【解剖】モルモットの臭腺

目次 [非表示]

臭腺は2つ

モルモットは会陰部(会陰部腺)と臀部の背側正中にも臭腺(上尾部腺)があります。臭腺の油脂の分泌により濡れていたり、分泌物が付着して汚れて見える個体もいます。会陰部腺は陰部と肛門周囲に位置し、常にベトベトしています。

上尾部腺では周囲の被毛が薄くなっているいることもあります。

用途

臭腺は物に臭い付け(マーキング)をするのに使われ、マーキングは集団社会生活の中での優劣、縄張りの主張などに有用です〔Gary et al.1974〕。オスはメスと比べて臭腺が発達しており〔Breazile et al.1976;Quesenberry et al.2004)、去勢手術をするとオスの臭腺も萎縮します〔Iburg et al.2013〕。また、肥満な個体や老体では分泌物が過剰に産生される傾向があります。

分泌物の成分

会陰部腺は皮脂腺複合体で構成され、分泌物の成分は揮発性の脂肪酸、アルコール、ケトンからなります〔Judith et al.1979〕。

参考文献

  • Breazile JE,Brown EM.Anatomy.In The Biology of the Guinea Pig.Wagner JE,Manning PJ eds.Academiv Press.New York.p53‐62.1976
  • Gary K.BeauchampThe perineal scent gland and social dominance in the male guinea pig Physiology & Behavior13(5):p669-673.1974
  • Judith L et al.Perineal scent gland of wild and domestic guinea pigs.A comparative chemical and behavioral study Journal of Chemical Ecology volume5:p737–751.1979
  • Iburg TM et al.Gender differences in the anatomy of the perineal glands in Guinea pigs and the effect of castration.Anat Histol Embryol.2013
  • Quesenberry KE,Donnelly TM,Hillrer EV.Biology husbandry and clinical techniques of guinea pig and chinchillas.In Quesenbeyyr KE Carpenter JE eds.Ferrets Rabbits and Rodents Clinical Medicine and Suegery 2nd.Elsevier.New York:p232-244.2004

この記事を書いた人

霍野 晋吉

霍野 晋吉

犬猫以外のペットドクター

1968年 茨城県生まれ、東京都在住、ふたご座、B型

犬猫以外のペットであるウサギやカメなどの専門獣医師。開業獣医師以外にも、獣医大学や動物看護士専門学校での非常勤講師、セミナーや講演、企業顧問、雑誌や書籍での執筆なども行っている。エキゾチックアニマルと呼ばれるペットの医学情報を発信し、これらの動物の福祉向上を願っている。

「ペットは犬や猫だけでなく、全ての動物がきちんとした診察を受けられるために、獣医学教育と動物病院の体制作りが必要である。人と動物が共生ができる幸せな社会を作りたい・・・」との信念で、日々奔走中。