ウサギの品種

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品種は150種以上

ペットのウサギは1800年代にオランダなどで品種改良が進み、体型、毛の長さ、毛並みや毛色などで細分化され、多数の品種が作られましたす。ラビットショーを主催している欧米の団体が新品種を認定して、詳細なスタンダード種の基準も定められ、小型種から大型種まで、現在約150 種以上の品種が知られています。血統書のあるウサギには耳にイヤーナンバー(Ear number)の入れ墨あるいは足環がついています。しかし、近年、足環はほとんど見かけなくなりました。

  ウサギ足輪>

垂れ耳のウサギはロップイヤーと呼ばれます。アメリカン・ファッジー・ロップ、ホーランド・ロップ、ライオン・ロップ、イングリッシュ・ロップ、フレンチ・ロップ、ヴェルベッティン・ロップなどの品種が流通しています。一部の品種を除いて、各品種には様々なカラーバリエーション(毛色や模様)がいます。

小型種ネザーランド・ドワーフ
ドワーフ・ホト
中型種アメリカン・ファジーロップ
ホーランド・ロップ
ジャージー・ウーリー
ミニ・レッキス
ダッチ
ヒマラヤン
カリフォルニアン
ベルジン・ヘア
ハレクイン
大型種
フレミッシュ・ジャイアント
チェカード・ジャイアント
ジャパニーズホワイト(中仙ジャンボ)
ニュージーランド・レッド
フレンチ・ロップ
イングリッシュ・ロップ
その他アンゴラ
表:ウサギの主な品種

ネザーランド・ドワーフ

オランダでつくられた小型のウサギで、体重は0.8~1.2㎏です。英語ではネザーランドはオランダを指し、ネザーランド・ドワーフはオランダの小型種という意味です。丸い顔と極端に短い耳が特徴です。しかし、可愛らしさとは反対に、性格は活発で、わがままな面もあるために、人に馴れるのに時間がかかり、多くが抱っこを嫌います。この性格なために、環境が変わると食欲が低下するなどの特徴があります。ピーターラビットのモデルになったウサギで、ペットショップではネザーランド・ドワーフと交配した雑種や派生種などをピーターラビットやミニウサギとして販売しています。様々な毛色がいます。

ドワーフ・ホト

ドイツでつくられた小型種で、体重は約1.5kgです。全身は純白ですが、目の周りに黒色のアイバンドが入るこの模様が品種の定義です。性格は好奇心旺盛で、かなり人懐っこいです。

中型種

アメリカン・ファジーロップ

アメリカで作られたウサギで、体重は1.5~2kg、他のロップイヤーと比べれてやや小型で、丸い体つきをしています。長い垂耳で、ふわふわで長めの毛(約5cm)を持っており、ファジーと称されるのにぴったりです。毛が細いために、毛づくろいで飲み込んだ毛が絡んで、胃のうっ滞・毛球症になりやすいので注意して下さい。潰れたような愛嬌のある顔で、性格は優しく穏やかで、好奇心旺盛です。触られたり、抱っこされることを好みます。一部では通称「アメファジ」などと呼ばれ、日本ではブリーダーも多くい人気のある品種です。様々な毛色や模様がいます。

ホーランド・ロップ

オランダで作られたウサギで、体重は約2㎏です。ホーランドはオランダの俗称で、オランダの垂れ耳ウサギと言う意味になります。頭頂部から後頭部にかけてクラウンと呼ばれる毛の盛り上がった部分があります。性格は好奇心旺盛で、愛嬌があります。様々な毛色や模様がいます。

ジャージー・ウーリー

アメリカで作られた長毛の小型種です。顔の毛は身体の毛よりも短く、体が丸くふっくらして見えます。性格は控えめでのんびりしています。体重は約1.6kgです。様々な毛色や模様がいます。

ジャージーウーリー

ミニ・レッキス

ミニ・レッキスはフランスにいたレッキスとネザーランドドワーフを掛け合せて、アメリカで作られました。ミニレッキスは「小さなレッキス」という意味ですが、レッキスとはフランス語でCastor rex(ビーバーの王)を意味し、ウサギのレッキスの毛皮が、ビーバーのように滑らかであることがその理由です。毛はビロードのような手触りで、艶がある美しい毛並みが特徴です。様々な毛色や模様がいます。なお、ヒゲは縮れていますので鑑別が容易です。性格は穏やかで、好奇心旺盛です。人馴っこくて物怖じせず、撫でられたり、抱かれたりするのも平気です。体重は1.5~2.0㎏で、肉付きがよい(筋肉質)のも特徴です。ミニ・レッッキスもレッキスも毛が細いため、足裏の毛も乏しく、足裏の炎症(足底皮膚炎)になりやすいと言われていますが、必ずしもなるとは限りません。

