や土がたっぷり入る!グラステラリウムのハイタイプで樹上棲カエルに十分な運動が提供でき、水槽部が深く水がたっぷりはれるのでテラリウムにもぴったりのサイズです。

レイアウト

自然環境を再現するため、テラリウムとして観葉植物などを置いて飼育されることが多く、カエルの大きさに合わせて植物を鉢ごと入れます。あるいは樹上生なので高さがあり、登れるような登り木を置くのもよいでしょう。

イエアメガエル飼育

カエルは壁以外に植物や登り木に登ったり、休ませたりします。葉があるとその裏がシェルターにもなります。

イエアメガエル飼育

植物はカエルの尿によって枯れることがありますので、水で洗い流したり、枯れたら新しいものに交換して下さい。床敷は特に不要ですが、観賞性を重視するのであれば植物とともに、土砂系や水ゴケなどを敷きます。しかし、糞や尿、生き餌の食べ残しなどがたまりやすく掃除が面倒になります。濡れたキッチンペーパーなどでもよいと思います。

イエアメガエル飼育

メンテナンスのし易さでは、新聞紙や紙などを敷いても構いません。カエルは排泄物などで汚染されると、アンモニアが体表から吸収されて自家(アンモニア)中毒を起こすため、床敷は汚れたら頻繁に取り替えます。近年は人口の止まり木がありますので、枯らすことなく便利に使用できます。

人工の枝!サンコー モスヴァイン マルチ

こんなのあったんだ!超便利!カメレオン、樹上性トカゲ、カエル等のケージレイアウトのための人工の止まり木で、自然な外観を備え、自在に曲げたり、ねじったりすることができて、ケージ内を自由にレイアウトできる

湿度

カエルは乾燥に弱く、理想的な湿度は70~85%で、1日に数回霧吹きするか、大きめの水容器を設置して下さい。イエアメガエルは乾燥にも強いですが、やはり多湿を好みます。湿度は低すぎても高すぎても体調を崩すので、毎夜ケージ内に霧吹きして湿度を管理して下さい。

イエアメガエル

水容器は湿度を保つだけでなく、カエルが水の中にも入るので、身体の大きさに合わせたタッパや市販の擬岩の水容器を使用します。水容器に十分な量のを入れておけば、自ら水に入ったり、また木の上に上がったりとカエル自身が湿度調節をします。しかし、ツリーフロッグは泳ぎが下手な種類が多いので深い容器を使用すると溺れてしまう危険があります。使用する水はカルキ抜きした水をして下さい。

イエアメガエル飼育

両生類飼育のカルキ抜きした水の詳細な解説はコチラ!

カエルが植物の上に登ったり、下に降りて水容器に体をつけるような、必要に応じて湿度をコントロールできる環境が理想です。またケージ内に植物を入れた場合は枯らさないように水を与えるので、加湿にもなります。定期的に霧吹きで加湿をするべきです。

両生類・爬虫類用霧吹き!ジェックス ミスター

本当の霧かよ!加圧して細かい霧をつくれるスプレーです。

近年は自動で霧を発生させて噴霧できる装置のミスティングシステムという便利な商品が販売されていますデジタルタイマーで噴霧するタイミングと回数を指定すれば自動的に噴霧を行いますので、カメレオンの飼育でも使われています。

小さいケージのミスティングシステムならコレ!

サンコーポケットタイマー付き ミストシステム

絶対に必要!自然の降雨や熱帯雨林の湿潤な環境を再現し、定期的にミストを発生させます。本体も小型で軽量、取り付け簡単、お好きな容器をウォータータンクとして使用でます。360°回転スプレーノズルで降雨角度が調整もでき、噴霧間隔と噴霧時間もコントロールさせます。

大きいケージならコレ!

サンコーデジタルタイマー付き加湿器 4L

迷ったらコレ!パンサーやジャクソンを飼育して、定期的に湿度を上げたい時には使って下さい。ウォータータンクも付いており、噴霧間隔と噴霧時間もコントロールできる標準スペックです。

複数のケージに取り付けるならコレ!

