イシガメ・クサガメ・アカミミガメの飼育

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飼育は手間との戦い

イシガメ、クサガメ、アカミミガメは昔から飼われている水ガメで、根強い人気があります。きちんと飼えば大きな病気にもならずに、40年以上生きていてもおかしくないです。

水ガメの飼育

爬虫類の病気と飼育の関連性(まずは読んで)!

水場と陸場の環境、温度管理、赤外線を出すバスキングライト(赤外線ライト)紫外線ライト、餌、水替えが飼育のポイントになります。

水ガメの飼育

いわゆるカメの甲羅干しは、昼に水場から陸場へ上がって、太陽に甲羅を向けて光を浴びています。これは太陽光を浴びて体温を上げて、骨や甲羅を強くする紫外線を吸収しています。

アカミミガメ

環境

基本的にケージ内に水場と陸場を設けます。

ケージは水槽やタライ、衣装ケース、コンテナなどの容器を使用し、カメの背甲が隠れるくらいの水を張り、一部だけに陸場を設けます。

水ガメの飼育

水ガメの水槽の水量の解説はコチラ!

水場の水はカルキ抜きした水も薦められていますが、それほど気にしなくても大丈夫です。病気のカメでは、カルキ抜きした水やエアーポンプで酸素を提供した方がよいかもしれません。

水の濾過フィルターはカメと水槽が小さい時にしか役にたちません。カメの脱皮した皮や甲羅、糞や食べカスはフィルターにつまりやすいため、定期的に全部の水交換した方が断然衛生的になりますので、濾過フィルターは水換えの頻度を減らすものと考えておいて下さい。

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陸場はレンガなどを置いてもよいですが、専用の陸場も浮島式や設置式のタイプの商品が多数販売されています。

ジェックス タートルバンク

S:幅16.6×奥行12.4×高さ3.3cm
M:幅29.8×奥行17.8×高さ5.4cm

浮き島式の陸場!浮き型なので、生体が水中を広く泳げ、浮き島の下が隠れ家にもなります。Sは適合水槽:幅30~45cmまで、Mは適合水槽:幅45~60cmまでになります。

ジェックス カメ元気 カメの島 

S:幅11.5×奥行13×高さ6cm
M:幅17×奥行16×高さ9cm

設置式の陸場!大きく育ったカメに最適なレジン製のカメ島。島の中は隠れ家にもなります。

カメは緩慢なイメージがありますが、実際は活動的で、広いスペースで飼育することが理想です。具体的な飼育スペースの大きさの決まりはなく、幼体では小さい容器でも飼育できますが、成長が早いために体の大きさにあった大きい水槽を用意しなければなりません。

水ガメの水槽の選び方とお薦め商品はコチラ!

大きく成長すれば、ベランダや庭にカメを放し、その中で自由に入れる水容器(水場)を設置して飼えます。ベランダや庭では自由に甲羅干しをできますが、必ず日陰を設けないと熱中症の恐れがあり、そして、ベランダからの落下や庭からの脱走対策をして下さい。

水場は運動不足を防ぐために、カメが十分に遊泳できるスペースが理想です。しかし、水槽が大きくなると水換えが大変になります。

水ガメの水槽の水量の詳しい解説はコチラ!

水場に床石を敷きたがる方も多いですが、餌の食べカスや糞がたまって不衛生になり、掃除も面倒になるため、基本的にはおお薦めしません。

アカミミガメ

照明・温度

屋内飼育では骨や甲羅を丈夫にするための紫外線ライト、熱を出して体温をあげるバスキングライトを設置します。

水ガメの飼育

ケージ内にバスキングライトを陸場に照射するように設置してホットスポットを作ります。ライトをケージの上や端に設置して陸場に照射するようにします。局所的に陸場に高温の部分をつくり、カメの体温を上げる(甲羅干し)ためのホットスポットになりますし。カメは自ら陸場に上がって甲羅干しをし、体温が十分に上がると、水場に戻ります。このような温度勾配を作ることが必要なので、適切なケージの大きさは一概に言えないのです。一般的に水ガメの至適環境温度域域は25~35℃(ホットスポットは30~35 ℃、水場は約25 ℃)です。夏の水温は至適環境温度域を確保できることが容易ですが、冬や夜は水中ヒーターなどが必要になるかもしれません〔安川 2007c〕。夜はバスキングライトは消して下さい。

爬虫類用のバスキングライトの選び方とお薦め商品はコチラ!

