なんだその顔
大型で長寿なアマガエルで、頭の皮膚も垂れ下がり、特徴的な顔をしているカエルです。日本に輸入されるイエアメガエルはニューギニアからのWC(野生)個体が流通しています。
分類
両生類アマガエル科Litoria属
学名: Litoria caerulea
英名: Green tree frog,White’s tree frog,Dumpy frog
別名: ホワイトアマガエル
※英名及び別名は命名者のジョン・ホワイト(John White)氏からきています。
分布
オーストラリア北東部からニューギニア南部(オーストラリアとニューギニアの固有種)
生態
環境
- 雨季と乾季のある草原や森林等に生息し、半樹上性ですが地表でも生活します。基本的に湿度が高い場所を好みますが、乾燥した場所にも適応できます。
- トイレや水タンク、ベランダなどの民家で発見され、水分を探しながら人々の家に入ってきます〔Badger 1995〕。人家近くでも見かけることがイエアメガエルという和名の由来になっています。
- 夜行性で、主に夜に活動します。昼は木の穴や岩の割れ目など、涼しく暗く湿った所で休んでいます。ほぼ毎日降る雨を利用して、葉や割れ目に集まり、体を湿らせています。
- 乾季がある地域では、穴を掘って乾燥を避け、皮膚と粘液で作られた繭に自分自身を包み込むような行動も見られます。
食性
動物食で、昆虫類や節足動物、ミミズ、小型の両生類や爬虫類を食べています。時に小型のネズミも食べることもあるそうです。
寿命
一般的に15~20年ですが、ペットでは20年以上の記録もあります〔Fact Sheet 2015〕。
身体
体長:7~11.5cm〔Badger 1995〕
性質
性格は大人しく、人に対しても動じません。よく鳴くカエルで、一般的な「ゲェ、ゲェ、ゲェ」というような求愛音以外にも、縄張りを守るための警戒音、脅されると、耳を突き刺すような鳴き声の危険音も発します〔Duellman et al.1986〕。
捕獲してかなり離れた距離に移動されても元の場所に戻ることができるホーミング能力(帰巣性)を持っています〔Tyler et al.2015〕。
特徴
ずんぐり
体形は太く、成熟するどっしりとした感じになり、目の上から体側にかけての皮膚が垂れ下がり、鼓膜を覆うこともあります。独特な外貌になります。肥満になるまで貪欲にエサを食べるので、英名のDumpy frog(ずんぐりガエル)の由来となっています。
皮膚からワックス
皮膚からはワックス状の分泌物でコーティングされ、水分の蒸発を防いでいます。そのため、イエアメガエルは他のカエルと比べて乾燥した環境にも適応できます。
四肢
四肢は大きく、指には黄褐色の目立つ吸盤が見られます。
体色
基調色は淡い緑色で、薄緑色から褐色まで変色さることができ、背中には白い斑点が入ることもあります。
腹側は白色を帯びています。
水平スリットの瞳孔
目の虹彩は、金色で横長のスリット状の瞳孔をしています。
品種
ペットではいくつかのカラーバリエーションが作成されていいます。
ブルー
体全体が淡い緑色をしています。
ブルーアイ
虹彩が青色をしているためブルーアイと呼ばれています。
雌雄鑑別
オスはメスと比べると体がやや細長いです。オスの喉下が灰色を帯びてわずかな鳴嚢を持ち、メスは白色をしています〔Mattison 1987〕。
繁殖
性成熟は約2年で繁殖が可能になります。繁殖期は現地では夏にあたる11月~2月の雨季に見られます(北半球では3~7月)〔Badger 1995〕。オスは木の枝に登って大きな声で鳴いてメスを呼び、抱接(ほうせつ)を行います。産卵数は200~2000個の卵塊が排泄され、卵は孵化するのに約1〜3日かかり〔Badger 1995〕、2〜3週間で変態が起こります。
参考文献
- Badger D.Frogs.Voyageur Press Inc.Stillwater.MN.1995
- Duellman W,Trueb L.Biology of Amphibians.McGraw-Hill Publishing Company.Baltimore,Maryland.1986
- Tyler MJ,Davies M.Family Hylidae. Fauna of Australia. Department of the Environment,Water,Heritage and the Arts. Retrieved4.2015
- Mattison C.Frogs and Toads of the World.Facts on File Inc. New York.1987