ジェックス モンスーンマルチ 8L

大きなケージや複数のケージに対応!大きなウォータータンクが付いており、定期的にミストを発生させます。噴霧間隔と噴霧時間もコントロールが可能で、別売パーツでノズルを最大6本まで拡張できるんです。

温度

多くの種類の至適環境温度域(POTZ)は、昼は25~30℃で、夜は20~24℃とやや低温にします。冬に寒くなる場合は、パネルヒーターなどをケージの下に敷いて調節して下さい。イエアメガエルやアカメアマガエルは冬眠する種類ではないので、冬の寒い時期にも温度管理をしないといけません。

イエアメガエル飼育

照明

基本的に照明は不要ですが、日内リズムをつける目的として昼間は明るく、夜間は暗くし下さい。ケージ内に植物を入れた場合、その成長のために光は不可欠となるし、観察の目的からも何らかの観賞魚用の蛍光灯を利用してもよいです。

カエルは基本的には動くものしか食べません。基本的にカエルの大きさに合わせた(カエルの体長の半分以下の餌))ワームやコオロギなどの昆虫、ピンクマウスなどを与えます。視覚に頼って餌を探すため、ピンセットで餌をつまんで鼻先で揺すってやれば、死んでいても生き餌でも、またカエル用の配合飼料でも食べます。つまり、基本的に動くものには飛びついてくる習性があるので、動きを認識できれば、餌に飛びついてきます。この時に指を目の前にかざす指をかまれるので注意して下さい。エサを揺する動きはごくわずかでもよく、あまりオーバーに目の前で動かすと、かえって怯えてしまいます。特にアマガエルなどではハエやガの仲間のように飛翔するものを好む傾向があります。ショウジョウバエは両生・爬虫類専門のペットショップで飼育セットを入手することができます。

イエアメガエル飼育

カエル用人工飼料は水で練って、カエルの大きさに合わせたダンコ状にして与えます。

パックマンフード

お薦め配合飼料はコレ!

スドー フロッグステープルフード 150g

練って与える配合フード!カエルの栄養不足を予防するなら。

スドー バンブーピンセット

竹製ピンセット!カエルに噛まれても歯や顎を痛めにくい。

ケア

ハンドリング

カエルをはじめとする両生類は毒液や粘液を皮膚から分泌します。毒液は人体にどれだけ影響するかは不明で、あまり触り過ぎないようにして下さい。掃除等のためにカエルを触った後は必ず手を洗いましょう。

掃除と水管理

常に水に接していなければならない両生類は、飼育の際に乾燥しないように水を足したり、汚れたら掃除をしなければなりません。カエルを始めとする両生類の皮膚は爬虫類と異なり、水分を吸収します。糞や尿(アンモニア)、生き餌の食べ残しなどの有害成分が、自らの皮膚を介して吸収し、病気になります。これを自家 (アンモニア) 中毒と呼ばれ、多くが死んでしまいます。水容器の水は汚れていないように見えても、最低でも2日に1回は水交換をしましょう。基本的に最低でも1週間に1回は水槽やケース全体を綺麗に掃除して下さい。床に排泄物が落ちますが、植物の鉢の土に落ちると汚れが目立ちませんので、土の部分の確認もしっかりとして下さい。基本的に最低でも1週間に1回は水槽やケース全体を綺麗に掃除して下さい。

両生類は人獣共通感染症(ズーノーシス)であるエロモナス菌やサルモネラ菌を保菌していることも多いです。掃除の後にケージも殺菌するために日光浴や消毒をするように心がけましょう。

サルモネラの詳細な解説はコチラ!

とりあえずの消毒にはコレ!

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細菌・真菌はもちろん・・・ウイルスも!次亜塩素酸ナトリウムよりも安全、手のひらにスプレーし、爪の先から指の間、手の裏表全体から手首までまんべんなくすりこむ。衣服やケージの菌の繁殖が気になる所に。

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両生類の特徴の詳細な解説はコチラ!

もっと勉強するならコレ!

カラーアトラス エキゾチックアニマル(爬虫類・両生類編)

両生類好きなら持っていないといけない本!

この記事を書いた人

霍野 晋吉

霍野 晋吉

犬猫以外のペットドクター

1968年 茨城県生まれ、東京都在住、ふたご座、B型

犬猫以外のペットであるウサギやカメなどの専門獣医師。開業獣医師以外にも、獣医大学や動物看護士専門学校での非常勤講師、セミナーや講演、企業顧問、雑誌や書籍での執筆なども行っている。エキゾチックアニマルと呼ばれるペットの医学情報を発信し、これらの動物の福祉向上を願っている。

「ペットは犬や猫だけでなく、全ての動物がきちんとした診察を受けられるために、獣医学教育と動物病院の体制作りが必要である。人と動物が共生ができる幸せな社会を作りたい・・・」との信念で、日々奔走中。