試行錯誤
ミーアキャトを飼うことは他の動物と比べて難しく、いまだによく分かっていないことが多いです。十分に知識を備えて、それなりの覚悟が必要です。野性の習性も強く残っており、一般の家庭での飼育法は確立していません。
鳴き声に関しては静かですが、チョロチョロ動き回り、巣穴を掘る習性のためにガリガリと床を掘る行動を繰り返すので、その音がうるさく、床も傷つけます。神経質な方は飼わないで下さい。そして、ミーアキャットは臭腺 (肛門腺) があるので特有の嗅いがあります。この臭いに耐えられますか?
飼育
飼育頭数
群れで生活しているので複数で飼育することが理想ですが、現実的にスペースや金額的にも難しいです。単独飼育をする場合は人がしっかりと対応することが大切なのです。
ケージ
犬やフェレット用のケージを使用しますが、大きなものが理想ですが、横幅が最低でも70~80cmあるものが理想でしょう。ケージの周りにサークルを設けて、ケージから出入り自由にするのも一方法です。ケージの飼育だけでは運動量が足りないので、部屋で運動させたり遊ぶ時間もしっかりと設けて下さい。特に幼若個体では運動量を増やさないとストレスになります。しかし、飼い主が見ていない時間帯や1日中部屋の中で放し飼いをするのは、家具やコードを荒らされる危険があります。
ケージの中に、餌容器や給水器、トイレ、小屋、寝具などをレイアウトして設置します。穴を掘る習性がありますので、ウッドチップなどの床敷を敷くと、床敷が散らかって掃除が大変になります。巣穴で生活をしているので、睡眠や休息をとるための小屋や寝具が必要になります。フェレット用のハンモックや寝袋などを使用すると、その中に体を器用に丸めて入れて休みます。寝具や小屋があれば、床敷を敷かずに金網床だけで問題ありません。金網ケージの金網をかまないようにしないと、犬歯が破折します。
トイレ
ミーアキャットは気ままな性格で、トイレのしつけが大変に難しいです。トイレのしつけができない場合は、ケージ内の四隅やお気に入りの場所で排泄しますので、そこをトイレにしましょう。オスはマーキングとして尿を飛ばす (スプレイ: Spray) こともあります。
温度・湿度・照明
温度
ミーアキャットは寒さにやや弱く、暖かい環境を好みます。部屋の温度は25~28℃に設定します。ただし、夏にケージを直射日光が当たる所やしめきった部屋に置くと、熱中症になる可能性があります。冬の寒い時は保温器具で寒さを防ぐ工夫をし、夏は冷房や送風などで温度が上がりすぎないようにして下さい。
照明
野生では体を暖めるために日光浴をする習慣がありますので、天気の良い日には日光浴をさせましょう。馴れててくれば、ケージから出すと自ら窓際に行って、立ち上がった姿勢で日光浴をするようになります。
食餌
餌
餌が何を与えたらよいか、よく分かっていません。昆虫や軟体動物を好みますが、小さい鳥や卵、果物まで食べます。犬や猫用のペレットが簡易的にお薦めできますが、野生の生態から昆虫食用に考慮されているハリネズミ用ペレットの方がよいのです。ペレットの粒サイズが小さいので食べにくいという欠点があります。鳥肉も好むのでフェレット専用のペレットも使えますが、高脂肪のために与えすぎると肥満になる欠点がありますので、推奨できません。ペレットは主食にするというより、茹でた鶏肉やマウス、ミルワームや軟体動物の餌、リンゴやバナナなどの果物などとともに与える一つのメニューとして考えて下さい。
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ミーアキャットは昼行性の動物なので、給餌する時間は朝昼の2回位に分けて与えます。食べ残しがあった場合は、ミーアキャットは餌を荒らすので、食べ残しは片づけて下さい。
水
給水器も皿タイプとボトルタイプがありますが、多くが壁掛け式の給水ボトルで飲みます。皿タイプだと、皿で遊んだり、容器をひっくり返すことが多いので、ボトルタイプの方がよいかもしれません。
