【病気】ウサギの足底皮膚炎(足裏がはげています)

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ソアホック

足底皮膚炎はウサギにとって一般的な皮膚炎で、足底潰瘍とも呼ばれます。足裏でも踵(飛節)に発生しやすく、糜爛にまで進展するため、昔は飛節びらんとも呼ばれていました。炎症が重篤なると疼痛も見られ、英語ではソアホック(Sore hock:痛い足)と言います。ウサギは多くの他の哺乳類と異なり、足首関節から下を床に着けて全体重を支えています。野生のウサギは地面で生活をし、自然の中で随時行動することで、足裏にかかる圧力は随時変化します。しかし、ペットのウサギは、日頃からケージの平坦で硬い床の上で過ごしていますので、加齢とともに足裏や踵の被毛が薄くなり、皮膚が硬くなってきます。

原因

ウサギの足裏には肉球がありません。そのため、皮膚に直接的に地面や床が接触し、床との軽度の摩擦でも毛が擦れて、薄くなったり、抜けやすくなります。ウサギの皮膚は弱いので炎症が起こりやすい状態になります。

ウサギ足


原因は以下のように多くの要因が考えられますが、大抵は複数の原因が絡んで発生します。

  • 硬い床
  • 水や尿などの湿気
  • 肥満
  • 運動不足
  • 足裏の被毛が薄い
  • スタンピング
  • 加齢
  • 長い爪

硬い床

ケージの床の素材が硬いと必然的に足裏との摩擦および刺激が強くなります。例えば、金網や平坦な木製の床板(フローリング)が代表的です。床が平らだと、移動する際に足裏の同じ場所がいつもあたります。

ウサギフローリング

水や尿などの湿気

水がこぼれたり、尿で床材が湿っていてると不衛生になり、皮膚が浸軟しやすくなり、炎症を起こす原因になります。

肥満・運動不足

肥満になると足裏に負担がかかります。運動しないと、いつも同じ姿勢でいるため、足裏の同じ個所に負担がかかります。足裏の皮膚は床面の圧迫を受け、血行の循環不全を招き、皮膚が薄くなり、皮膚が壊死していきます(虚血性壊死)。

ウサギ

足裏の被毛が薄い

生まれつき足裏の被毛が薄いウサギがいます(上毛と下毛が同じ長さで細い毛質のレッキスやミニレッキスが好発種と言われていますが、被毛が密に生えているので必ずしも好発するとは言えません)。足裏の被毛がクッションの代わりを果たしているため、薄いと足底皮膚炎になりやすいには確かです。
ウサギ ウサギ

スタンピング

床をバンバンと後肢でたたくスタンピングを多く行うウサギだと、足裏に炎症を起こしやすくなります。

加齢

高齢のウサギはを運動量も低下し、同じ姿勢で足裏を床についている時間が必然的に増えます。加齢的に後肢の関節の変形ならびに関節炎が起こると、姿勢の異常が見られ、片足に負重がかかったり、踵に体重をかけて座るようになります。

ウサギ

過長爪

後肢の爪が長くなると、重心が後ろにかかって、踵とに体重がかかるような姿勢になります。

ウサギ長い爪

下のイラストを見て下さい。上のイラストは正常ですが、下のイラストのように爪が長くなり、床が硬いと必然的に体重がかかとに負荷がかかります。

症状

初期には後肢の足裏の薄毛や脱毛だけで、慢性的になると皮膚が胼胝が形成され、進行すると皮膚が赤くなり、炎症が起こります。

ウサギ足底皮膚炎

炎症が続くと痂疲ができて、潰瘍も起こります。時に痂疲が割れて出血します。

ウサギ足底皮膚炎  ウサギ足底皮膚炎

踵の先端だけが赤く腫れることもあり、このようなウサギは完全に体重を後ろにかけていると思われます。

ウサギ足底皮膚炎  ウサギ足底皮膚炎

炎症に比例して疼痛が見られ、ウサギは足をかばうような歩行をし、落ち着きがなく見えるかもしれません。じっとしている時も、片方に体重をかけたり、前肢に体重をかけることもあるため、前肢にも炎症が起こったり、異常な姿勢をとります。

ウサギ   ウサギ

慢性的な炎症では、足裏が円形に変形してきます。ここまでくると治ることはありません。

ウサギ足底皮膚炎

皮膚だけの炎症にとどまらず、皮下の軟部組織や骨・関節まで炎症が波及し、蓄膿することもあります。

ウサギ足底皮膚炎  ウサギ足底皮膚炎

自宅での対応

ウサギの飼育環境を見直して、応急処置をしてみましょう!

床敷を変える

フットレスト床板あるいは休足マットという名称で販売されている足底皮膚炎対策のプラスチック製の床板に変えて下さい。床板に沢山の孔が開いており、足裏への負重を軽減する目的で作られました。プラスチック製なので、ウサギの体重がかかると、板が軽く反るので、足裏の負担もやや軽くなります。

  • 休足マットに変える!

