爬虫類のモルフ

生物の形質の形

爬虫類には、同じ種類や品種でも体色や模様、身体の大きさ、目の形状など、見た目が異なる個体が存在し、特徴を持った個体の交配や突然変異で発生します。交配によって特徴が表現として遺伝すると確認できたものをモルフ(Morph)と呼ばれます。多型(Polymorphism)を示す生物集団の形質のそれぞれの型をmorphと呼ばれることに名称は起因し、様々な特徴を持ったモルフが多く誕生しています。本来の野生種の特徴を持ったものを野生型とも呼ばれ、品種改良されていないノーマルな品種を指します。特徴的な形質がひとつあるものを単一モルフまたはシングルモルフと呼びます。この単一モルフ同士をかけ合わせることで複数の特徴が受け継がれます。これを複合モルフ、マルチモルフと呼びます。同じ品種でも様々なモルフの存在があることで、ペットの爬虫類では、飼育をする楽しみが増えることになります。モルフの名前には、一般的にその特定の外見的特徴や遺伝的特性が反映されています。

俗語

モルフという用語は学問上の専門用語ではなく、俗語の扱いとなっています。品種の中には亜種があり、また系統(strain, line)などの限定詞のもとに様々な種内変異に学名を付けていました。昔、Muller(1950)は、ショウジョウバエを用いた遺伝学的解析の結果から、対立遺伝子モルフで分類を行た論文を出しています〔Muller 1950〕。しかし、現在は国際動物命名規約によって品種以下にモルフは除外されており、分類学的に特別には使用されることはありません。

参考文献

  • Muller HJ.Our load of mutations. Amer J Human Genet2:111-176.1950

この記事を書いた人

霍野 晋吉

霍野 晋吉

犬猫以外のペットドクター

1968年 茨城県生まれ、東京都在住、ふたご座、B型

犬猫以外のペットであるウサギやカメなどの専門獣医師。開業獣医師以外にも、獣医大学や動物看護士専門学校での非常勤講師、セミナーや講演、企業顧問、雑誌や書籍での執筆なども行っている。エキゾチックアニマルと呼ばれるペットの医学情報を発信し、これらの動物の福祉向上を願っている。

「ペットは犬や猫だけでなく、全ての動物がきちんとした診察を受けられるために、獣医学教育と動物病院の体制作りが必要である。人と動物が共生ができる幸せな社会を作りたい・・・」との信念で、日々奔走中。