ダッチ

オランダで作られ、ヨーロッパで古くからペットとして飼われていた品種です。人懐っこいため飼いやすいウサギで、日本でも比較的昔から飼われていました。その時の名残なのか、純潔のダッチよりも、ダッチの雑種が多く日本で見られます。特徴なのは毛色で、基本は白と黒のツートーンカラーをしており、顔は鉢割れで、胴体も前半分が白色で後ろ半分が黒色という組み合わせをしています。カラーは黒以外にも灰色や黒褐色などもいます。体重は1.6~2.5㎏の中型種です。遺伝的に子宮疾患が多発するといわれていましたが、報告されている文献が古いのであまり実感していません。

ダッチ

ヒマラヤン

ヒマラヤ地方で作られた最も古い品種で、イギリスで品種改良されました。体は白色、目は赤目のアルビノですが、耳、鼻、四肢だけが黒色という特殊な毛色をしています。顔が細くて筒型の体型をしており、猫のような身のこなしをします。ヒマラヤンというと猫の品種を思い浮かべますが、猫のヒマラヤンに似せてウサギのヒマラヤンが作られました。体重は1~2㎏と中型種です。性格は大人びていますが、穏やかで甘えん坊なくらいに人にも馴れます。そして、ヒマラヤンの特徴は、シリンドリカルタイプという背骨が直線状をしており(他の品種は背骨がアーチ状で、体全体が丸みを帯びています)、品評会ではお座りポーズではなく、腹ばいになった状態で審査されます。まるで日本初の新幹線である0系タイプのようですね。

カリフォルニアン

カリフォルニアンは、アメリカでヒマラヤンとスタンダードチンチラを交配して作られた品種です。スタンダードチンチラの毛並みの良さと、肉食にもするために大型化にするのが目的でした。体重は3~4kgで、全身は白色で、耳や鼻、手足、尾は黒色をしており、目は赤目をしています。性格も温和で友好的です。

ベルジアン・ヘア

ベルギーで作られ、イギリスで品種改良をされました。中型種の中では最も大きく、体重は3.0~4.0kgで、茶褐色の毛色をしています。細長い体は、背中が大きくアーチを描き、すっと伸びた長い足は、野性味を感じます。なので名前もヘア(ノウサギを意味するHare)と付けられましたが、決してノウサギの血統を持っているわけではありません。性格は人間に媚びずに、怖がることもほとんどありません。

ベルジンヘアー

ハレクイン

フランスで作られた、左右アンバランスな不思議な縞模様の毛色をしています。毛色ははマグパイ(白色と黒色)とジャパニーズ(三毛猫色で白色、黒色、茶色)の2つのタイプがいます。顔は、縦半分に色分けされ、耳、胸と足はそれぞれ顔の色と違うカラーになることが理想とされています。性格は穏やかで、好奇心旺盛です。体重は約4.0kg前後の中型種です。

大型種

フレミッシュ・ジャイアント

ベルギーで食用として繁殖されていた品種で、体が大きくなるように品種改良されました。体重は7~10kgくらいで、体な調も1mを超えるサイズになります。性格は温厚で、頭もよいです。体が大きいために、ケージも犬用の大きなサイズが必要となり、エサの量も半端ではありません。これらを覚悟の上で飼ってください。様々な毛色がいます。

チェカード・ジャイアント

ドイツでつくられた大型種で、体重は4.5~5.0㎏です。身体が長くて、背中がアーチを描くスタイルなために、さらに大きく見えます。毛色は、背中に1本の太い黒色のラインが入って、他の場所に黒色の斑点が入り、F1レースのゴールの時に振られるチェカード・フラッグのようですね。また、口元にバタフライのような黒色の模様があるのも特徴です。野性味を求めて品種改良されたため、性格はとても警戒心が強くて、気性が荒い面があります。

