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ビギナー向けのカメ
ヘルマンリクガメの名前の由来はドイツの人の名前に多いヘルマンさんから名付けられました。しかし、現地では農作物を荒らす害獣として扱われ、駆除や乱獲、そして生息地の破壊などにより個体数が減少しています。現在多くの生息地で保護活動が行われており、採集や国外への輸出も制限されています。ヘルマンリクガメは外貌がギリシャリクガメと似ていますが、黄褐色と黒褐色の模様がはっきりとしています。
日本の気候によく似た地域に生息してるため、他のカメと比べて気をつかわなくて大丈夫な種類です。性格も温和で、人にもよく馴れるかわいいカメです。
分類・生態
分類
カメ目リクガメ科ヘルマンリクガメ属
学名:Eurotestudo hermanni
英名:Hermann’s tortoise
分布
ヨーロッパ南東部、地中海諸島
生態
環境:森林や低木のある草原などの比較的乾燥した地域
行動
・昼行性で、昼間に活動し、夜は窪みのある穴で過ごします。
・四季のある地域にいるため、冬眠して越冬しますが、南部に分布する個体は冬眠しないこともあります〔安川 2000,安川2002〕。
食性:草食性で、主に植物や低木の葉を食べています。
寿命:40~50年
身体
甲長:15~20cm
亜種
古くからニシヘルマンリクガメ、ヒガシヘルマンリクガメの2亜種が知られていましたが、現在ヒガシヘルマンリクガメからダルマティアヘルマンリクガメが分離され3亜種になりました〔安川2011〕。ペットではヒガシヘルマンリクガメが多く流通していますが、亜種間の交雑種も多いことから、純粋な亜種が減ってきています〔安川2008,安川2011〕。ヒガシヘルマンリクガメとニシヘルマンリクガメには鼠蹊甲板がありますが、ダルマティアヘルマンリクガメにはありません〔安川2008,安川2011〕。
ダルマティアヘルマンリクガメはヘルツェゴビエンシスヘルマンリクガメとも呼ばれ、ヘルマンリクガメの中でも最も小さいです。Dr.ツルもまだみたことがないです。
ニシヘルマンリクガメ(E.h.hermanni)
ヘルマンリクガメの基亜種で、ヒガシヘルマンリクガメと比べて一回り小さいです。甲羅の黄褐色と黒褐色の模様のコントラストが明瞭で、背甲の黒色の領域が多いため、全体的に黒く見えます〔安川 2000,安川2002〕。
腹甲の暗色の模様が繋がって、太い帯状になっています〔安川 2000,安川 2002〕。
顔に明色の黄色の斑紋が入る個体が多いです。イタリア北西部、フランス南部、スペイン領のバレアレス諸島の比較的乾燥地帯に生息し、温暖な地域にいる個体群は冬眠をしません〔安川2000,安川2002〕。
ヒガシヘルマンリクガメ(E.h.boettgeri)
ヘルマンリクガメの中で最大種です。旧ユーゴスラビア、ブルガリア、アルバニア、ギリシャおよびトルコ西部に生息し、比較的降水のある地域であるため、湿気に対しては強いです。基本的に冬眠します〔安川2000, 安川2002〕。ニシヘルマンリクガメと比べて、甲羅の模様のコントラスが不明瞭です。
腹甲の暗色の模様は甲板ごとに分かれ、繋がらないか、あるいは一部でのみ繋がっています〔安川2000, 安川2002〕。
性格
性格は温和なカメで、かみつくことはまれです。
特徴
甲羅の模様
背甲は黄褐色で黒褐色の模様が入り、ギリシャリクガメの甲羅の模様と比べるとより明確で、光沢があります。腹甲にも黒褐色の模様が入っています。
2枚の臀甲板
ヘルマンリクガメとギリシャリクガメとの違いは臀甲板の数です。ヘルマンリクガメの臀甲板は2枚、ギリシャリクガメの臀甲板は1枚しかありません。
ギリシャリクガメにある後肢と尾の間に突起状の鱗が、ヘルマンリクガメにはありません〔安川 2000,安川 2002〕。
ヘルマンのポイント!
・地中海沿岸にいるリクガメ
・ギリシャリクガメと似た甲羅の模様
・性格は温和
・亜種の交雑種が多い
・昼行性
・草食性
・臀甲板は2枚
参考文献
- 安川雄一郎.チチュウカイリクガメ属の分類.クリーパー.創刊号.クリーパー社.東京: p4-19.2000
- 安川雄一郎.チチュウカイリクガメの分類.クリーパー13.クリーパー社.東京:p4-23.2002
- 安川雄一郎.旧リクガメ属の分類と自然史1.クリーパー59.クリーパー社.東京:p51-59.2011