鳥の水浴び~ブンチョウ大好き

羽毛のメンテナンス

鳥は羽毛の外部寄生虫や汚れを落とし、綺麗な状態で維持するために、水浴び、砂浴び、蟻浴(ぎよく)という手段がとられています。飼鳥でのオウムやフィンチでは水浴びが行われますが、野鳥は水たまりや浅瀬で、羽根が完全に水浸させるのではなく、身体をぶるぶると震わせるようにして、全身の羽根に水をかけます。

水浴びの定義はない

飼育下でも水浴びをさせる方法や時間などの明確な定義はありません。特にフィンチは好んで水浴びを行いますが、オウムは好き嫌いがあるため、積極的にはさせなくてもよいです。水浴びは暖かい時間帯に水浴びをさせ、濡れた鳥が体温を下げないようにします。ただし、水は特別に暖めたり、冷やす必要もありません。ペット用の水浴び用の容器をも多数販売され、設置すると鳥は自ら中に入って水を浴びます。手乗りの文鳥などは容器内の水をすくった飼い主の手の中で安心して水浴びをするようなこともあります。

シャワー

中には水浴びの手段が、霧吹きやシャワーの感触が好きな鳥もいます。温暖な地域に生息するオウムでは、湿気の多い森林で生活し、加湿は羽根の管理だけでなく、一般状態も向上する可能性があります。鳥に霧吹きやスプレーをする場合は、水滴を細かくしてから行い、嫌がるか試します。

頻度は?

水浴びの頻度も様々で、毎日~週に 1 回程度と鳥の好みで行って下さい。水浴びは換羽での古い羽鞘が剥がれやすくなり、換羽を促進させる効果もあります。

砂浴び

野鳥の砂浴びは乾燥した砂地で行なわれ、河川敷や農耕地、公園などで見られます。砂地を浅く掘って、窪みに身体を沈めて震わせ、羽毛の中に砂を通してから、砂を弾き飛ばします〔Duncan et al.1998,Olsson, et al.2002〕。砂浴びはヒバリやニワトリなど乾燥地帯に住んでいる鳥が行いますが、ミソサザイやスズメは水浴びも砂浴びの両方を行います。

蟻浴

蟻浴はカラスなどがアリの巣の上にふせてアリを羽毛に這わせる行動です。蟻浴の理由は不明ですが、アリが分泌する蟻酸で寄生虫を減らすとも言われています〔Revis et al.2004,Lunt et al.2004〕。

参考文献
■Duncan IJH.Widowski TM,Malleau AE,Lindberg AC,Petherick JC.External factors and causation of dustbathing in domestic hens.Behavioural Processes43 (2):219–228.1998
■Olsson IAS,Duncan IJH,Keeling LJ,Widowski TM.How important is social facilitation for dustbathing in laying hens?.Applied Animal Behaviour Science79 (4):285–297.2002
■Lunt NPE et al.Active anting in captive Cape White-eyes Zosterops pallidus.Ibis 146:360–362.2004
■Revis HC,Waller DA.Bactericidal and Fungicidal Activity of ant chemicals on feather parasites:an evaluation of anting behavior as a Method of Self-medication in Songbirds.The Auk121(4):1262–1268.2004

この記事を書いた人

霍野 晋吉

霍野 晋吉

犬猫以外のペットドクター

1968年 茨城県生まれ、東京都在住、ふたご座、B型

犬猫以外のペットであるウサギやカメなどの専門獣医師。開業獣医師以外にも、獣医大学や動物看護士専門学校での非常勤講師、セミナーや講演、企業顧問、雑誌や書籍での執筆なども行っている。エキゾチックアニマルと呼ばれるペットの医学情報を発信し、これらの動物の福祉向上を願っている。

「ペットは犬や猫だけでなく、全ての動物がきちんとした診察を受けられるために、獣医学教育と動物病院の体制作りが必要である。人と動物が共生ができる幸せな社会を作りたい・・・」との信念で、日々奔走中。