ジャパニーズ・ホワイト

日本白色種とも呼ばれるアルビノで、全身の毛が白色で目が赤色です。実験動物のウサギはほとんどが、ジャパニーズホワイトです。毛皮や肉のための家畜としても飼われていたこともあり、一般的な体重は 3~6kgですが、特に大型化するよう品種改良されたものは 10kg を超えることもあります。

中仙ジャンボウサギ(秋田ジャンボ)

ジャパニーズホワイトを秋田県大仙市(旧中仙町)で品種改良した10㎏を超える大型種で、正式な名前は日本白色種の秋田改良種と言います。大仙市中仙地区のブランドのウサギで、「全国ジャンボうさぎフェスティバル」という品評会も開催され、大型化と毛並みの美しさを目指して品種改良と保存が続けられています。なんと地元では、ウサギの肉が伝統統料理として食用もされています。

ニュージーランド・レッド

アメリカで作られたウサギで、体重は4.0~5.0kgです。ニュージーランド・レッドは、あらゆる大型種のウサギの品種改良に使われています。特徴は大型種にしては珍しい丸顔を持っており、大きく美しい身体、丸い背中のラインが特徴です。性格は一言でいうと少々きついようです。

フレンチ・ロップ

名前の通りフランスで作られた垂れ耳(ロップイヤー)の品種です。大型種で、体重は4~5kgですが、肥満になるケースが多いので注意して下さい。体は大きく、とにかくパワフルですが、スピードは有りません。性格は温和で、人懐っこいです。様々な毛色や模様がいます。

フレンチロップ

イングリッシュ・ロップ

最も古い品種の一つでその起源は不明です。フレンチロップやホーランドロップ等の元になったウサギです。性格は温和で、人懐っこいです。様々な毛色や模様がいます。

その他

アンゴラ

アンゴラは長毛種で全身が長い毛で被われているウサギで、原産国はトルコであり、アンゴラではないです。この毛皮は毛織物の素材として利用され、世界各国で独自の品種が作られています。イングリッシュアンゴラ、フレンチアンゴラ、サテンアンゴラ、ジャイアントアンゴラの4品種がよく知られいます。

ウサギアンゴラ

日本でも毛皮利用を目的とした、独自に改良した日本アンゴラ種がいます。ジャパニーズホワイトと同様に、白い被毛に赤い目のアルビノを固定させた品種で、イギリス系のアンゴラウサギ、ローヤルアンゴラ種を基に、フランス系アンゴラ、カナダ系アンゴラ3品種から改良されました〔農山漁村文化協会 2009〕。日本では、1960年には国内の飼育数が約72万頭となり、アンゴラウサギの飼育数世界一となった時代もありましたが〔農山漁村文化協会 2009〕、現在は毛皮産業の衰退とともに減少し、2017年では、兵庫県神戸市の六甲山牧場を中心として兵庫県内に約30頭となっています〔幻のウサギ「日本アンゴラ」神戸で復活 繁殖続け30羽 2017〕。

ポイントはコレ!

・ウサギの品種は150種以上
・小型種のネザーランド・ドワーフ、中型種のアメリカン・ファジーロップ、ホーランド・ロップが日本では多い
・大型種のジャパニーズ・ホワイトは実験動物として使用されている
・アンゴラ種は毛皮目的で飼育される

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参考文献

  • 農山漁村文化協会編集.農業技術大系 畜産編 第6巻 中小家畜.農山漁村文化協会.2009
  • 幻のウサギ「日本アンゴラ」神戸で復活 繁殖続け30羽.毎日新聞. 2017年5月10日

この記事を書いた人

霍野 晋吉

霍野 晋吉

犬猫以外のペットドクター

1968年 茨城県生まれ、東京都在住、ふたご座、B型

犬猫以外のペットであるウサギやカメなどの専門獣医師。開業獣医師以外にも、獣医大学や動物看護士専門学校での非常勤講師、セミナーや講演、企業顧問、雑誌や書籍での執筆なども行っている。エキゾチックアニマルと呼ばれるペットの医学情報を発信し、これらの動物の福祉向上を願っている。

「ペットは犬や猫だけでなく、全ての動物がきちんとした診察を受けられるために、獣医学教育と動物病院の体制作りが必要である。人と動物が共生ができる幸せな社会を作りたい・・・」との信念で、日々奔走中。