ウサギ・げっ歯類の鼠径輪

お腹と玉袋の連絡口

どの動物も生まれた時には、精巣はお腹の中にあり、生後1ヵ月〜数ヵ月で、鼠径部輪(そけいりん)と呼ばれるお腹と陰嚢の間にある孔から、陰嚢の袋に降りてきます(精巣下降)(人は生まれた時には陰嚢に降りています)。その後、鼠経輪は自然に閉じるために、陰嚢は精巣のために膨らんで見えます。しかし、ハムスターなどのげっ歯類やウサギは発育後も鼠径輪が閉じないため、精巣は体の中と陰嚢を自由に移動します。


したがって、ハムスターやウサギの陰嚢は大きくなったり、小さくなったりして見えるため、雌雄鑑別に悩むことがあります。マウスの精巣下降は21~25日齢、ラットは約30日齢で、ウサギでは約16週齢です〔田嶋1991〕。


参考文献

  • 田嶋嘉雄.実験動物学.朝倉書店.東京.1991

この記事を書いた人

霍野 晋吉

霍野 晋吉

犬猫以外のペットドクター

1968年 茨城県生まれ、東京都在住、ふたご座、B型

犬猫以外のペットであるウサギやカメなどの専門獣医師。開業獣医師以外にも、獣医大学や動物看護士専門学校での非常勤講師、セミナーや講演、企業顧問、雑誌や書籍での執筆なども行っている。エキゾチックアニマルと呼ばれるペットの医学情報を発信し、これらの動物の福祉向上を願っている。

「ペットは犬や猫だけでなく、全ての動物がきちんとした診察を受けられるために、獣医学教育と動物病院の体制作りが必要である。人と動物が共生ができる幸せな社会を作りたい・・・」との信念で、日々奔走中。