ウサギの胃のうっ滞・毛球症予防サプリメントの選び方とお薦め商品

予防策

ウサギの死亡原因ナンバー1の胃のうっ滞・毛球症は予防が大切で、飼い主としての日頃の対策は以下のような方法がとられています。

  • 牧草を多く与える
  • ペレットを一騎食いさせない
  • 運動をさせる
  • 水を飲ませる
  • ブラッシングをする
  • 蛋白分解酵素を与える
  • 毛球予防・除去剤を与える

ウサギの胃のうっ滞・毛球症の詳しい解説はコチラ!

牧草を多く与える・ペレットを一騎食いさせない・運動をさせる

消化管の蠕動の低下は繊維質の不足あるいは一句食いによる停滞が考えられ。運動不足は蠕動を低下することが原因になります。そのため、消化器系をサポートする工夫として、水溶性・不溶性の食物繊維を多めに含んだペレットやサプリメントを与えることも一方法ですが、主食を牧草にしているウサギではこれが何よりも一番の対応策です。水分をとらせることも、消化管内の流動性を高めます。

ブラッシングをする

ブラッシングはウサギが飲み込んでしまう被毛を減らすために非常に有効な対策になります。換毛期に入って抜け毛が増えている期間は、なるべくこまめにブラッシングを行うことが大切です。

ウサギのトリミングの詳細な解説はコチラ!

蛋白分解酵素を与える

蛋白分解酵素が毛球を作るムコ蛋白質(粘性蛋白質)を分解し、毛球をほぐして排泄させるという方法が昔からウサギのうっ滞・毛球症の治療や予防とされてきました。ウサギの栄養補助食品としてタンパク分解酵素は、パイナップルのブロメライン酵素、パパイヤのパパイン酵素が使われ、生ジュースを投与したり、乾燥フルーツを食べさせたり、酵素がサプリメントとして配合されているペレットも販売されています。酵素は毛球の被毛を溶かすのではなく、絡んでいる蛋白成分を溶かしてほぐすというイメージです。しかし、ウサギの胃の中は強酸性で、それぞれの酵素の活性は低くなると言われ、その効果に疑問視されているのが現状です。一方、果物に含まれている果糖は甘いので、ウサギは喜んで口にしますが、肥満や脂肪肝などの原因になりがちです。甘味が強くなく、酵素反応が期待できるようなサプリメントであれば投与することに問題はないと思われます。

ウーリー アクティブE

60錠
400錠
1000錠

薬っぽいけどウサギがポリポリ食べる!パイナップル酵素やアップルファイバー等を配合した錠剤タイプです。体重1~2kgのウサギなら2錠/日で、ウサギは喜んで食べてくれるので、毎日のコミニケーションに使っている飼い主が多いです。

毛球予防・除去剤を与える

猫の毛球症対策として使われるものに、ペースト状のサプリメントがあります。これらのペーストは、流動パラフィンやグリセリンと嗜好性を高める麦芽エキスなどで作られています。流動パラフィンは不純物を取り除かれており、人の化粧品や医薬品にも使用されており、鉱物油なので体内吸収されないため、基本的に体には大きな影響がありません。グリセリンは猫や人間の皮脂にも含まれる保湿成分です。これらの成分は胃内で停滞した餌や毛球を腸へと流出して、糞とともに排出する作用があります。猫の毛球症への対策として動物病院などでも処方されるものでで、これがウサギにも使用できるものもあります。

予防程度であれば蛋白分解酵素でも対応できるかもしれませんが、胃のうっ滞や毛球症が怪しい場合は、毛球予防・除去剤の方が効果的です。ペースト状の毛球予防・除去剤でウサギになめさせて、毛球をほぐして糞に出しやすくさせます。自分でなめない場合は、針のついていないシリンジのお尻から入れて、シリンジで与えます。日頃の予防であれば週に1~数回投与ですが、換毛期であれば毎日、治療に使用する時は1日2~3回投与します。一回に与える量はシリンジ2mLの目盛りを基準にしています。

現代製薬 スッキリン 50g

ずばり治療にも使える!流動パラフィン主成分で甘未を最小限に抑えているチューブ状のサプリメントで、ウサギがやばいな~という時にマジモードで与えて下さい。甘味は麦芽エキスを使用し、味も調整されていますので、無理なく投与できると思います。

フジタ製薬 ラキサトーン 71g

流動パラフィンと白色ワセリンのダブル油!ラキサトーンが猫の治療では有名です。甘味も麦芽エキスを使用し、ウサギは喜んでなめてくれます。

お薦めシリンジ

シリンジ2.5ml(10本セット)

ペーストをなめさせるならコレ買って!ゴムが滑りにくくなるのでまとめ買いね!

イースター バニーセレクション ヘアボールコントロール 500g

換毛期に通常のペレットに加えて食べさせて!大豆油脂を適量含んでいるため、飲み込んだ被毛のスムーズな排出を促すペレットです。野草粉末(桑の葉・おおばこ・たんぽぽ)を配合し、繊維質を高め、桑の葉は吸収した大豆油による高脂血症を下げる効果を狙いました。

まとめ

ウサギによって、どの予防策が無理なくできるのか、試してみて下さい。無理に行うことはストレスにしかなりません。もちろん、2~3つを組み合わせて予防している飼い主さんも少なくはありません。

この記事を書いた人

霍野 晋吉

霍野 晋吉

犬猫以外のペットドクター

1968年 茨城県生まれ、東京都在住、ふたご座、B型

犬猫以外のペットであるウサギやカメなどの専門獣医師。開業獣医師以外にも、獣医大学や動物看護士専門学校での非常勤講師、セミナーや講演、企業顧問、雑誌や書籍での執筆なども行っている。エキゾチックアニマルと呼ばれるペットの医学情報を発信し、これらの動物の福祉向上を願っている。

「ペットは犬や猫だけでなく、全ての動物がきちんとした診察を受けられるために、獣医学教育と動物病院の体制作りが必要である。人と動物が共生ができる幸せな社会を作りたい・・・」との信念で、日々奔走中。