クロハラハムスター  ビックハムスター!

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体も態度もでかいハムスター!

クロハラハムスターはハムスターの中での最大種で、小さいモルモット位のサイズをしています。原産地のヨーロッパでは畑を荒らす害獣扱いで、また毛皮を取るためにも捕らえられていました。昔から実験動物として知られていますが、日本では過去に数年間だけ(1990年代後半)、ペットとして流通しただけです。

クロハラハムスター

害獣および毛皮を目的にも捕獲されたことから、近年その個体数は大幅に減少し、2020年にIUCNレッドリストによって絶滅危惧種に掲載さました〔Banaszek et al.2020〕。

分類

げっ歯目キヌゲネズミ亜科クロハラハムスター属
学名Cricetus cricetus
英名:Common hamster,Black-bellied hamster,European hamster
別名:ヨーロッパハムスター

分布

ベルギー、ヨーロッパ中部、ロシアのシベリア地方、カザフ地方北部からエニセイ川流域とアルタイ地方および中国の新疆維吾爾自治区

クロハラハムスター分布地図

身体

頭胴長:20.0〜30.0cm〔Weinhold 2009〕
尾長:4.0〜6.0cm〔Weinhold 2009〕
体重:200〜650g(1000gという記録もある)〔Weinhold 2009〕
寿命:オス3.5年以上、メス約5年〔Saint-Girons et al.1968〕

特徴

ハムスターの最大種で、気が強くて人には馴れにくく、かみつくことで手を焼きます。1997年頃から、一時日本にも輸入され飼育されましたが、現在はほとんど流通していません。

クロハラハムスターは一般的に単独で行動します。地域によって異なりますが、10月から3月まで冬眠し、この間5~7日おきに起きて貯蔵室から餌を食べます〔MacDonald et al.1993〕。生後約43日位で性成熟し、4月上旬から8月にかけて繁殖します。妊娠期間は18~20 日で、産子数は3~15頭で、生後約3週間で離乳します。

品種

クロハラハムスターは毛色によって品種が分けられていますが、あまり品種の数は多くはありません。

ノーマル

背中は茶褐色、お腹は黒色、頬、鼻、四肢、脇腹は白色を帯びています。

クロハラハムスター
クロハラハムスター

 

ホワイト

全身が白色で、目は黒目です。

バイド

パイドは、白色で斑模様が入ったもので、様々な毛色にみられます。

これがポイント!

・ヨーロッパにいるハムスター
・ハムスターの最大種
・性格はきついことが多い
・昔販売されていが、最近はまったく見かけない
・品種は少ない

参考文献

■Banaszek A et al.Cricetus cricetus.IUCN Red List of Threatened Species.2020:e.T5529A111875852.2020
■MacDonald D,Priscilla B.Mammals of Britain & Europe Vol 1.HarperCollins.London:p236–237.1993
■Saint-Girons M.-C.,W.R.van Mourik, and P.J.H.van Bree.La croissance ponderale et le cycle annuel du hamster,Cricetus cricetus canscens Nehring, 1899 en captivite.Mammalia32.577–602.1968
■Weinhold U.Draft European action plan for the conservation of the common hamster (Cricetus cricetus, L.1758).Third edited version.Convention on the Conservation of European Wildlife and Natural Habitats,Council of Europe.Strasbourg.France.2009

この記事を書いた人

霍野 晋吉

霍野 晋吉

犬猫以外のペットドクター

1968年 茨城県生まれ、東京都在住、ふたご座、B型

犬猫以外のペットであるウサギやカメなどの専門獣医師。開業獣医師以外にも、獣医大学や動物看護士専門学校での非常勤講師、セミナーや講演、企業顧問、雑誌や書籍での執筆なども行っている。エキゾチックアニマルと呼ばれるペットの医学情報を発信し、これらの動物の福祉向上を願っている。

「ペットは犬や猫だけでなく、全ての動物がきちんとした診察を受けられるために、獣医学教育と動物病院の体制作りが必要である。人と動物が共生ができる幸せな社会を作りたい・・・」との信念で、日々奔走中。