ホシガメってどんなカメ(知らないといけない生態と特徴)

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謎が多い

ホシガメは背甲の放射状の模様が星の様に見えることから、和名の「ホシ」、英名の「Star」の由来になっています。ホシガメにはインドホシガメとビルマホシガメがいますが、ペットではインドホシガメの流通量が圧倒的に多いです。

インドホシガメとビルマホシガメの鑑別について!

単にホシガメとも呼ばれるのはインドホシガメです。インドホシガメは過去に密輸によって大量に流通し、不当に安価に流通していた歴史がありました。幼体はピンポン玉のように丸くて可愛く、また特別に大きくならないことから、ビギナーが衝動買いをし、劣悪な状態で輸送されたためか、状態が悪く早死にさせるケースが多かったです。

ホシガメ幼体

ビルマホシガメは乱獲のため生息数が少なくなり、2013年からワシントン条約附属書(サイテス)Ⅰに掲載され、商業的取引が禁止されました。インドホシガメも2019年11月からサイテスⅠになり、現在は飼育するためには、マイクロチップを入れて届けが必要になりました。

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知っておいて!カメという生物について!

インドホシガメ

分類・生態

分類

カメ目リクガメ科リクガメ属
学名Geochelone elegans
英名:Indian starred tortoise
別名:ホシガメ

分布

インド南東部、スリランカ、インド西部とパキスタン南東部

インドホシガメの分布地図

生態

環境
・乾季と雨季のあるサバンナや森林、あるいは砂漠の周囲や熱帯雨林の湿地帯など幅広いです。
・熱帯雨林以外では基本的に雨季と乾季があり、雨量の季節的較差が大きい地域(モンスーンによる降雨のピークが地域によって異なります)〔安川2001,安川2011〕。したがって、飼育する上でも、乾燥させた方がよいのか?湿度をあげた方がよいのか?論争されています。

行動
・昼行性で、乾季などは朝方や夕方にのみ行動します。
食性
・基本は草食性で、主に草、木の葉、多肉植物、花などを食べています。
・幼体は動物食の傾向もあり、巻貝、ミミズ、ナメクジなどの軟体動物も食べている報告があります〔安川2001,安川2011〕。
寿命:40~50年

カメの寿命の詳細な解説はコチラ!

身体

甲長:15~30cm(最大38cm)

性格

性格は温和なカメで、かみつくことはまれです。やや神経質なところがあり、警戒するとすぐに引っ込んでしまいます。

ホシガメ

特徴

カメの特徴と甲羅の詳細な解説はコチラ!

放射模様

背甲は黒色~暗褐色で、甲板に灰褐色や黄褐色の放射状の模様が入り、星のように見えます。星形の模様をつくる放射状の細い線は6~12本です(基本は6本ですが、成長とともに増える個体もいます)〔安川2001,安川2011〕。

インドホシガメ背甲

学名のelegansは優雅なという意味で、星型の模様に由来します。この模様は、落ち葉などの間や、森林の木漏れ日のあたる場所では保護色となります〔安川2001,安川2011〕。幼体の時には放射状の模様は明確でなく、線も少ないです。

幼体のホシガメ

腹甲にも、成長とともに背甲と同じような星型の模様が入ることがビルマホシガメとの鑑別点です。

インドホシガメの腹甲

背甲はドーム状に盛り上がり、上から見るとやや細長いです。

インドホシガメ

成長するにつれて凹凸する個体もいます。この凸凹は代謝性骨疾患なのか、生理的範囲の形状なのか判断が難しいです。

保護色

頭や首、四肢、尾の色は黄褐色で、不規則に細かい黒色の小さいまだら模様が入ります〔安川2011〕。これは野生での保護色になると言われています。

インドホシガメ

ビルマホシガメ

野生ならびにペットの流通個体も多くないため、生態などの詳細が不明な点が多いです。

分類・特徴

分類

分類:カメ目リクガメ科リクガメ属
学名Geochelone platynota
英名:Burmese starred tortoise

分布

ミャンマー中央部
ビルマホシガメ分布地図

生態

環境
・熱帯モンスーン(弱い乾季のある熱帯雨林:4~10月が雨季/12~3月が乾季)の森林やその周辺〔安川2001,安川2011〕
行動
・薄明薄暮に活動しますが、乾季にはあまり活動しません。
食性
・草食に近い雑食と考えられ、主に植物の葉やキノコなどで、昆虫やミミズなどの軟体動物も食べることもあります〔安川 2001,安川2011〕。
寿命:40~50年

身体

甲長:最大甲長26㎝

性格

性格は神経質で、大人しいです。

特徴

カメの特徴と甲羅の詳細な解説はコチラ!

放射模様

背甲にはインドホシガメと動揺に星型の模様が入りますが、ビルマホシガメの斑紋の数は6本以下であること、腹甲には斑紋を欠き暗褐色の模様が見られることで鑑別します〔安川 2001,安川2011〕。

ビルマホシガメ

細長い甲羅

背甲はドーム状に盛り上がり、インドホシガメよりも細長いです。

ビルマホシガメ

ポイントはコレ!

・甲羅に星のような放射模様
・インドホシガメとビルマホシガメがいる
・ビルマは放射模様が少ない
・どちらもワシントン条約サイテスⅠ掲載種
・マイクロチップを入れて許可を得なければ飼育ができない
・雨季と乾季のある地域に生息
・ビルマホシガメの方が神経質
・インドホシガメは昼行性、ビルマは薄命薄暮草食性
・草食性だが、ビルマはやや雑食

参考文献

  • 安川雄一郎.ホシガメの分類と生活史,およびその現状.クリーパー7.クリーパー社.東京:p4-17.2001
  • 安川雄一郎.旧リクガメ属の分類と自然史1.クリーパー59.クリーパー社.東京:p51-59.2011

この記事を書いた人

霍野 晋吉

霍野 晋吉

犬猫以外のペットドクター

1968年 茨城県生まれ、東京都在住、ふたご座、B型

犬猫以外のペットであるウサギやカメなどの専門獣医師。開業獣医師以外にも、獣医大学や動物看護士専門学校での非常勤講師、セミナーや講演、企業顧問、雑誌や書籍での執筆なども行っている。エキゾチックアニマルと呼ばれるペットの医学情報を発信し、これらの動物の福祉向上を願っている。

「ペットは犬や猫だけでなく、全ての動物がきちんとした診察を受けられるために、獣医学教育と動物病院の体制作りが必要である。人と動物が共生ができる幸せな社会を作りたい・・・」との信念で、日々奔走中。