ブンチョウってどんな鳥(知らないといけない生態と特徴)

気が強く生意気で可愛い

外見は小さくて可愛い小鳥ですが、意思表示がはっきりとして、意外と気が強いです。

分類・生態

東南アジアの鳥で、原産地では稲の害鳥になっていたので、ライスバード(Rice bird) と呼ばれています。現在、現地では生息数は減少して、あまり見かけません。

日本では江戸時代に渡来し、愛知県名古屋を中心に下級武士の内職として、巣引きが普及したといわれています。フィンチの中でも育てやすく、馴れやすい飼い鳥として流通し、江戸時代には鑑賞用としてかなり高価な値段で取引きされていたそうです。

分類

スズメ目カエデチョウ科キンパラ属
学名Lonchura oryzivora(Padda oryzivora)
英名:Rice Bird(Java Sparrow)

分布

インドネシアのジャワ地方やバリ島(現在はアメリカのハワイ、スリランカ、フィジー、マレーシアなどの世界各地に移入して定着しています〔Arnaiz-Villena  et al.2009〕)

身体

体長:約14cm
体重:22~27g
羽色:頭部が黒色、頬部が白色、嘴はピンク色で、赤色の眼瞼輪(アイリング:Eye ring)があります。背中と胸は灰色、お腹は白色から淡いピンク色はコントラストが綺麗です。尾は黒色をしています。
趾:三前趾足

生態

環境:標高1500m以下の低木、開けた森林、草原に生息しています。
行動
・人家に近い林や耕地でも見られ、番または群れをつくっています。
・樹上に枯草などを組み合わせた球状の巣を作ります。

食性
・主に植物の種子を食べますが、時に昆虫や軟体動物も食べる雑食性です。

寿命:8~12年

これがポイント!

・野生のブンチョウは、現地では稲穂を食べる害鳥あつかい
・インドネシアでもブンチョウはあまり見ない
・群れで生活をしている
・赤いアイリングが特徴
・虫も食べる雑食性

性格

ブンチョウは活発な性格をしており、ピョンピョンと飛び跳ねる姿はても可愛いです。また、性格はオスとメスで異なり、オスは明るくて活発、メスは大人しいです。

気が荒いオス

オスは、フィンチの中では性格は気が荒くて闘争的な面を持っています。しかし、繊細な性格も持っており、インコと比べ好き嫌いが明確です。特に人見知りが激しいブンチョウだと、新入りのブンチョウに厳しくあたったり、見慣れない物に対しては憶病にもなり、威嚇をするようなこともあります。

べた馴れ

ブンチョウはオスもメスも飼い主に一度心を許すと、とても甘えてくる一面もあります。さらに、寂しがり屋で繊細であることも特徴となります。手乗りになったブンチョウは驚くほどの人に馴れ、手乗りにすると、手の中で寝たり、飼い主を追ってストーカーにまったり、パソコンや料理をしていると邪魔したりするようになります。飼い主がかまってあげないとストレスがたまることもあります。

ブンチョウ
馴れたブンチョウの行動で、「お餅化」「おもち文鳥」「もちぶん」などと呼ばれ、ブンチョウがお腹を地面につけて、足を隠して丸くなっている状態が有名です。まるで大福のように丸く見えるので、そう呼ばれています。止り木に止まりながら、手のひらでもやることもあります。手乗りにしたい場合は、一羽だけで飼った方が懐きやすいです。

環境の変化に敏感

環境の変化に敏感であり、別種の鳥と一緒にする、あるいは別の動物を迎え入れるなどしたときに、縄張り意識が働きます。攻撃的になってしまうこともあるため、注意しましょう。

意思表示(鳴き声)

一般的には「チッチッ」「チュンチュン」と鳴き声を出しますが、それほどうるさくありません。鳴き声でコミュニケーションをとりますので、違いを聞き分けて、ブンチョウの気持ちを察してあげましょう。しかし、発情期になると、よく鳴くので多少うるさく感じることがあるかもしれません。

「チッチッ」「ピッピッ」と強く短く鳴く

飼い主や仲間に呼びかけをしています。

「キュル~」「キュウ~キュウ~」と寂しそうに鳴く

退屈してかまって欲しい時の鳴き声です。

オスが体を膨らませて跳ねながら「ピチューイ」「ピーヨピーヨ」と鳴く(さえずり)

発情したオスの求愛ダンスと求愛ソングです。

ゲッゲッゲ」と短く鳴く

周囲に危険が迫り、仲間に警告する時の鳴き声です。

「ギャッギャッ」と低めの声で鳴く

不満のある時の鳴き声です。

「ギャルルルルル」「キャルキャルキャル」「クルルルル」「ゲギョギョギョギョ」と強めの声で鳴く

怒っている時や威嚇の鳴き声です。

ブンチョウ

「ピピピピ」「ポポポポ」と長めに鳴く

あいさつの鳴き声です。

ブンチョウ

これがポイント!

・オスは気が強い
・人にとても馴れる
・鳴き声はうるさい方
・リラックスした『おもち文鳥』が可愛い
・意思表示の鳴き声が多彩

参考文献

  • Arnaiz-Villena A,Ruiz-del-Valle V,Gomez-Prieto P,Reguera R,Parga-Lozano C, Serrano-Vela I.Estrildinae Finches(Aves, Passeriformes) from Africa,South Asia and Australia:a Molecular Phylogeographic Study.The Open Ornithology Journal2 (1):29–36.2009
  • Cameron M.Cockatoos.CSIRO Publishing.Australia.2007
  • Gill FB.Ornithology,3rd ed.W.H.Freeman and Company.New York.2007
  • David Alderton.You &your pet bird.Dorling Kindersley.London.1992

この記事を書いた人

霍野 晋吉

霍野 晋吉

犬猫以外のペットドクター

1968年 茨城県生まれ、東京都在住、ふたご座、B型

犬猫以外のペットであるウサギやカメなどの専門獣医師。開業獣医師以外にも、獣医大学や動物看護士専門学校での非常勤講師、セミナーや講演、企業顧問、雑誌や書籍での執筆なども行っている。エキゾチックアニマルと呼ばれるペットの医学情報を発信し、これらの動物の福祉向上を願っている。

「ペットは犬や猫だけでなく、全ての動物がきちんとした診察を受けられるために、獣医学教育と動物病院の体制作りが必要である。人と動物が共生ができる幸せな社会を作りたい・・・」との信念で、日々奔走中。