アカメアマガエルってどんなカエル(知らないといけない生態と特徴)

森の妖精

名前の通りに目が赤いアマガエルで、学名のcallidryasは「美しい木の妖精」の意味で、とても綺麗なカエルです。特徴した外貌なため、色々なキャラクターに使われています。

アカメアマガエル

昼間に葉の裏で休んでいる時などは、緑色の体色は保護色となっています。

アカメアマガエル

天敵に襲われた際にカッと目を見開いて、一瞬でも敵を驚かせて食べるのをためらわせると言われて、さらに跳躍すると体の脇のカラフルな模様でも驚かせます。毒々しい模様をしていますが、毒は持っていません。

分類

両生類アマガエル科アカメアマガエル属
学名Agalychnis callidryas
英名:Red-eyed tree frog

亜種

メキシコとグアテマラに生息する個体群をA. c. tayloriという亜種として分類する説もある。

分布

グアテマラ、コスタリカ、ニカラグア、パナマ、ベリーズ、ホンジュラス、メキシコ南部

生態

環境

熱帯雨林や湿気の多い低地の川や池の近くの地域で、昼間は24~29°C、夜間は19~25°で80%以上の高湿度の環境であるが、現地では乾季もある〔Boman 2015〕。

生態

夜行性で昼間は葉に止まって休んでいます。休息時には四肢をたたみこむような姿勢で体表面積を減らし、乾燥することを防いでいます。この姿勢は目や腹側、四肢の色が見えないようにして、背中の緑色のみが見えるため擬態となり、葉と区別しづらくしています。

食性

動物食で、昆虫、節足動物、小型のカエルなどを食べています。

身体

体長 3~7cm(メスは最大7.7cm、オスは5.9mm〔Savage 2002〕)

寿命

5~7年

性格

大人しく、臆病な性格をしています。

アカメアマガエル

特徴

ほっそりして長い四肢

体はほっそりとし、腰はくびれています。四肢はとても長いです。

綺麗な体色

基調色は背中は緑色で、体の脇に青色や紫色に黄白色のストライプの横縞が入り、後肢の内側は青色をしています。腹部は全面が白色です。指趾ならびに吸盤はオレンジ色あるいは黄色をしています。

アカメアマガエル

体色の変色はあまり起こりませんが、濃い緑色または赤褐色に変わることがあります。

縦長の瞳孔

瞳孔は縦長のスリット状で、虹彩が赤く、和名や英名(Red-eyed)の由来になっています。

アカメアマガエル

瞼は透明で金色の網目模様が入っているのが特徴です。

アカメアマガエルの目

雌雄鑑別

メスはオスよりも体が大きく、オスは約5cm、メスは約7.5cmに達します。

繁殖

性生後は約2年で、繁殖ができるようになります。春~夏にかけての雨季に繁殖期に入り、オスは「ゲコッ」と鳴き声を出し始めます。多くの樹上性のカエルは卵を水の中に産みますが、アカメアマガエルは、水辺の上に垂れ下がる葉に、1回に10~70個のゼラチン質に覆われた卵を産みます。捕食者から卵を隠すために葉を粘液で折り畳んで隠します。]卵が破裂した出生したオタマジャクシは水中に落ちて泳ぎ回ります〔Hickman et al.1995〕。なお、アカメアマガエルの卵は外敵が襲ってきた振動を感じると最短6秒ほどでふ化することが研究で解明されました。これは通常より早くふ化することで食べられるリスクを少しでも減らすためと言われています〔Cohen et al.2016〕。

参考文献

  • Boman Bonnie L.Agalychnis callidryas,Rana-de árbol ojos rojos.Animal Diversity Web.University of Michigan. Retrieved.2015
  • Cohen KL,Seid MA,Warkentin KM.How embryos escape from danger: the mechanism of rapid,plastic hatching in red-eyed treefrogs.J Exp Biol15.219 (Pt 12):1875-83.2016
  • Hickman P,Roberts S.Animal Diversity.Wm C.Brown Publishers,Dubuque (http://www.discovery.com/).1995
  • Savage JM.The Amphibians and Reptiles of Costa Rica:a herpetofauna between two continents, between two seas.University of Chicago Press.Chicago.Illinois.USA and London.2002

この記事を書いた人

霍野 晋吉

霍野 晋吉

犬猫以外のペットドクター

1968年 茨城県生まれ、東京都在住、ふたご座、B型

犬猫以外のペットであるウサギやカメなどの専門獣医師。開業獣医師以外にも、獣医大学や動物看護士専門学校での非常勤講師、セミナーや講演、企業顧問、雑誌や書籍での執筆なども行っている。エキゾチックアニマルと呼ばれるペットの医学情報を発信し、これらの動物の福祉向上を願っている。

「ペットは犬や猫だけでなく、全ての動物がきちんとした診察を受けられるために、獣医学教育と動物病院の体制作りが必要である。人と動物が共生ができる幸せな社会を作りたい・・・」との信念で、日々奔走中。