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やさしい丸みで足裏を予防!足裏の負担を減らし、フラットな薄い樹脂製なのでかじられにくく、手入れも簡単で衛生的。

水や尿対策

ウサギがケージの中で動いていると、水容器を蹴飛ばしてしまうのでボトルタイプに変え、床材が尿で濡れっぱなしにならないように、頻繁に交換したり、掃除をして下さい。

  • 給水器のチェック!
  • ケージを頻繁に掃除する!

柔らかい床材にする

ケージの床や散歩をしている部屋の床材はどのようなものですか?足裏に負担のかからない床材にしてあげましょう。タオルなどのクッション製の製品が理想ですが、かみ癖のあるウサギでは使えません。

  • タオルを敷く?

ダイエットや運動

体重が増加することは足に負担をかけるため、減量させて下さい。ペレットやおやつの与えすぎに注意して下さい。運動させることで、足裏に長い時間負重をかけることもなくなります。部屋の中で遊ばせる時間を増やしましょう。もちろんフローリングではなく、専用のマットを敷いて下さい。

  • ダイエット?
  • 部屋んぽで運動させて!

ウサギの減量の詳細な解説はコチラ!

スタンピングをさせない

スタンピングはストレスなどの要求不満のためにすることが多いので、なるべくストレスフリーの環境を提供してあげましょう。

  • ストレスフリー!

長い爪を切って

後肢の爪が長すぎると、かかとに負重がかかるので、爪が長すぎないかチェックして下さい。

  • 爪を切って!

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清潔で安心、抗菌剤入りの爪切り!すべりにくいラバーグリップを採用、爪の形状に合わせ、刃先をカーブさせてあるので見やすく、切りやすい。切れ味がよいステンレス刃使用しています。

包帯(バンテージ)をする

バンテージは巻いてもウサギが嫌がって外してしまうこともあります。ウサギは体に巻かれる物を嫌い、ストレスになりますので、個体によってできないウサギもいます。どうしてもバンテージをしないといけないウサギではエリザエスカラーをつけることもあります。

ウサギのエリザベスカラーはコチラ!

ウサギテーピング

足首の上まで巻かないと外れてしまいます・・・

ウサギテーピング

自分で外してしまうウサギはあきらめるか、エリザベスカラーをするしかありません。

ウサギテーピング

かかとだけの皮膚炎の方には化粧パフフットガード(お手製)などをパットにしてバンテージをするとよいでしょう。

ウサギテーピング

踵にガードをつけて巻くので膨らんでいます。

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ウサギテーピング

子犬用の靴下がサイズ的に丁度よい場合もあります・・・

マットを使う

マットは衝撃を吸収するだけでなく、トイレに失敗してもすぐに尿を吸収してくれるので、足裏が汚れることがありません。複数枚購入して毎日洗濯してあげましょう。しかし、かじり癖のあるウサギには使えません。

高反発 エアープールエクストラ 介護用ペットマット

60×44cmの大きなマット!高反発素材エアープールは反発性に優れ、足腰の弱ったペットの寝返りや起き上がりをサポートし、裏側には、滑り止め生地を使用しました。起き上がりや寝返りの時に力が入っても滑りにくく、足腰の弱ったペットでも安心です。通気性のある生地なので、ムレがなく快適です。ペットマットにワイド用ペットシーツがすっぽりと入る介護用のマットで、水分をキャッチしてくれます。

炎症を止める

足裏に炎症が起きているようであれば、薬が必要です。病院できちんと診察をしてから投薬するべきです。しかしその前に少し薬を使ってみるならばコレが良いです。なめても安心!

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外傷、細菌、真菌(カビ)による皮膚病にはコレ!目や口に入っても問題ありませんし、スプレー適量(2~3回プッシュ)を気になる部分に吹き付けるか、コットンなどに吹き付けてからご使用ください。

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これがポイント!

・足底皮膚炎はソアー・ホックとも呼ばれる
・ウサギの現代病?
・正直な所、原因は多すぎて特定できない
・足裏の保護毛がある段階では進行しない
・抱っこして足の裏をチェックして!

JCRA(ジャクラ)って?何なの?

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まとめ

足底皮膚炎はうまく付き合っていかなければなりません。一番よい対策があるのではなく、ウサギの性格や状態によって、その方法がストレスなくできるのかによります。一つ一つ試してみて下さい。

この記事を書いた人

霍野 晋吉

霍野 晋吉

犬猫以外のペットドクター

1968年 茨城県生まれ、東京都在住、ふたご座、B型

犬猫以外のペットであるウサギやカメなどの専門獣医師。開業獣医師以外にも、獣医大学や動物看護士専門学校での非常勤講師、セミナーや講演、企業顧問、雑誌や書籍での執筆なども行っている。エキゾチックアニマルと呼ばれるペットの医学情報を発信し、これらの動物の福祉向上を願っている。

「ペットは犬や猫だけでなく、全ての動物がきちんとした診察を受けられるために、獣医学教育と動物病院の体制作りが必要である。人と動物が共生ができる幸せな社会を作りたい・・・」との信念で、日々奔走中。