カエルの鳴き声

ケロケロ

カエルは良く鳴くことで有名です。水田が多い地方などでは、夜に多数のカエルが一斉に鳴き出し、「蛙の大合唱」と言われています。鳴き声は気管の一部である声帯(鳴門)と呼ばれる器官を使って発生し、鳴嚢を膨らませることによって共鳴させています。鳴嚢はのどの前にある種類と、両側の頬にある種類とがあります。鳴き声は以下の種類が知られています。無尾目は主に繁殖期になると鳴き声をあげることで、相手にメッセージを伝えます。鳴き声は個々の種類によって異なり、大きさやリズム、音程などが異なり、オスが特に鳴き声を上げることが多く、メスに対してのアピールに用いられます。ほとんどの種が夜行性で、繁殖の際に視覚が効きづらい暗闇でメスがオスを見つける必要があるため、カエルは音を活用しています。そのため、聴覚もで発達しており、目の後方に大きな鼓膜を持っています〔工藤 2004〕。

種類鳴き声
ニホンヒキガエル若干高音で「ククッ・・・クッククックッ」「グッグッグッグ」「ギューギュー」
ニホンアマガエル「クワックワックワッ」「ゲッゲッゲッゲッ」「クワックワックワッ」
シュレーゲルアオガエル「コロロロロッ」と低音の長い声
トノサマガエル「ギゲゲゲゲゲ・・・ゲゲゲゲゲ」「ググググッ」
ヤマアカガエル鶏の鳴き声のような「ケケケーコココー」
ダゴガエル「グゥッグゥッ」
ツチガエル「ギューギュー」
ウシガエル「ブォーンブボォーンブォーン」名前の通り牛の様な鳴き声
カジカガエル「フィーフィフィフィフィフィ・・・ピピピピピピ」と名前の「河鹿蛙」オスの鹿に似ている鳴き声
表:カエルの鳴声

特別な鳴き声

繁殖にかかわる鳴き声として、求愛音〔Mating call〕(オスがメスを呼び求愛し、産卵を施す際に発する)、縄張り音〔Territorial call〕(繁殖期に他のオスに自分の存在を誇示して縄張りを宣言する)、解除音〔Release call〕(他のオスにメスと間違われて抱接されたオスが、間違った抱接を解除させるための鳴き声)があります。求愛音と縄張り音は類似し合わせて広告音〔Advertisement call〕とも呼ばれています。その他の鳴き声では、雨鳴き〔Rain call, Shower call〕(低気圧が近づいたり、降雨時に発する鳴き声で、アマガエルが有名です)、警戒音〔Warning call〕(敵が近づいたときに一鳴きして逃げる時の声あるいは敵を見つけたときに短く大きな声をあげて仲間に注意を促す)、危険音〔Distress call〕(敵に体をつかまれた時や追い詰められたときに大きな声をあげて相手を威嚇してひるませる)などがあります。

参考文献

  • 工藤基.解説:様々な動物の聴覚.日本音響学会誌60(10):p620−625.2004

この記事を書いた人

霍野 晋吉

霍野 晋吉

犬猫以外のペットドクター

1968年 茨城県生まれ、東京都在住、ふたご座、B型

犬猫以外のペットであるウサギやカメなどの専門獣医師。開業獣医師以外にも、獣医大学や動物看護士専門学校での非常勤講師、セミナーや講演、企業顧問、雑誌や書籍での執筆なども行っている。エキゾチックアニマルと呼ばれるペットの医学情報を発信し、これらの動物の福祉向上を願っている。

「ペットは犬や猫だけでなく、全ての動物がきちんとした診察を受けられるために、獣医学教育と動物病院の体制作りが必要である。人と動物が共生ができる幸せな社会を作りたい・・・」との信念で、日々奔走中。