紫外線ライトトは全体が照射されるようにケージの上に設置します。昼の間はずっと点灯しておき、夜は消して下さい。紫外線ライトは熱がほとんど出ていないので、熱源にはなりません。紫外線不足による代謝性骨疾患(MBD)に注意しなければなりません。

爬虫類用の紫外線ライトの選び方とお勧め商品はコチラ!

冬眠について

クサガメ、イシガメ、ミシシッピアカミミガメは通常11月頃から冬眠に入りますが、飼育下で冬眠させるかは、飼育者の考え、ならびにカメの状態にもよります。冬眠させない場合は、屋内にてきちんと温度設定をして飼育します。しかし保温して飼育していても、冬になると食欲が落ちるカメが多いです。病気との鑑別は動物病院で診察しないと分かりません。冬眠さるかの最終的な判断は飼い主の選択になりますが、冬眠させた方が長生きするという考えもあります。しかし、幼体、体重が軽いカメ、病気のカメなどは冬眠から目が覚めないで死んでしまうことがあります。

爬虫類の冬眠の詳細な解説はコチラ!

紫外線も赤外線も照射できるメタルハライドランプを使用すると便利です。メタルハライドランプを使用する場合は陸場を中心に当てて下さい。

ポイントはコレ(飼育環境)!

・水ガメは水中で生活するが、水場と陸場を設ける
・水中だけでは十分な運動量がかせげない?
・水槽に床石は敷かないほうが楽
・太陽光による甲羅干しをさせる
・甲羅干しができない時はバスキングライトと紫外線ライトを使う
・温度勾配をつけるのが難しい
・冬眠は健康体のみさる

メニュー

餌は水ガメ用のペレットを主食として与え、その他の食材はバラエティーをつけるための動物性タンパク質の餌や野菜、水草などは副食程度にします。

ペレットは水の中で浮く浮上タイプを使用するとカメは食べやすく、水も汚れにくいです。

水ガメのペレットの選び方とお薦め商品はコチラ!

動物性タンパク質として、煮干しコオロギなどの昆虫ミルワームミミズなどを与えます。食べるようであればコマツナやチンゲンサイのような野菜や水草を少し与えても良いですが、食べカスで水が汚れますので、カスを網ですくったり、水替えの頻度が増えます。

回数と量

給餌間隔は、幼体は毎日、成体は週に1~3回程度と言われていますが、学術的には明確になっていません。与え過ぎると肥満になり、少ないと削痩します。給餌量はカメが5分以内で食べきるぐらい量を、とりあえず1回分として与えますが、これを2~3回追加します。しかし、1回の給餌量を少なくしないと、肥満になりやすいので注意しないといけません。1回に大量に給餌すると水の中で餌がふやけてしまい、食べなくなるのと、水が汚れ、皮膚病の原因になります。食べ残しの餌はもったいないし、水も汚れる原因になるなんて、かなり無駄になります。

給餌時間

給餌時間は、基本的にライトあるいは太陽光を浴びて、体温が上がり胃腸が動き出す午前中が理想です。カメは餌が足りないと水槽から顔を出してねだり、騒ぎだします。カメの目の前で餌をチラつかせて騒いだら、空腹の状態です。しかし、外気温が下がる冬になると採食量は減少します。

爬虫類飼育者は必ず読むこと!

爬虫類.カメ・ヘビ・トカゲ・ワニ.長く健康に生きる餌やりのガイド

目からウロコ・・・この本もヤバすぎ!