ケア
ケージの中にミーアキャットを入れて餌を与えるだけという単調な飼育は、成長や健康維持、繁殖のみならず、精神的的なストレスの原因になります。ミーアキャットが持つ野生の本来の行動を発現できるような環境作りのために、生息地に適応した体の特徴や生態を環境エンリッチメントに沿って考えて下さい。「かじる」「掘る」「潜る」は習性なので、これらの行動を起こしても問題のない環境作りをしてあげてください。
ミーアキャトは活発ですが、警戒心もありながら、何にでも興味を持つ性格をしています。そして、さみしがり屋な面も持っています。飼い主が十分にかまってあげられる時間をとらないといけません。
運動
活発な動物なので運動が必要になり、何にでも興味を持ります。部屋に放すと、とにかく家の中を探索して荒らしまわります。部屋の中でも袋をかじったり、棚に登ろうとしたり、隙間に潜ったりします。配線コードや家具、洋服などもかじったりもしますので、管理は徹底してください。部屋の中で放す際には、異物を食べること(消化管閉塞)に注意して下さい。高い棚に上ってしまったり、家具の隙間に入りこんでケガを負わないように、放す部屋のレイアウトはよく考えて下さい。あるいは部屋の中にサークルを設置して運動させるのも一方法です。
遊び
ミーアキャットは玩具 (おもちゃ) で遊びます。人に馴れると遊びに誘ったりするなど愛嬌のある仕草も示します。巣穴で生活しているので、特にトンネルなどの筒に潜り込むおもちゃを好みます。
コミュニケーション
協調性が高い性格なので、人に馴れやすいです。人に馴らすためには幼体からコミュニケーションをとりましょう。群れを作るミーアキャットは、人が怖くなく仲間だと認識してもらうことが大切です。声掛けやスキンシップなどの世話を通じて群れの一員だと認識してもらう気持ちで接触すれば、とてもよく馴れます。幼体の時から、かみ癖とトイレのしつけをしましょう (トイレは覚えないかもしれません)。発情期に気性が荒くなります。特にオスはかまれることがあるので注意して下さい。
砂遊び
毛の手入れをする目的で砂浴びもします。しかし、砂をまき散らすので掃除が大変になります。可能であれば、ある程度大きな容器で自由に砂浴びをさせますが、積極的に砂浴びをしない個体もいるので、無理にさせる必要はありません。
臭いの管理
体臭はややきついです。また、トイレについては同じ場所でする習性はありますが、トイレを覚えない個体が多いです。体臭が強い個体や個体差でベタベタする場合は、砂浴び、シャンプーや入浴を行いましょう。オスは臭腺(肛門腺)が発達し、発情するとお尻あちこちに擦り付けるような行動 (マーキング) をします。臭いの対策として、オスでは去勢手術 (精巣摘出手術) と肛門腺摘出手術を受けると解消されます。
爪切り
爪も伸びます。定期的に爪切りが必要になります。
屋外の運動
部屋の中だけでは運動不足になりがちです。しかし、屋外へあまり出たことがないと怯えたり、大きな車の音などで驚いて逃げ出すことがあります。必ず首輪や胴輪をつけて紐で引いて散歩に出して下さい。
屋外に出す場合は、ノミやダニはもちろん、夏には蚊に血を吸われてフィラリアという心臓に寄生する虫の感染の恐れがあります。動物病院で病気の予防を相談して下さい。病気を予防するワクチンは、ミーアキャット専用のものがありません。その効果や副作用に関しては不明です。主治医の獣医師と相談して、犬や猫用のワクチンを使いますが、最終的な判断は飼い主さんが決めないといけません。
ポイントはコレ!
- 群れで生活していますが、管理が大変なため1頭で飼う?
- 運動量が多く、ケージから出して部屋に放す
- 部屋では物をかじったりして荒らしたり、習性で地面を掘る動作をする
- 餌は専用のフードがないので犬猫のペレットを代用する
- 屋外に出す場合は、寄生虫などの予防処置やワクチンをするべきか?