モルモットはストレスを受けやすい動物であることが有名で、実験動物ではストレスによって生じたホルモンの測定などの研究に使用されています〔Sachser et al.1991〕。近年は人のストレスによる自閉症のための動物モデル(モルモットGS株)としても使用され、環境への応答の欠如査、社会的相互作用の不適当な行動が研究されています〔Caston et al.1998〕。
ストレスの原因
モルモットにおいて集団でいることは、集団的防衛や繁殖の能率化もありますがが、体を寄せ合うことで精神が落ち着くと言われています。相性のあった個体と同居すると、異常な鳴き声もあげずにストレスも緩和した報告があります〔Hennessy et al.2019〕。1頭での生活や相性が悪い個体との同居はストレスにしかならないでしょう。またモルモットは出生後に母親の関与をほとんど必要としないとされていましたが、群れることならびに母親との同居は子は、精神的行動に良い作用を及ぼすことも判明しています〔Hennessy2003〕。現在、モルモットの社会的性質や社交性の必要性が注目されています。もちろん、不適切な温度や湿度、騒音、餌の栄養のアンバランスなどもストレスにつながります。
モルモットはより安全に感じるために隠れ家的な小屋が必要です。小屋がないと隠れる場所がなく、モルモットは不安を感じます〔Banjanin et al.2004〕。また、遊んだりかんだりするための玩具は、退屈させないためにも必要です。モルモットは餌を手で持つことはせず、地面から口で直接拾いますので〔Kunkel et al.1964〕、ラットやマウス、ハムスター、またはウサギに与える玩具は、モルモットには関心を示さず不向きです。しかし、モルモットは前肢を使って牧草を床に押し付けながら、茎の長さをかじったりしています。牧草入れから牧草を引っ張ることも玩具的な役割をします。単なる木製の棒をかんで遊ぶこともします〔Scharmann 1991〕。ケージの壁に取り付けるかじることを予防する木片などには興味をもちます。モルモットは一般的に登ったりジャンプはしませんが、小屋の中で隠れることを好む性質から、トンネルなどにも興味をもちます。
野生のモルモットは群れで暮らしり、支配的なオスとメスとの社会的階層のある生活をしています。社会生活において様々な刺激を受けていますが、モルモットは性成熟前に経験する社会的経験が重要で、その後の成体になってからの行動や社会生活におけるストレスと深い因果関係があります〔Sachser et al.1994,Fenske 1992〕。つまり生後の幼体での成長期間には母親および群れの仲間と暮らす経験が必要であり、欠如すると成体になってからの異常行動の発現や他のモルモットとの社会的対応が上手くできません。
ストレスは症状や行動以外にも、内分泌や脳機能の変化を引き起こすことが示されています。これらは両方とも、後で社会的行動の変化によって証明されます。内分泌の失調によってメスがオスでみられる尿によるマーキングを行ったり、成体での幼児の行動などが認められました。早期の母親から離別された幼体の発声は、親と一緒に飼育された幼体よりも大きい、同居できるモルモットとの対応が上手くできないなどの脳機能の欠落を示しました。したがって、群居性のモルモットを1頭で飼育することは本来推奨できません。同居できるモルモットが必要とされますが、雌雄だと繁殖して増えてしまう問題があり、オス同士だと喧嘩を起こすので、メス同士の複数飼育が理想になります。ただし、知らない存在のモルモット同士ではストレスになるため〔Sachser et al.1989〕、姉妹や母娘の関係が理想です。それ以外の関係のモルモット同士であれば、別ケージで並べて飼育して相手の存在を認識させ、時間をかけて良好関係を保てるか観察しながら行って下さい。複数飼育ができない場合は、人がモルモットとコミュニケーションをはかり、スキンシップをるようにして下さい。
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