掃除

水換え

水ガメは水中で採食し、排泄もするために、水が汚れやすくなります。特に給餌や排泄後は、すぐに汚れるので、神経質な飼い主だと1日に何回も水換えをしているはずです。水ガメの水換えの回数は、決まった回数はありませんが、基本は水が汚れたらすぐに変えるようにするべきです。汚れた水では、皮膚病シェルロットになる原因につながります。夏は採食量も多く、必然的に排泄量も多いので、水槽の大きさにもよりますが、1日に2~3回の水換えが必要になるかもしれません。使用する水は、ショップでは水のカルキ抜き剤が販売されていますが、基本的にカルキ抜きをしなくても問題ありません。しかし、幼体や病気のカメの場合は体力がないので、カルキを抜いてあげたほうが良い場合もあります。

夏は毎日頻繁に水換えをしないと、水槽に苔がはえて、臭ってきます。水量に見合った濾過器を使用することで、多少水替えの頻度を少なくできますが、多くの濾過フィルターは魚の排泄物を生物学的に分解するもので、カメの排泄物を分解するには限界があります。あくまでも水換えの間隔が少し長くなる程度と思って下さい。下記のような水ガメの水を除菌・脱臭するような商品も販売されています。

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マルカン タートルクリーン 200mL

カメの除菌・脱臭に!細菌や臭い原因になる物質を抑制し手、衛生的な状態を保ちます。

ジェックス カメ元気 水槽のニオイ・雑菌をおさえる水 300cc

カメの脱臭にカルシウムとカルキ抜きも!麦飯石とゼオライトでしっかり脱臭、カルキの除去もできて、カメの健康維持にカルシウムも加えました。

掃除

カメを触った後はよく手を洗い、そして、ケージなどの掃除も衛生的にして下さい。水ガメはサルモネラ菌を保菌している確率が高いです。爬虫類に常在しているサルモネラ菌は爬虫類には無症状のことが多く、人に感染すると嘔吐や下痢などの消化器症状が起こり(サルモネラ中毒)、人獣共通感染症(ズーノーシス)として有名です。掃除の後にケージも殺菌するために日光浴や消毒をするように心がけましょう。

爬虫類のサルモネラの詳細な解説はコチラ!

とりあえずの消毒にはコレ!

ドバック+ オールマイティ

200mL
500mL

細菌・真菌はもちろん・・・ウイルスも!次亜塩素酸ナトリウムよりも安全、手のひらにスプレーし、爪の先から指の間、手の裏表全体から手首までまんべんなくすりこむ。衣服やケージの菌の繁殖が気になる所に。

マイクロシン®ソリューション 500mL

ケージの消毒にはコレ!マイクロシンクリーナーは最先端特許技術によりウイルス、細菌、真菌(カビ)を瞬時に阻害し、清潔な状態にしてくれます。動物が口にしても何も影響しない成分です。おまけにトカゲの糞・尿の嫌な臭いまで除去します。 医療機関や動物病院の病室やICU、手術室などで使用されている優れ物です!

ポイントはコレ(餌・水換え)!

・水ガメは浮上性のペレットを主食
・昆虫や野菜は副食程度
・野菜を与えると水が汚れる
・夏場は水の交換は毎日
・掃除は水洗いだけでなく消毒もする

参考文献

  • 安川雄一郎.イシガメ属、イシガメ属とその近縁属の分類と自然史(前編).クリーパー39.クリーパー社.東京:p18-44.2007a
  • 安川雄一郎.イシガメ属、イシガメ属その近縁種の分類と自然史(後編).クリーパー40.クリーパー社.東京:p30-67.2007b
  • 安川雄一郎.アカミミガメ属(スライダーガメ属)の分類と自然史1.クリーパー36.クリーパー社.東京:p18-57.2007c

この記事を書いた人

霍野 晋吉

霍野 晋吉

犬猫以外のペットドクター

1968年 茨城県生まれ、東京都在住、ふたご座、B型

犬猫以外のペットであるウサギやカメなどの専門獣医師。開業獣医師以外にも、獣医大学や動物看護士専門学校での非常勤講師、セミナーや講演、企業顧問、雑誌や書籍での執筆なども行っている。エキゾチックアニマルと呼ばれるペットの医学情報を発信し、これらの動物の福祉向上を願っている。

「ペットは犬や猫だけでなく、全ての動物がきちんとした診察を受けられるために、獣医学教育と動物病院の体制作りが必要である。人と動物が共生ができる幸せな社会を作りたい・・・」との信念で、日々奔走中。